新たなスポーツファンを獲得するために
MarkeZine編集部(以下、MZ):伊藤さんはDAZNの中でどのような業務を担当されているのですか。
伊藤:DAZNでは、ソーシャルメディアの戦略立案からコンテンツ制作・チャネル運用まですべてインハウス化しているのですが、そのマネジメントを担っています。また、マネジメントだけでなく自ら企画もしています。
MZ:今回DAZNとJリーグ、女性誌のCanCamが連携して行った企画についてお伺いするのですが、そもそもなぜ今回の企画を行うことになったのでしょうか。
伊藤:DAZNはJリーグさんと一緒にサッカービジネスを盛り上げていこうと、長期にわたってパートナーシップを築いてきました。その中の大きな施策として、「フライデーナイトJリーグ」というものがあります。
これまで何かしらの事情で土日にスタジアムへサッカーを観に来られなかった方や、そもそもサッカーをスタジアムで観戦したことがないという方をターゲットに据え、金曜日という新たな来場機会、新たなサッカーカルチャーの構築を目指したのが「フライデーナイトJリーグ」です。これにより、たとえば週末はいつも家族と一緒にスタジアム観戦をするファンが、「金曜日は仕事帰りだから会社の仲間を誘ってみよう」というように、サッカーのコアファンがライトファンをスタジアムに連れてきてくれる可能性が広がると考えています。
その中で今回の施策では、ターゲットを若年の女性層に据え、ターゲット層と最もマッチしたカルチャーを持つCanCamさんともタッグを組み、施策を行うことにしました。
コアファンからライトファンに広がる施策を
MZ:この企画は、伊藤さんが企画されたのですか。
伊藤:元々はJリーグの担当者の方から、女性から注目が集まりやすいサッカーのイケメン選手をフックにCanCamと何か企画を広げられないか、という相談があったのがきっかけです。ただ、普通にイケメン選手を紹介するだけでは既視感もあり、コミュニケーションが広がっていかないと思いました。
さらに、ターゲットはライトファン・新規ファンではあるものの、そういう層に直接サッカーに関わるコンテンツでアプローチするのは難しいものです。そこで、コアファンが思わずライトファン・新規ファンに広めたくなるような企画を私から提案しました。
MZ:まずコアファンに刺さるコンテンツであることが大事なのですね。
伊藤:たとえばワールドカップの日本代表戦が行われると、渋谷のスクランブル交差点にサッカーファンが大勢集まるじゃないですか。そういう場に集まっている人って、必ずしもみんなが自発的にサッカーを観戦しようとしているわけではなくて、サッカーコアファンの友達に誘われて来たというケースも多いはず。
そのようにリアルの世界で起こることと、ソーシャル上で起こることってそんなに変わらないと思っています。ソーシャル上でも、コアファンが拡散したくなるようなものが、ライトファン・新規ファンへと広がっていきます。DAZNのコミュニケーションを広めようとする中でもそのようなことが何度もあったので、この仮説を立てました。