まだ見えていないデータの可能性に気づく
――今回のイベント、レイ氏の講演と横山氏との対談セッションでは、企業や事業での「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」をテーマとして掲げています。どんな内容に言及されるのでしょうか?
榮枝:このテーマは目の前にある課題解決の手段探しではなく、そもそも「(デジタル)データ」とは自分にとって何かを自問する哲学的な要素さえ含んでいます。
企業マーケティングでお馴染みのデータを「利活用」する流れは、既存のデータから企業が取る次の行動を「推論・予測」するための先回りする発想です。今求められているのは、「現在の事業を延長させる」枠にとらわれずに、思考を思いっきり広げることでしょう。
途方もない絵空事の提案ではないけれども、まったく自分には未知の世界(データ)が存在し、あるいは何度も見ているはずの盲点も存在しえます。予測がはずれることは常に存在し、その予測すらを望まない人や状況も存在するでしょう。これらの見えていないデータやその先の可能性に気づくことで、これらの新世界(や盲点)を見つけたり、発掘したり、市場を作ったりする「アートなアプローチ、考え方」が可能なはずです。

榮枝:今回のセミナー、レイ氏のセッションタイトルは「Designing the Magical & Memorable in the Age of Data~『データ時代の「魔法と記憶」の作り方』~」は、☆I&COの7つの格言の一つ、「ロジックよりマジック」に由来しています。データの利活用という論理だけでなく、発想の転換を含めて世界にマジックを起こす。これがデジタル化の本質であり、データが可能せしめる世界を、講演を通して提示します。
数々の具体事例を用いたレイ氏のプレゼンテーションは非常に丁寧で、なおかつ可能性を示唆してくれます。第二部のセッションでは、事業目線とクリエイティブ目線でアートにハートで思考するセッションにしていくので、ぜひご期待ください。