ゲーム要素で「楽しく歩いて健康な生活」をサポート
MarkeZine編集部(以下、MZ):2016年リリースの「aruku&(あるくと)」は、100万ダウンロードという人気のウォーキングアプリだそうですね。まずはアプリの詳細と、現在の業務内容を教えてください。
西澤:aruku&はウォーキングアプリのカテゴリーにありますが、本格的なダイエットやウォーキング支援とは少々異なり、歩く体験を楽しむためのアプリです。アプリ内の地図にいる住人からの“依頼”を引き受けて、指定の歩数を達成すれば、お宝カードがもらえたり、キャラクターを集めたりできます。
お宝カードを集めると、日本各地の名産品や賞品が当たるプレゼント企画に応募できます。本格的なダイエットアプリというより、こうして日本のことを知っていただきつつ歩数を意識してもらうことで、ユーザーの健康や体作りに貢献したいと考えています。長く遊んでいただくことをサービスの軸・根幹として、日々運用に当たっているのが私の業務です。
藤田:西澤と同じaruku&の企画チームに所属し、ディレクターをしております。担当しているのは、長く続けてもらうためのゲーム要素を考える業務です。具体的にはキャラクターの設計から賞品の選定、ストーリーやデザインなどを1から企画しています。
MZ:ユーザーの構成比はどのようなものでしょうか?
西澤:男女比はほぼ半々ですが、女性の方が若干多いです。年代のボリュームゾーンでいえば、男性なら40~50代、女性なら30~40代となっています。
より手軽な応募&当選体験の増加でファン化を加速
MZ:aruku&でSBギフト様のソーシャルギフトサービス「ポチッとギフト」を導入されたとのことですが、そのきっかけを教えてください。
西澤:aruku&には2つの課題がありました。1つ目は用意できる賞品数に限りがあること。私たちもなるべく多数のユーザーの方に当選体験を提供したいのですが、やはり限界があります。特にユーザー数が増えると、応募総数も増えて当選確率は低下するので、ユーザー数が拡大すると、当選自体が難しくなってしまいます。
西澤:2つ目は当選者に発送する賞品の場合、「発送をもって当選発表とさせていただきます」というケースが多いので、ユーザー側からすると当たったかどうかわかりづらいということが挙げられます。手軽に、その場で応募して当選がわかるというサービスを通じて、当選体験を提供したいという思いがありました。
藤田:aruku&では、キャンペーンの数も多いです。キャンペーンをコンスタントに回していく必要があるのですが、発送が必要な賞品は、どうしても準備や使用許諾に時間がかかってしまうという課題がありました。
MZ:そこで「ポチッとギフト」を導入されたわけですね。導入に当たり、評価したポイントは何だったのでしょう?
西澤:まず、aruku&は日本全国のユーザーに利用されているアプリなので、「全国どこでも交換できる」という点が条件になります。その点ポチッとギフトは、その場で当選がわかるという手軽さ、クーポンやギフト券をすぐにお渡しでき、しかもコンビニエンスストアですぐに商品を交換できるという利便性があります。コンビニエンスストアなら、全国どこにでもありますよね。これは大きなポイントでした。
また、賞品が自宅に届くのを待つのではなく、「コンビニまで歩いていき、賞品を引き換える」という部分も、アプリのコンセプトにマッチしていると思います。
藤田:ポチッとギフトであれば、事前の使用許諾やクリエイティブのチェックが簡単にできます。急遽決まったキャンペーンで、時間がないなかでも実施できるので、非常に頼りになっています。プレゼントキャンペーンが非常に手軽に実現できるのも魅力ですね。
在庫コストがかからず、ギフトの個数を柔軟に設定
MZ:「手軽さ」とは、具体的にどういったものでしょうか?
藤田:デジタルギフトなので、まず送料がかかりません。その分商品に充てることができ、賞品数を多く出すことができます。ユーザーやキャンペーンの規模に合わせてポチッとギフトの賞品数を調整しています。その際、他社のギフトサービスでは、年間購入額が条件になったり、発注個数に柔軟に対応できなかったりと条件があるのですが、ポチッとギフトは非常に柔軟に調整できるのが大きいですね。
長年セブン-イレブン様がサプライヤーになっていて、発注個数に柔軟に対応くださっています。こちらの都合で「今回は小規模で」「今回は多数で」と個数に幅があっても対応いただき、助かっています。
藤田:また在庫を抱えるリスクやコストがありません。食品の場合は賞味期限がありますがポチっとギフトだと、ユーザーの好きなタイミングで交換できるので、そうした心配も必要ないのが魅力です。
手軽に実装可能 ユーザーのアプリ起動のモチベーションにも
MZ:具体的なキャンペーン事例を教えてください。
西澤:先ほどもお話ししたように、aruku&のユーザーは男女比がほぼ半々、幅広い年齢層の方にお使いいただいています。なかでも、「ポイ活」といわれるポイント収集に熱心な方や、懸賞好きな方は大事なターゲット層の1つと考えており、実際にユーザーのインサイトもそうした方々が多くいらっしゃいます。
今展開しているキャンペーンは、まさにこうしたターゲットの既存ユーザーを活性化するタイプの施策です。「1,000歩歩けば、1回賞品応募ができる」というキャンペーンで、デジタルギフトを配信しています。
賞品を実際に発送するとなると、どうしても住所や電話番号といった個人情報のやり取りが発生しますし、そのコミュニケーションに時間がかかります。ポチッとギフトの場合、当選するとデジタルギフトのURLがそのまま表示されるだけで、個人情報のやり取りは必要ありませんし、その場で当選がわかってデジタルギフトやクーポンがもらえるので、モチベーションも向上すると思います。
MZ:「1,000歩歩いて応募できる」というのは、応募側からすると手軽に楽しめる一方、運用面では応募数と当選数が増え負荷が高くなるのではと思ったのですが、その点はいかがですか?
藤田:年間発注金額の縛りがなく、柔軟に個数を用意できる点は先ほどお話しした通りですが、運用面でも非常に工数が少なく容易に連携できる点が助かっています。デジタルギフトなので、URLで納品いただく形になりますが、そのURLをシステム内にコピー&ペーストするだけで簡単に連携できます。
他社のギフトサービスの場合、賞品設定に当たっては、入稿シートを細かく記入して納品していただく形になることが多いのですが、ポチッとギフトはメールで連絡して見積もりをいただき、URLを設定するだけ。スムーズにやり取りできるので、準備工数も削減できます。全体的に作業工数がほとんどかからず、簡単に賞品を設定できるのは、他にはないメリットだと思っています。この点も、デジタルギフトを使ったキャンペーンが行いやすいように、SBギフトさん側で柔軟に対応いただいているようです。
応募数が既存のキャンペーンと比べて3倍増に
MZ:具体的に、どのような成果がありましたか?
西澤:毎月出している定常の賞品と比べると、ポチッとギフトの応募数は、約2.5倍となっています。最も多い応募数だと、3倍以上の開きがあるほど。それだけユーザーの関心を集められていると考えています。この成果は、本当に感謝しています。
また応募が簡単なことが、アプリの起動率にも貢献していると思います。実は歩数計アプリを起動する回数は一般的に非常に少ないんです。ほとんどの方は、朝会社に着いて歩いた歩数を見て終了し、夜帰宅してからまた歩数を見る。せいぜい2回、多くて3回くらいなんです。
ですがaruku&は、1日の平均起動回数が約6.5回です。歩数計のアプリでいえば、これはかなり高い数字です。賞品への関心や応募の手軽さといったことが要因となって、起動につながっていると考えています。事実、賞品の更新がある日は応募数が跳ねるので、「待ってくれたのかな」という手応えも感じます。
MZ:特に好評だった属性はありますか?
藤田:年代や性別に関係なく、多くのユーザーから好評ですね。賞品も、好き嫌いが分かれるようなものではなく、幅広く人気の賞品を選ぶようにしています。
MZ:具体的には、どのような賞品ですか?
藤田:全国に流通しているチョコレートやコーヒーなどを賞品にすることが多いです。こちらで全国流通の商品を選んで懸賞のプレゼントに利用することはなかなか難しく、事前の許諾が必要ですが、ポチッとギフトは一括して準備をお任せできるので、みんなが好きなものを賞品にできる強みがあります。
ユーザーの80%が翌月も継続!ユーザーリテンションにも貢献
MZ:この施策を通じて得た学びや、次に活かしたい企画があれば教えてください。
西澤:当選体験を増やしたいということで導入したのですが、その当選体験を含め、ユーザーの継続利用につながっていると感じています。というのは、ヘルスケアアプリは、翌月の継続率が約10%といわれています。その点aruku&の翌月継続率は、約80%です。当選体験を増やしていったことが、こうした成果につながったと考えています。
藤田:当選体験の向上は、今後も進めていきたいですね。
MZ:最後に今後の展望をお聞かせください。
西澤:おかげさまでaruku&は、100万ダウンロードを突破いたしました。当たることを期待してアプリをインストールした初心者の方の思いに、私たちがどれだけ応えられるかが重要です。今後は、初心者の方に向けた施策を検討していきたいと思っています。
藤田:先日、aruku&の公式Twitterアカウントでリツイートキャンペーンを実施しました。ポチッとギフトにはTwitterと連携できるキャンペーンシステムがあるので、それを活用した形です。この取り組みにより、新しいフォロワーさんを多数獲得できたので、そこから次の段階として、アプリ自体を楽しんでいただくフェーズにつなげていきたいと考えています。これまでにない新しい見せ方を工夫していきたいですね。