ミドルファネルは、ブランドマネージャーの力量を測るポイント
昔からあるファネルの議論としては、AIDMAやAISAS、SIPSが代表的でした。アクションで終わっていたこれらのファネル理論は、今は購買者のシェアが加わり、ダブルファネル化しています。特にインフルエンサーによる認知は、マスメディア認知のそれとは別の価値を持つに至っています。
いずれにしても、「こうしたファネルに従って認知から購買へのプロセスを正確に踏んでいく消費者って本当にいるのか?」という疑問すらわくように、実態は人によっていろんなプロセスがあることは想像がつきます。
そして従来のファネルのプロセスで最も怪しいのがいわゆる「ミドルファネル」です。漠然と「興味」「関心」「比較」「検討」などと消費者の状態を表すことが多いのですが、これはあくまで一般論です。対象のブランドにおいてはどんな状態をミドルファネルとして定義するかが重要といえます。このミドルファネルをどう定義して、効果的な施策が打てるかどうかが、ブランドマネージャーの力量を測るポイントとなってきます。
ミドルファネルを構成する要素
さて、このミドルファネルの第一要素は「レリバンシー(relevancy/関連性)」、つまり「このブランドは自分と関係がある」と意識させることであると考えます。その「レリバンシー」を獲得するためには、対象ブランドではどんなコミュニケーションが効果的かを思索する必要があります。そのためにはまず対象ブランドにおける「レリバンシー」を具体的に定義しなければなりません。また、定義した「レリバンシー」獲得のためにはどんな接点でどのようなコミュニケーションがより効果的かを、同時に発想することが求められます。
もちろんデジタル領域での接点は重要な構成要素です。そして、この時大切なことは、消費者に「自分事化」させるコンテキスト(文脈)の発見(またセグメントごとの文脈想定と検証)と、コミュニケーションの接点(つまりはメディア)の想定は一緒に議論しないといけないということです。また、このメディアとは当然、ペイドメディアだけではありません。
従来マス広告プランニングにおいては、クリエイティブとメディアプランニングはまったく分岐して、別のプランナーによって策案されることが非常に多かったと思います。しかし、デジタル時代のコミュニケーションデザインでは、旧来型の分業は馴染みません。さらには、デジタルで可能なターゲティングとそれぞれにマッチングしたメッセージ開発は同一チームで行われるべきです。言ってみればそれは新たなスキルなので、いろんな知見を融合して化学反応を起こすように意識的に組まれないといけません。