3分の1の消費者は、“一度の嫌な体験”で二度と戻ってこない
DXとCXをテーマとした本イベント。基調講演には日本オラクル 専務執行役員 クラウド・アプリケーション事業統括のピーター・フライシュマン氏が登壇し、経営者やマーケターが注目すべきトレンドのいくつかを紹介した。
フライシュマン氏が挙げたキーワードの一つは、顧客体験。「すぐに次のアクションを提供できるように、企業は顧客以上に、顧客について多くを知る必要があります」と述べ、次の調査結果を明かした。
・3分の1の消費者は、たった一度の嫌な体験で二度とそのブランドに戻らない
・41%の消費者は、感動的な体験のためであれば20%多く払っても良いと考えている
またフライシュマン氏は、AIや機械学習の活用についても言及した。ある調査によると、グローバルでは50%の従業員が既にAIを導入した働き方を行っており、インドと中国においては、その割合は70%に達している。ところが日本の割合は29%と平均より低く、テクノロジーとの協業による従業員の満足度も、平均以下という結果だった。
フライシュマン氏は「テクノロジーを活用するにあたって、新たなプロセスを組み直す必要はありません。退屈な仕事やルーティーンを減らし、よりビジネスに戦略価値をもたらす仕事に集中できるようになることが価値なのです。日本オラクルが、その変革の支援をさせていただきます」と述べた。
日本オラクル自身も現在、変革を続けている。クラウドサービスへの移行を行い、最新機能の提供を3ヵ月ごとに行える体制を構築。オラクル製品のSaaSへの移行を支援する「Oracle Fusion SaaS」の提供にも注力している。オンプレミス型アプリケーションソフトウェアの売上は減少している一方、SaaS型アプリケーションの売上および両方合わせた全体の売上は増加しているそうだ。
なお同社は、2020年2月に日本国内で2ヵ所目となるデータセンターを大阪に開設し、引き続き日本へのビジネスに注力していく。
トップラインを上げる、攻めのIT投資が必要
続いて、日本オラクルでCXクラウド事業本部を率いる桑野祐一郎氏が「顧客価値の向上で、今こそ真のデジタル・トランスフォーメーションを―企業の成長を加速させるCXの向上とは―」と題したセッションを実施。初めに桑野氏は、BtoB企業を取り巻く様々な状況を概説した。
「ビジネス環境は大きく変化しています。国内市場の縮小とグローバル化、働き方改革、ライフスタイルや価値観の多様化。AIや機械学習、IoTといった技術も活用の幅が広がっています」(桑野氏)
これにともない、戦略策定・実行にも変化が生まれつつある。従来の経営戦略サイクルは中・長期的なもので、販売戦略は製品の優位性にフォーカスされていた。これに対して今後の舵取りは短期・超短期の判断が欠かせなくなり、販売戦略は変化への対応力が重視されるようになる。
このような状況の中で事業成長を続けていくためには、「攻めのIT投資が必要」と桑野氏。日本オラクルのプロダクトも、業務効率化やコスト削減を支援するものが多かった一方、顧客体験の創出など、トップラインを上げることにフォーカスしたプロダクト提供・包括的なサポートも行っている。