チームで働く「一体感」の可視化に商機
3つめは、リモートワークでは、どうしてもチームで仕事をしている感が欠如してしまい、仕事に対するアドレナリンが湧き出ない日々に不満を募らせるFu-manさんです。
「同僚とのコミュニケーションが取れないので、一緒に仕事をやっている一体感が減って気持ちが沈む」「チームとしての連携を取りにくい」など、仕事の醍醐味の一つとも言える、“チームで動くからこそ味わえる、やりがい・達成感・共有感”が、リモートワークではなかなか味わえないことに不満が出てきているようです。また、「一人で仕事をしている感じがして不安」「人間関係が希薄になり、同僚が遠くなった気がする」といった、“ロンリー会社員”たちの嘆きの声も聞こえてきました。
自分のペースで仕事を進められる状況をプラスに捉える声も見受けられましたが、そういう人でも、孤独が過ぎる就業環境は本望ではないようです。これらの声から、チームで分かち合う喜びは、仕事に欠かせない要素の一つであることがうかがえます。
そんなFu-manさんは、比較的幅広い全世代の中に見られました。リモートワークは、たとえチーム作業だとしても、顔を合わせるのはオンライン会議の間だけで、孤独な作業時間の方が絶対的に多く、“一人で仕事をしている感”が高まりやすい環境です。加えて、仕事が一区切りしたとき、修羅場を乗り切ったときなどに、チームで打ち上げに行って、みんなで苦難を回想したり、愚痴を言い合ったりする機会を持つこともできないため、さらにネガティブな気持ちに落ち込みやすくなっているようです。
CX発想のヒント リモートでも「仲間」を感じられるサービスへのニーズが誕生
オフィスに出社していても、実質一人で回す仕事は多々ありました。ただし、同じような業務をしている仲間が“見える”環境と、“見えない”環境では、ワークコンディションには大きな差が出ることがわかってきました。こういった課題は会社員だけのものではなく、塾に通えなくなった受験生にとっても同様です。その解決策として、Zoom上に集まって各自が勉強する手元を映すことで、勉強のモチベーションを互いに高める“オンライン自習室”というサービスがあちこちで誕生しましたが、会社員にも同様なサービスが必要なのかもしれません。リモートワークが始まった当初は、身体的なワークコンディションを高めるためのもの、例えば、ネット環境の整備やオフィス家具の買い替え需要が増しました。それが一段落したら、今度は精神的なワークコンディションを高めるものにニーズが集まり出すのではないでしょうか。それが、例えばリモートでも仲間が“見える・感じられる”サービスや、”チーム作業感を高める”サービスなのかもしれません。