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江端浩人氏に学ぶ、マーケティングとテクノロジー改革の最前線

「傍観者の時代は終わり」22歳の天才プログラマー アイドリス・サンドゥとの対話から見えてきたこと

Z世代と「サステイナビリティ」への関心

江端:少し話は変わりますが、今世界的にサステイナビリティへの関心が高まっています。その点に関してはどう感じていますか?

アイドリス:僕の理解では、日本には昔からサステイナビリティに通じる、リサイクル的な発想がありますよね。たとえば竹には色々な用途があり、一度使われた後でも違うものに利用されることも多いと聞いています。

 おそらく、Z世代は「サステイナビリティを進めた」と言う功績を受けることになるでしょう。ただ、それはソーシャルメディアなどでの発信力や拡散力が強いからかもしれないと僕は考えています

 一人が「これを見つけた!」と発信したものが世界中に広まる世の中で、Z世代は発信の仕方を生まれた時から身につけているので強いんです。でも、日本やアフリカのようなところに行って、実はその発見はずっと昔から存在していた考え方であるというのを知るのも重要だと思います。

 僕が日本の文化で好きなところは「日本人だからこうする」という主張ではなく、「自然の摂理」でそうするという考え方です。これはアフリカでも通ずる考え方があります。誰かが正しいからすごいのではなく、自然の真理により全員が恩恵を受けるような考え方に共感しています。そのため、僕は自分と同世代の人に対して、「自然というより大きな力の中にある真理を見出しなさい」と言っているんです。特にサステイナビリティは自然の摂理に逆らってはいけません。

ミレニアル以降は「企業のスタンス」を重視する

江端:日本で行われたワールドマーケティングサミットで、君の66歳年上であるコトラー教授が「ミレニアル世代は主張のない、あるいは透明性のない会社やブランドの製品やサービスを購入しない」と言っていました。この考えには共感しますか?

アイドリス:とても共感しますね。それは絶対的な真実だと思います。多くの旧来型企業は、製品やサービスを若者に届けるのに苦労をしています。しかしそれは企業側が変化していないからだと考えています。

 参加しない、傍観者の時代は終わりました。世界中で紛争がおこり、死者が出ている中で「それは我々には関係ない」というのはもう通用しません。ミレニアル以降の消費者は、「製品の購入やサービスを受ける前に、まず企業のスタンスが知りたい」という考えを持つためです

 彼らはデマンディング(要求過剰)であり、すぐに答えを求めます。でも、それには良い面も悪い面もあると思っています。我々の世代はソーシャルの時代に生まれ、他の方法を知らないために、直接的に色々要求することが多いのですが、時に行き過ぎることもあるのです。たとえばある製品に「鹿を使っている」という噂が流れて、それに対して「使っていない」という説明を企業がすると、今度は「牛を使っている」という噂が流れるというように。キリがなくなってしまうのですね。

 そうすると、ビジネスはとてもやりにくくなり、時にそれをきっかけに企業が潰れてしまうこともあるでしょう。以前は、もし商品に不満があったとしも友達に文句を言うだけでしたが、今はTwitterを通して世界中に発信できてしまいます。そのため僕は、そのようなことが過剰に起こらないような技術や、同世代が過剰に要求しないような教育をしたいと思っています。若者が主に攻撃するのは昔からある会社ですよね。それはフェアではないし、お互いのことを理解し合う姿勢が必要だと思います。

江端:これから注力してゆきたいことは?

アイドリス:壮大だけれども、一つはUrbanization(都市化対策)です。より良い都市をデザインしていくことで、人々の考え方や生き方を変えていきたいと考えています。

 もう一つはこだわった製品づくりです。たとえばiPhoneは74ヵ国から集めた部品を300以上の製造工程を経てできています。今後はそのような製造方法ではなく、よりこだわりを持った製品作りが重要だと思います。たとえばGROOVE Xという会社が作っているLOVOT(らぼっと)という愛情ロボットがあります。その会社の開発者は、マイクロソフトなどで高度な開発をしていた方ですが、それと同じレベルの技術を「人と人の感情をつなげる」ロボットの開発につぎ込んでいるんです。それにはとても感銘を受けました。人と人をつなげるためのテクノロジーに、もっと多くの世界最高の頭脳が投入されるべきだと思います

江端:これからの活躍も楽しみにしています。Thank you!

取材協力:HEAPS Magazine

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この記事の著者

江端 浩人(エバタ ヒロト)

iU大学教授、江端浩人事務所 代表、MAIDX LLC代表、AlMONDO事業顧問

米ニューヨーク・マンハッタン生まれ。米スタンフォード大学経営大学院修了、経営学修士(MBA)取得。伊藤忠商事の宇宙・情報部門、ITベンチャーの創業を経て、日本コカ・コーラでマーケティングバイスプレジデント、日本マイクロソフト業務...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/01/27 09:00 https://markezine.jp/article/detail/32748

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