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気づかざるデータの魅力/レイ・イナモト氏×デジタルインテリジェンスが提示する、DXの真髄

 11月26日(火)、デジタルインテリジェンスは「横山塾」の拡大セミナーを開催する。特別ゲストとして、ニューヨークを拠点に事業展開をするレイ・イナモト氏を招く。レイ・イナモト氏は「マーケティング業界のイチロー」と例えられるほど、「Google」「Nike」「Audi」など、数々の世界的企業を相手にニューヨークを舞台にして活躍。そして現在「ビジネス・インベンション」と言う新しい領域で、デジタル・トランスフォーメーションや新事業・サービス開発などに携わっている。開催が迫る同セミナーの経緯について、デジタルインテリジェンス NYオフィスの榮枝洋文氏に迫った。

データとアート、左脳と右脳を行き来する必然性

――デジタルインテリジェンスは、ベストインクラスプロデューサーなど5社とともに、今年の4月からデジタル時代のマーケターを養成する「横山塾」を開講しています。今回はレイ・イナモト氏(以下、レイ氏)を特別ゲストとして招き、横山塾拡大版の一般公開セミナーとして、広く聴講者を募っていますが、今回の企画にはどのような背景があるのでしょうか?

榮枝:実はレイ氏とは、以前から深いつながりがあります。WPPグループのAKQAがニューヨーク・オフィスを創業するために、R/GAのクリエイティブ・ディレクターであったレイ氏を招聘したのが2004年。同じWPPつながりで筆者が代表していたADKニューヨークのオフィスを「AKQAニューヨーク準備室」として提供したことでレイ氏と知り合い、以来15年の交友があり、今回の日本でのセッションが実現しました。

 当時AKQAが日本への事業拡大の際に、「デジタル/データ」の第一人者であった弊社の横山を引き合わせたのですが、既にこの時から、今回のセッションにつながるいくつかの偶然が始まっています。

レイ・イナモト氏
Creativity誌の「世界で最も影響力のある50人」や Forbes誌の「世界の広告業界で最もクリエイティブな25人」に選出され、ニューヨークを拠点に世界を舞台に活躍している クリエイティブ・ディレクター。今年は世界最大級のクリエイティブの祭典「カンヌライオンズ」の花形、「デジタル部門」の審査員長(審査員ではなく、審査員長)を務めた。2016年にビジネスの新開発やブランディングまでを手掛けるBusiness Invention Firmとして「☆I&CO(アイ・アンド・コー)」をニューヨーク・ブルックリンに設立。今年7月にはユニクロやトヨタなどにサービスを提供するため、東京にオフィスを開設した。

榮枝:レイ氏といえば、クリエイターの印象を強く持っている方も多いかと思いますが、実は「アート」と「コンピュータ・サイエンス」の学位を米国ミシガン大学で同時取得しています。世界を代表するブランドのデジタル戦略とクリエイティブを世に広め、脈々としたデジタル(データ)xアートの背景を保持する第一人者です。

 そしてデジタルインテリジェンスの横山もデジタル(データ)xアート(音楽)の背景をもっています。レイ氏と横山のその2つの共通項が、今回のセミナー企画の背景にはあります。

「データドリブン」という言葉を無意識で使う危険性

――デジタル(データ)とアート、左脳と右脳を行き来する必然性は、マーケターの仕事においても重視されていますよね。

榮枝:そうですね。あと、少し話題が変わりますが、個人的に日本のマーケティング業界で使われがちな「データの利活用」「データドリブン」という言葉のフレーズに違和感を持っています。「バナナ用語」と例えて、「無意識に言ってしまうと、滑る用語」なので、その言葉の持つ意味合いから、自分はなるべく使わないようにしています。ここはマーケターの皆さんにも立ち止まって考えてほしい。

 これらの言葉を避けたい理由は、これらの言葉から「既に社内にあるデータを起点に、ビジネスやソリューションを作ろう(=利活用しよう、ドリブンさせよう)と発想する「気質」があるように思えるから。「こんなデータが保有できているのだから、こんなビジネスやこんなサービスができるのではないか」「活用しないと、宝の持ち腐れで、もったいない」こういった発想はもはや古く、過去の価値観を引きずっているように思えるからです。

――たしかにこれまでも、定期誌『MarkeZine』での連載米国最新事情レポート『DI. MAD MAN Report』の中でも度々、まったく新しい生活者起点のビジネスを再構築する視点を提示されていました。また、許諾のとれたデータへのシフトも、指摘されていましたよね。

榮枝:はい。起点が「今あるデータ」の場合、許諾が取れていない個人情報が会社や事業に大きなダメージをもたらすことさえ、今後は大きなリスクとしてあります。CCPA(カリフォルニア消費者プライバシー法)やGDPR(EU一般データ保護規則)を筆頭に、近年の新しい生活者目線の考え方に沿った、逆引きの考え方が求められています。

 このようにデータについて「利活用」と言ってしまうことで、過去に戻る気配がある(入り口から路頭に迷う)のは回避したほうがいい。起点は過去のデータではなく、「未来」や「新しい顧客との関係づくり」にあります。アイデアや可能性や「出口側」から紐解いて考えてみること。データを「ドリブン」として起点にするのではなく、「生活者」ドリブン、「未来」ドリブン、と言い換えてみれば言葉の持つ意味合いも違ってきます。

 今回のセミナーでは、「生活者や社会に新しい価値(ベネフィットや便利)を創造する(クリエイトする)」という点が、登壇者であるレイ氏と横山の共通土俵です。

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MarkeZine(マーケジン)
2019/11/01 07:00 https://markezine.jp/article/detail/32277

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