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ワールド マーケティング サミット オンライン2020

「人と機械の共生を模索せよ」来年出版されるコトラーの『マーケティング5.0』、共著者が内容を紹介

マーケターは「人と機械の共生」を模索せよ

 セティアワン氏が次に触れたのは、テクノロジー活用の懸念と希望について。テクノロジーというと恐怖心を抱く人も多い。ロボットに仕事を取られる、プライバシーを侵害され、ターゲティングキャンペーンに付きまとわれる。情報の真偽を見分けるのが難しく、ガジェットに囲まれて集中力を失ってしまう。

 しかし、肯定的な側面もある。デジタル技術は、世界に様々な機会を生み出していくデジタルマーケティングは既存の市場に取って代わるのではなく、市場を拡げ、より豊かにしてくれるものだ。企業は、これまで実現できなかったターゲティングを行い、機会を生み出すことが可能になる。医療分野ではウェルネス(健康)をサポートし、生涯学習の機会も創出する。さらには社会の包容力(インクルージョン)、サステナビリティを高める。

 このように、テクノロジーには功罪の両面がある。大切なのは人とマシンが適切な関係を構築することだ。これを「人と機械の共生」、ヒューマン・マシン・シンバイオシスと呼ぶ。たとえば、マシンは反復作業、プログラミングを得意とし、データをまとめて構造を解析することも容易い。一方人間は洞察力がをもち、思考によってものごとのつながりや意味を作ることができる。

人間とマシンの関係構築が、インクルーシブな共存を実現(タップで拡大)
人間とマシンの関係構築が、インクルーシブな共存を実現
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 そして、実はテクノロジーには、人の身体の機能にインスパイアされてできたものが多い

 「たとえば、人間の認知・思考を模して人工知能(AI)が作られました。言語によるコミュニケーションは、自然言語処理(NLP)に対応します。感覚はセンサーテクノロジーで、人の動きはロボティクスにつながっています。想像力は拡張・仮想技術(AR、VR)のミックスリアリティであり、つながりの力はIoTやブロックチェーンに活かされています」(セティアワン氏)

 一連のテクノロジーはネクスト・テックと呼ばれ、マーケティングに関わる人にはこれらを適切に使っていくことが求められる。では、どうやって使うか。この疑問に答えるのが、マーケティング5.0である。

マーケティング5.0の5大要素とは

 セティアワン氏はここで、マーケティング5.0を形成する5つの要素を紹介した。

1.データドリブンマーケティング(Data-Driven Marketing)
2.予測型のマーケティング(Predictive Marketing)
3.文脈に基づくマーケティング(Contextual Marketing)
4.拡張技術によるマーケティング(Augmented Marketing)
5.アジャイルマーケティング(Agile Marketing)

5つの要素(タップで拡大)
5つの要素(タップで拡大)

 セティアワン氏によると、1.データドリブンマーケティングマーケテイングと5.アジャイルマーケティングは、5.0の根幹をなすものであり、残る3つが応用的な要素だという。まず「データドリブンマーケティング」では、ビッグデータ、様々な情報を組み合わせ、正しいマーケティング判断を導いていく。データには、ソーシャルデータ、メディアデータ、Webデータ、店舗のPOSデータ、IoTデータ、そしてコールセンターや営業から取得するエンゲージメントデータの6種類が挙げられる。これらのデータによりオーディエンスのプロファイルを分析し、競合に勝つためのコンテンツ分析、購買のカスタマージャーニーに沿ったマーケティング活動を展開していく。

データ駆動型の「データドリブンマーケティング」(タップで拡大)
データ駆動型の「データドリブンマーケティング」
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応用的な3要素も解説

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この記事の著者

上瀧 和子(コウタキ カズコ)

共同ピーアール株式会社 総合研究所(PR総研)副所長、テクノロジーリード。現SCSKのマーケティング、現ソフトバンクの広報に従事後、PR業界に転じ、テクノロジーとインクルージョンの知見を柱にグローバル企業のコミュニケーション支援、SDGs・ESG投資推進のシンクタンク運営にあたる。IABC(国際ビジネスコミュニケー...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/11/19 09:00 https://markezine.jp/article/detail/34762

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