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第106号(2024年10月号)
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毎月200人にインタビューする SHIBUYA109 lab.が掴んだ、Z世代の消費のモチベーション

 「実務」「実践」「再現性」の切り口から、マーケティングの次の一手を探る「MarkeZineプレミアムセミ ナー」。7月15日実施回「メリハリ消費がキーワード!Z世代のお金の使い方」には、若者研究機関 「SHIBUYA109 lab.」所長の長田麻衣氏が登壇。調査データを用いた解説と現役高校生・大学生とのトー クセッションの2本立てで、Z世代の消費動向が多面的に語られた。

毎月いくら使ってる?Z世代のお財布事情

 SHIBUYA109 lab. は、SHIBUYA109エンタテイメントが運営する、若者調査に特化したマーケティング研究機関だ。毎月200人のaround20(15歳から24歳)へのグループインタビューやアンケートなどから、Z世代のトレンドや消費価値観を捉えている。得られた知見はSHIBUYA109のMDやリーシング、館内リニューアルなどに反映しているほか、外部企業のマーケティング支援も行っている。

 はじめに取り上げられたのは、Z世代の“お財布事情”だ。SHIBUYA109 lab. が2021年、男女各200人(計400人)を対象に実施した調査によると、Z世代の月々の出費は平均6万円弱。昨年までの調査では7~8万円だったことから、減少している。Z世代の収入源の8割を占めるアルバイトがコロナ禍の影響で減ったことで、出費を抑制しているためとみられる。

 支出の内訳は、1位が交際費、2位が貯金、3位がファッション。長田氏は「友人などとコミュニケーションを取ることに相応のお金を使うのが特徴」と分析する。

財布の紐が緩むのは「体験・参加型」の消費

 SHIBUYA109 lab. では、Z世代の消費行動を4つの軸で整理している。それぞれについて、具体例とともに説明された。

Z世代の消費価値観4要素

(1)体験消費・参加型消費
(2)間違えたくない消費
(3)応援消費・親近感消費
(4)メリハリ消費

(1)体験消費・参加型消費

 「体験消費・参加型消費」は、Z世代の財布の紐が緩むポイントだ。彼ら・彼女らはモノを買うよりも時間を共有すること、新しいコミュニケーションが生まれることに価値を感じている。たとえば2019年の支出内訳調査を見ると、男女ともに「旅行」が3位以内に。また女性のaround20世代を中心に、テーマパークなどに行く際にメンバー全員が同じ服装をする“おそろコーデ”や、柄や色をそろえる“リンクコーデ”をして楽しんでいるという。

 コロナ禍で外出が制限され旅行やレジャー費用が減った分は、別の楽しみ方に転換されている。たとえば韓国料理をホテルにテイクアウトして韓国旅行を再現し、写真を撮ってSNSに載せる「渡韓ごっこ」、近郊のおしゃれなホテルで誕生日会をする「ホテル女子会」などが人気だ。

 「体験消費・参加型消費のポイントは『自分たちが楽しめるか』ということだけでなく、『SNSに投稿して、さらに新しいコミュニケーションを生み出せるか』が重視されている点です。コロナ禍の影響で非日常がさらに大切にされる傾向があるため、こうした需要は今後一層高まっていくと思います」(長田氏)

(2)間違えたくない消費

 次に「間違えたくない消費」について。長田氏は「インタビュー中に気になった行動について『なぜそうしたのか』と聞くと、『絶対に失敗したくないから』という回答が多いのがこの世代の特徴」と明かす。Z世代の多くは現時点では学生や社会人になりたての立場で、自由に使えるお金が限られている。またデジタルツールに囲まれて育ち、情報収集の高いスキルを有しており、SNSでのコミュニケーションによって周囲の目を意識してもいる。こうした要素が重なり合い、「失敗しないようにしよう」と慎重になるのだろう。

 具体的には、買い物の前には求める情報に合わせて複数のSNSを使いこなし、情報を入念に吟味する。具体的なテキスト情報を知りたいときはTwitter、ビジュアルで判断するものはInstagram、トレンドワードや期間限定商品など若者のマストレンドを得るのはTikTok、そしてメイクの仕方や着こなしなど過程を知りたいものはYouTubeという具合だ。

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この記事の著者

那波 りよ(ナナミ リヨ)

フリーライター。塾講師・実務翻訳家・広告代理店勤務を経てフリーランスに。 取材・インタビュー記事を中心に関西で活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/10/06 09:00 https://markezine.jp/article/detail/37374

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