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【LIPS×D2C Rに学ぶ、TikTok広告の極意】ユーザー視点のクリエイティブで獲得件数を5倍に

 リリース4年目にして450万DL、成長を続けるコスメ・メイク・美容のクチコミアプリ「LIPS」。昨年から今年にかけて、TikTok広告を活用してさらに伸長中だ。本施策においては、クリエイティブ制作に強みを持ち「TikTok Award 2019」にて企業部門「ゴールドパートナー」を受賞しているD2C Rとタッグを組み、ユーザー獲得件数が約5倍になったという。TikTokで有効なクリエイティブについて、「LIPS」を運営するAppBrewを中心に、TikTok Ads Japan、D2C Rの3社に取材した。

優れたユーザビリティで450万DL超の「LIPS」

――コスメや美容のクチコミアプリは競合も多いと思いますが、「LIPS」は着実に伸び続けているそうですね。AppBrewの有門さん、まず現在の状況を教えてください。

有門:2017年にリリースした「LIPS」は、動画や写真が投稿しやすく、他のSNSと同じように直感的に使えるユーザビリティが特徴です。当初、10代~20代の若年層女性に人気のアプリとして注目されましたが、今では年齢を問わず幅広いユーザーに使っていただき、現在450万DLを超えています。

  ただ、当社としてはまだまだ新規のユーザーさんに使って頂くようアプローチをしていくフェーズだと考えていて、デジタル施策を中心に様々なメディアに広告出稿している状況です。一昨年の年末には、タレントさんを起用したCMも放映しました。

――年代などのターゲット別にメディアプランニングをされているのですか?

有門:もちろんメディアによって視聴者や利用者層の違いはあると思いますが、当社としては初めからターゲットを区分してピンポイントでアプローチ、というのはあまり考えていません。まずは広く知って頂くことが重要だと考えていますので、なるべく多くの方に触れるように出稿して、その中でより反応が得られるところに注力しています。

――TikTok広告も、元々活用されていたのですか?

有門:はい、横断的な広告施策のひとつとして以前から取り組んでいました。はじめは、インハウスで制作から運用までを手掛けていたんです。

動画広告をインハウスで回す上での課題感

――インハウスで運用されていたんですね。動画だとかなりリソースが必要なのでは?

有門:そうですね、他のメディアでも静止画の広告はしっかり体制を作ってインハウスでPDCAを回せているのですが、動画だとどうしても制作に工数がかかる部分が多くなるので、社内リソースの点は課題でした。インハウスだと内部に知見を貯められるという利点があり、そのものの価値は非常に高いのですが、体制面や、特に初期においてはなかなか確度の高い仮説も立てづらく、PDCAを回して知見を得る段階に至っていなかったのが課題でした。そこで、外部パートナーと組もうと考えたんです。

 AppBrew Marketing Manager 有門拓造氏
AppBrew Marketing Manager 有門拓造氏

――なぜ、パートナーにD2C Rさんを選ばれたのですか?

有門:別の媒体の動画広告で既に支援いただいていたのですが、その実績に加えて、クリエイティブに対する考え方がいちばん一致すると感じていたのがD2C Rさんだったというのが大きいですね。

――クリエイティブに対する考え方とは、どのような?

有門:広告であっても、ユーザーの楽しさや体験を重視する、といったことですね。そこには当然、たとえばTikTokならTikTokのトーン&マナーに沿った上で制作することも含まれますし、その結果、よりユーザーに受け入れられる広告≒成果の上がる広告を生むことに繋がると考えています。

TikTok広告のクリエイティブに強み

――なるほど。小嶋さん、実際にそういった考えを重視してクリエイティブにあたられているのですか?

小嶋:そうですね。今、全般的にユーザーのリテラシーが上がってきて、“ザ・広告”というクリエイティブは見向きもされなくなっています。特にTikTokは若い世代のユーザーが多いので、とても敏感に察知している様子があります。とはいえ広告だとわからないように作るのはNGなので、その点には誠実にあたりながら、ユーザーが興味を持ちやすい流れだったり、普段のTikTok上でのやり取りになじむような構成を意識してディレクションしています

 D2C R クリエイティブ・プランナー 小嶋一穂氏
D2C R クリエイティブ・プランナー 小嶋一穂氏

――D2C Rさんは、かなりTikTok広告の経験が厚いと聞きました。昨年のTikTok Awardでも、パートナーとして表彰されているそうですね。

泉谷:はい、「TikTok Ads Annual Marketing Event 2019」にて、「ゴールドパートナー」賞を贈らせていただきました。多数の案件を総じて、TikTokユーザーをよく理解いただいた上でクリエイティブを工夫されている点が理由でした。今回の「LIPS」さんの広告とは少し趣向が違うのですが、ゲーム性を取り入れて大きく成果を伸ばした「モンスターストライク」の広告クリエイティブもD2C Rさんが手がけたものです(参考記事)。

 TikTok Ads Japan Revenue Partnership Division Manager of Revenue Partnership 泉谷速人氏
TikTok Ads Japan Revenue Partnership Division Manager of Revenue Partnership 泉谷速人氏

小嶋:受賞はとてもありがたいことでした。確かに国内で相当数の案件を担当しているので、それだけ仮説や知見も蓄積できており、現状ではかなり狙いを定めて効果が見込めるクリエイティブを開発できているのでは、と思います。

コスメ好きなユーザーが気になる情報を先に提示

――“ザ・広告”というものは効果が出にくいとのことでしたが、具体的に今回はどのようなパターンを制作されたのですか?

小嶋:主には2種類ありまして、ひとつはユーザー体験に近い形の動画です。たとえば、コスメを比べる際には手の甲に塗って発色や光の当たり具合を見たりするのですが、「LIPS」自体がそういったコスメの使用感や色味などを、画像や動画で他のユーザーが投稿しているものを見られるアプリなのでそういった動作を盛り込んで、コスメに興味があるユーザーに「気になる」「もっと見たい」と思ってもらえる入り口にしています。最終的に、それらが「LIPS」で見られますよ、というのが伝わる構成です。

 もうひとつは、広告だとわかっているけど触りたくなる、という方向性の動画です。こちらは先に「LIPS」というアプリの紹介だと伝えつつも、コスメ好きなユーザーが気になるトレンド情報や最新アイテムがわかるといったベネフィットを紹介していく感じですね。当社のTikTok担当が、今TikTok内でどのような構成が流行っているのかをしっかりリサーチし、同時に現状の「LIPS」ユーザーが支持しているポイントなどは有門さん方にうかがいながら、企画を練っていきました。

クリエイティブの改善により獲得件数が5倍に

――なるほど。実際の効果はいかがでしたか?

有門:今回は新規ユーザー獲得数を主な指標にしていましたが、インハウスで実施していたときに比べて、約5倍になりました。こんなにインストールが伸びるなんて「すごい……!」という声が社内で上がったくらいです。

 やみくもに、大量に制作して投下したというわけではないので、1本ごとのクオリティが高かったのだと実感しました。もちろん、クリエイティブが大事だと思ってD2C Rさんと組ませてもらったのですが、改めて「クリエイティブが違うとこんなに成果が違う」とよくわかりましたね。

――泉谷さんはいかがですか?

泉谷:当社としては、今回ユーザー体験を意識した動画広告がしっかり当たった事例ができたことがありがたかったです。以前から、そういったクリエイティブが成果が上がるのではという仮説はあったもの、確かめられていなかったので、今回の件は社内でも好例として共有されています。

――先ほど、TikTokで流行っている構成を研究したというお話もありましたが、TikTokはエフェクトなども特徴的ですよね。

泉谷:そうなんです。当社でも昨年末、動画クリエイター向けの制作支援アプリ「TikTok AdStudio」をリリースして、TikTokの世界観に合わせた制作をしやすくしています。

小嶋:今回は、そちらも使わせていただきました。できるだけユーザーに受け入れられる表現を目指しているので、今後も活用したいと思います。

メディアにいるユーザーに受け入れられるように

――今回は、メディア側から見てもひとつの好例になったとのことですが、TikTok広告で成果を上げるポイントはあるのでしょうか?

泉谷:冒頭でも話が上がりましたが、動画広告は1本制作するのにそれなりのリソースがかかります。一方で、TikTok広告はスマホ全面という大画面で訴求するので、印象が強い分、効果が持続する期間が短くなり、本数が必要……というジレンマもありました。今後、前述のTikTok AdStudioの活用によって、視覚聴覚に訴えるネイティブフォーマットを生かした動画広告をスピーディに制作できると思うので、ぜひ使っていただきたいですね。

 また、ユーザーにアンケートを採ると「広告は嘘をついている」という前提で見ている方も少なくないんですね。なので個人的には、必要以上に盛ったり誇大に表現したりしていない、誠実にベネフィットを伝える広告が増えていくと成果が高まるのではと感じています。

――では最後に有門さんと小嶋さん、今後の展望をうかがえますか?

有門:今後も、季節性やトレンドを意識し反映することと、TikTokのトーン&マナーに合った広告を制作すること、この2点が重要だと思っています。D2C Rさんとのクリエイティブ開発では、これらを踏まえてより幅広いチャレンジを一緒にできればと思っています。

小嶋:TikTokには若いユーザーが集まっていることもあって、流行り廃りが速いですね。また、当たった広告はどんどん他の事例が出てくるので、常に新しいクリエイティブを打ち出してトレンドを作っていかなければ、と思います。簡単ではないですが、今後も身を引き締めてチャレンジしていきたいです。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/03/16 11:00 https://markezine.jp/article/detail/32809