アナログとデジタルをいかに「組み合わせるか」
Marketo Engageを活用し、3つのデジタル施策に取り組んだことで、学びになったことを次のように圷氏は挙げた。
「DM未反応者へのメール送付施策」から、デジタルへの抵抗感を払拭するには小さな実績から理解を得ていくことが重要だと学んだ。まずはアナログを邪魔しない形で行うことが重要だ。
「資料請求2週間後のメール施策」では、アナログ施策との両立を図った。温かみのある手紙で反応する人もいれば、手紙は面倒で読まないけれどメールは開封するという人もいる。この双方向からのアプローチで、来店機会を創出できるという知見が得られた。
「Webサイト閲覧履歴をデータ化し、アナログ施策と連動させた施策」の反応は、狙いとは異なるものだった。しかし、コンバージョンはない段階での反応も体感することができたという意味で収穫といえる。
ここまでの取り組みを通して、アナログとデジタルは互いに干渉するものではなく、いかに組み合わせていくかが重要だということを実感したという。
さらに取り組みを発展させるべく3年目に体制変更実施。施策の拡充として、「Webカタログの制作」を行った。来店のタイミングを早めることを目的とした施策だが、懸念点もあった。
それは、「既存のコンバージョンチャネルとの取り合いになるのではないか」。また、Webの特性上「気楽に閲覧できるがゆえに契約に至らないのではないか」だ。しかし、実施してみると、コンバージョン率は上昇した。契約に至る確率も、紙のカタログと同等であり、手ごたえを感じたという。
「顕在層の獲得」から「潜在層との関係構築」へ
これら取り組みの結果として、デジタル施策が増えただけでなく、社内でのデジタルの重要性も高まってきた。今後は、さらなるチャネルの拡充に取り組む方針だ。
その1つに接客のオンライン化として、ビデオ相談窓口の開設がある。特に昨年加速したオンライン化は、実店舗を28カ所に絞っているスヴェンソンには重要な課題となった。
地理的隔絶を解消し、どこからでも相談できるというオンラインの強みと、これまで実店舗で積み重ねてきたFace to Faceのコミュニケーションというオフラインの強みをかけ合わせることで、これからの武器になると捉えている。また、Facebook Messengerのチャネルも開設。Facebook広告の活用から進め、最終的には疑問や不明点に答える問い合わせ窓口の設置も描いている。
さらに、デジタル施策の目的が、「顕在層の獲得」から「潜在層との関係構築」にまで広がってきているという。
男性用ウィッグという商材は、購入検討のリードタイムが非常に長い。なんとなく気になったり、ぼんやりした心配を抱えたりしている潜在層は膨大だ。その層に、ライトな情報を提供する基盤を確立し「心地よい関係性」を作っていくことが、スヴェンソンのこれからのテーマだ。
圷氏は最後に、「ここからまた新たな取り組みが見えてくるでしょう。この取り組みを続けていった先の展開を探していきたいと思います」と締めくくった。
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