精緻なPDCAより得られたLINE広告運用のポイント
MZ:広告のクリエイティブについて、工夫されていることを教えていただけますか?
尾﨑:広告のクリエイティブは、細かい検証を重ねてきました。たとえば、静止画のクリエイティブの場合は、カメラマンが撮影した綺麗な構図のものより、ユーザーがスマートフォンで撮影したような親近感のある写真のほうが、CTR(クリック率)が3.6倍と圧倒的に高くなりました。配信面のひとつであるLINE NEWSは報道写真が多い傾向があるため、こうした親近感のある写真が逆にユーザーの目を引くのではないかと考えています。撮影工数やコストも抑えられるので、我々のようなスタートアップ企業にとっては有難い傾向でした。
またテキスト要素であるクリエイティブのタイトルについては、機能訴求とベネフィット訴求の2つのパターンで検証をしてきました。機能訴求とは、「毎月届く自分専用のおやつの定期便」「届く時のワクワクをお楽しみ下さい」というように、プロダクトの機能や魅力の紹介に軸を置いたタイトルです。一方、ベネフィット訴求は「私がコンビニのおやつを買わなくなった理由」など、プロダクトによってユーザーが得られる具体的な変化や効果を軸にしたものです。
この2つで検証したところ、ベネフィット訴求のほうが機能訴求よりも新規獲得率が約2倍高くなることがわかりました。自身の利用シーンをイメージしやすい点が結果に表れたのだと思います。
MZ:静止画以外のクリエイティブフォーマットは活用されていますか?
尾﨑:はい、動画広告を活用しています。動画は静止画と比べるとCPM(広告が1,000回表示されるごとに生じる広告費)は1.7倍高く出るのですが、それ以上にCTRが5.4倍ほど高く、最終的にCPA(顧客獲得単価)を約30%抑制することができています。結論としては、静止画と同等か、もしくはそれ以上の新規獲得に貢献しています。
また、各配信面の特性に合わせて、静止画と動画の両方を活用することでリーチ数を拡大できるというメリットもありますね。パフォーマンスが同等であるのなら、両方展開するほうが全体的に成果を上げられると思います。
CPAを重視しすぎた過度な訴求に注意
MZ:LINE広告の運用において、注意されていることはありますか?
尾﨑:LINE広告に限らずですが、新規顧客の獲得で注意しているのは、「CPAを重視しすぎて無茶な獲得に走らないこと」です。CPAを絶対指標にすると、出稿量の増加による過度な訴求をしてしまったり、CVRが上がっても最終的なLTVが下がってしまったり、といった状況に陥る可能性があります。数値の良し悪しのみを重視してお客様に寄り添わない訴求をすれば、お客様の心も離れてしまいますよね。既存のお客様が周りの人やSNS上で勧めたくなるようなプロダクトであり続けることが重要で、その先にサービスの継続率がついてくると考えています。
MZ:LINE広告ならではの利点を感じる部分はありますか?
尾﨑:運用者視点で言うと、LINEは広告の審査基準が厳しいので、他社のアドネットワークやディスプレイ広告と比較すると、表示される広告の質が高いと感じています。ブランド毀損のリスクが低いという点もLINE広告の特長ではないでしょうか。