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D2Cブランド大解剖

ファストファッションの成功体験を捨てD2Cにシフト「セールをしない、トレンドも追わない」覚悟の理由

 オイシックス・ラ・大地の西井敏恭氏が、D2C(Direct to Consumer)ブランドのキーパーソンたちと対談する新連載「D2Cブランド大解剖」。第2回のゲストは、D2Cアパレルブランドを多数展開するNever Say Never(ネバーセイネバー)の代表取締役社長、齊藤英太氏。創業からECを主軸に成長してきた同社は、ファストファッションから「セールをしない」「トレンドも追わない」D2Cブランドへと転換した歴史を持つ。その成長の軌跡を聞いた。

一番のファンを大事にしたいから、セールは行わない

西井:はじめにNever Say Neverについて、教えてください。

齊藤:私たちNever Say Neverは、D2Cのレディース向けファッションブランドをプロデュースする企業です。代表的なブランドに、2012年からスタートした「STYLE DELI(スタイルデリ)」があります。

「STYLE DELI」のWebサイト
「STYLE DELI」のWebサイト

齊藤:STYLE DELIは、一般的な百貨店ブランドに比べ2倍以上の原価率から生まれる高い品質と、“決して安くはないものの、手に届く価格帯”が特徴のブランドです。お客様は30代から40代の女性が中心ですね。ブランド立ち上げ時からセールを行わない方針を貫いています

Never Say Never 代表取締役社長/D2C Branding 代表取締役社長 齊藤英太氏
Never Say Never 代表取締役社長D2C Branding 代表取締役社長 齊藤英太氏

西井:セールを行わないファッションブランドって、珍しいですよね。どうしてですか?

齊藤:「ブランドを一番好きでいてくださるファンのお客様を大切にしたい」という、ブランドプロデューサーの考えによる方針です。たとえば定価で買ってくれたお客様が、同じ服が1週間後に70%オフで売られていたのを見たら、悲しい気持ちになってしまいますよね。だから、徹底してセールはやらないと決めています。

 それでも粗利は、セールありきで大量生産・消費のファストファッションよりも高いのです。売り切ることを前提に生産し、販売機会ロスを否定しない経営をしているほか、EC展開で店舗がない分、販管費を抑えています。それを原価へ回しているため、無理をして原価率を高めているわけでもありません。

ファストファッションからD2Cへシフトした理由

西井:ここまでのお話から、STYLE DELIはこれまでのファッションビジネスと異なる点が多いことが分かります。そもそも、なぜD2Cビジネスをスタートしたのか、その理由から教えてください。

オイシックス・ラ・大地株式会社 執行役員 CMT兼 株式会社シンクロ代表取締役社長 西井敏恭氏
オイシックス・ラ・大地株式会社 執行役員 CMT
株式会社シンクロ代表取締役社長 西井敏恭氏

齊藤:Never Say Neverの創業は、2006年です。当時は外資系のファストファッションが上陸し、SPA型と呼ばれる、大量生産でロープライスの服を販売するビジネスが流行していました。

 私たちも同様に、ファストファッションへ参入し、立ち上げから数年で楽天市場のショップ・オブ・ザ・イヤーを獲得するほどの成長をしました。その後も拡大路線を続けていましたが、同業他社も増え、価格競争となってしまったんです。

西井:「このブランドだから」ではなく、「似たようなアイテムを1番安いショップで買う」価格の勝負になってしまったと。現場は、疲弊しますよね。

齊藤:そうです。大量生産を前提としていますから、在庫も多く、セールをしないと売り切れません。利益率も低く、収益性も良くありませんでした。

 また、一番辛かったのは、頑張ってくれるスタッフに経営者として還元できないことでした。業務は多いのに、薄利多売だから利益を分配できず、社員を幸せにできないビジネスモデルを続けている。失格だと感じていました。

 そこで「このモデルは続かない。自分たちのブランドを作ろう」と決心し、外部でジュエリーデザイナーをしていた現プロデューサーと一緒に、STYLE DELIをスタートしたんです。

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この記事の著者

マチコマキ(マチコマキ)

広告営業&WEBディレクター出身のビジネスライター。専門は、BtoBプロダクトの導入事例や、広告、デジタルマーケティング。オウンドメディア編集長業務、コンテンツマーケティング支援やUXライティングなど、文章にまつわる仕事に幅広く関わる。ポートフォリオはこちらをご参考ください。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/07/30 09:00 https://markezine.jp/article/detail/33772

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