テレビショッピング業界トップシェアのマーケティング戦略
――はじめに、お二人の現在の業務領域とミッションを教えてください。
池田:ジュピターショップチャンネルは、ショッピング専門チャンネルの『ショップチャンネル』を運営している会社です。ファッション、化粧品、家電用品などの商品を紹介していまして、テレビショッピング業界で国内ナンバーワンシェアをいただいています。
私が所属しているマーケティング部は、顧客の分析や定性・定量調査を通じてマーケティングに活かしていく役割を担っていて、オンラインとオフラインに分かれてマーケティング施策を行っています。その中で私はオフライン、主に紙媒体の施策を担当しています。
清水:私は同じマーケティング部で、デジタルの担当をしています。お客様に心躍る瞬間を提供すべく、EC会員の方に向けたメルマガ、LINEを通じた配信によるエンゲージメント強化と、それに紐づくLTVを高めることがミッションです。

マーケティング部 DBマーケティンググループ長 池田大輔氏
同部 マーケティング企画第一グループ 清水学氏
――ではそのミッションを達成するために、マーケティング全体としてはどのような戦略を立てているのでしょうか?
池田:まずは顧客の基盤を維持・拡大していき、一人ひとりのお客様の顧客単価を高めるため、お客様を「(1)獲得・(2)定着・(3)上位化」の3つのステップに分けて施策を展開しています。
「(1)獲得」は、新規獲得のことで、様々なチャネルを通じて『ショップチャンネル』でお買い物をしてもらうお客様を増やす取り組みをしています。獲得した新規のお客様に対しては、初めての購入後1年の間に手厚くフォローして「(2)定着」を目指す施策として、割引クーポン券付きのDMを送付したり、理解促進を促すようなコンテンツを届けたりして、2度目の購入を目指します。2度購入いただけると、3度目以降の購入率が6割以上と格段に上がるからです。以降は、さらに「(3)上位化」していくことで活性化するような施策を各セグメントに対して実施していくような流れです。
メディア特性に応じたカスタマージャーニーを描く
――オンラインとオフラインの役割はどのように分けられているのでしょうか?
池田:前提として、デジタルでアプローチできるお客様はEC会員・メルマガ登録が必要となるので、規模感としては全体の4分の1程度にとどまります。
かつ『ショップチャンネル』ユーザーの平均年齢は60代と高めなため、紙媒体のほうがCVRが高い傾向がありますが、紙はコストがかかります。なので、オフラインでアプローチできないセグメントに関してはオンラインでアプローチするといった使い分けをしながらやっています。

清水:具体的な施策の切り口で言うと、新聞広告やインフォマーシャルなどで購入を促進したり、ロイヤリティサービスの提供、プレゼントキャンペーンの実施をしたりすることによってアプローチできる顧客を維持拡大し、その中でDMやメルマガ、LINEなどでリテンションレートを向上させるのが全体の仕組みです。アクティブユーザー数を増やすこと、一人ひとりのフリークエンシーを高めることを重視しています。
オフラインとオンラインではメディア特性が違うので、リーチ・レスポンス力の高いDMを基点にリテンション施策は行い、下流をオンラインが担う形になりますが、オンライン・オフラインで分断しているわけではなく、メディア特性に応じてカスタマージャーニーを描き、顧客エンゲージメント強化を進めています。