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ファンを軸としたマーケティングの設計図~熱量を生み、育て、広げるには

ソーシャルディスタンスを保つからこそ実現できる、オンラインミートアップの新たな設計図

 “withコロナ”と言われる状況が続き、オフラインでのミートアップやイベントの開催が困難になるなか、マーケターはどのような方法でファンとのエンゲージメントを強化していくことができるだろうか。長期化が見込まれる以上、オフラインでやろうとしていたことをそのままオンラインで行うという一時的な代替手段ではなく、オンラインだからこそ実現できることに注力していく必要がある。本記事では、オンラインでのミートアップ・コミュニケーション設計のポイントを、オフラインとの違いを踏まえながら検討していく。

“Stayhome”でミートアップを成功させるには

 新型コロナウイルスの影響により、マーケティング活動そのものを見直さざるを得なくなっている企業は多いだろう。リアルな場でのイベント開催はもちろんのこと、エイプリルフールの自粛など、様々な直接的・間接的な影響を考慮した活動が求められるようになっている。

 一方で、SNSを中心に、コミュニケーションの表現方法をこの状況に合わせて最適化している企業も出てきている。たとえばGoProは自宅で撮影した動画を「#HomePro」というハッシュタグをつけて投稿する「#HomePro チャレンジ」キャンペーンを開催し、Nikeは自宅で実践できるエクササイズをYouTubeで公開している。

 リアルな場で出会うことに価値があったファンのミートアップも、この状況に合わせた形にアップデートしていく必要があるが、オフラインとオンラインでのコミュニケーションには様々な違いがあるため、これまでの取り組みをそのままオンラインで実施すれば成立するというものではない。オンラインの特性を活かしながら、ファンの熱量を高めるためにはどのような工夫が必要になってくるのだろうか。

 「ファンを軸としたマーケティングの設計図」と題した本連載の第3回では、オンラインでファンミートアップに取り組む上で必要な、これまでにない設計図を考えていきたい。

オンラインとオフライン、4つの違い

 オンラインでの熱量の高め方を考えるにあたって、まずはオンラインのミートアップはオフラインとどのように違うのか、4つの観点を整理しておきたい。世界がコロナ禍に見舞われているこの数ヵ月の間に、筆者が企業のマーケティング担当者とオンラインミートアップのプロジェクトを考えていく中で見えてきた特性をいくつか紹介しよう。

1. 商品を直接体験することができない

 おそらくこの点が、オンラインとオフラインを隔てるもっとも大きな違いと言っていいはずだ。そもそも何のためにオフラインのミートアップを実施するのかというと、ファンに直接商品を触って体験してもらうことで、「やっぱりこの商品が好きでよかった」「好きでたまらない」と、ファンが自身の熱量を実感することにある。自社のオフィスやイベント会場で集まったファンの方と一緒に商品に対する熱量を確かめ合うというのも、オフラインのミートアップの大きな役割だ。

 しかしオンラインの場合、直接商品を手にとっていただく物理的な空間そのものがないため、ファンが商品に触れることができない。商品そのものを提供して味わってもらったり、現物を見て五感を通して実感してもらったりすることが難しくなるのだ。そのため、オンラインのミートアップでは、その価値を別の形に変換して提供することが必要になる。

2. インタラクションが非同期

 今、多くの企業に利用されているオンライン配信プラットフォームは、YouTubeにしろZoomにしろ、配信を閲覧するユーザーが主催者に対してコメントを送れる機能が実装されているものがほとんどである。オンラインミートアップの主催者はこれを活用し、ユーザーとのインタラクティブなやりとりを生み出すことができる。

 しかし注意しなければならないのは、Zoomのように参加者の表情が見えている場合でも、参加者一人ひとりとリアルタイムにインタラクティブなやりとりをするのは至難の業だということだ。主催者とファンの間のコミュニケーションは一見同期していそうに見えるが、実際に配信をしてみると、参加者が一定の人数を超えるとオンライン特有の間の取りづらさや参加者の表情だけでは反応がつかみづらいことがわかる。そのため、複数の参加者と画面越しに会話をしながら進行することは現実的ではない。ましてやYouTubeでのアーティストのLive配信のように参加者多数の場合、YouTube上のコメントを追いかけることすら難しくなる。

 そのためオンラインのミートアップでは、主催者の配信するコンテンツと参加者のリアクションがすべて同期するオフラインのミートアップとは異なるやり方でファンのインタラクションを設計する必要があるのだ。

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この記事の著者

高橋 遼(タカハシ リョウ)

1983年生まれ。2010年株式会社トライバルメディアハウス入社。クリエイティブディレクター。ファンを軸としたマーケティング戦略・実行に従事し、これまでに航空会社、ファッションブランド、スポーツブランド、化粧品ブランド、飲料メーカーなどを担当。著書に『熱狂顧客戦略』(翔泳社)。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/05/13 07:00 https://markezine.jp/article/detail/33313

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