BtoBマーケティングのグローバルトレンド、注目の2大トピックス
では、BtoBマーケティング業界における近年の注目トピックスの紹介からスタートしようと思います。
世界中のBtoBマーケティングカンファレンスで、ここ数年よく話題になるトピックの一つが「AIとどう向き合うか」という問題です。生成AIの登場でメールマガジンの作成などマーケターの仕事も取られつつある中、どんなスキルを持っていたら生き残れるのかが議論されています。
BtoBのマーケティングテクノロジーは、不景気の度に進化し、ソリューションの数が増えてきましたが、現在はそこにAIがプラスされ進化が加速しています。たとえば、多くのマーテック市場を分析しているスコット・ブリンカー氏が作成した2024年版のマーテックランドスケープ(別名カオスマップ)を見ると、新しいテクノロジーの数は1万5,000を超えていることがわかります(図表1)。
しかし、残念ながら、この1万5,000の新しいテクノロジーの大半は日本市場に興味がありません。彼らは、進化したツールを理解し使いこなせる日本企業は少ないとわかっているからです。これは、「道具の活用レベルは人や組織のナレッジに導かれる」ということの証明です。
もう一つ大きなものは、「Good bye MQL」というトピック。シリウスディシジョンズ(現フォレスター・リサーチ)が約20年前にデマンドウォーターフォールという世界基準を作りました。BtoBマーケターは、この基準にあるMQL(Marketing Qualified Lead)からのアクセプト率が評価軸である時代が長かったわけです。ところが、2年前から彼らは「Good bye MQL」と言い始めました。
これは、個人のMQLをトレースしてもあまり受注は出ないが、一方でその人を中心にした集団から受注が出ることがわかってきたからなのです。個人の行動は詳細にトレースできますが、集団についてはメンバー全員がMA(Marketing Automation)のデータの中にいるわけではないため、その人のシグナルをどうキャッチするかが重要になります。そのためには1st、2nd、3rdといったパーティ全てからのシグナルを見逃さないようにマーケティングを設計するのが重要で、これをシグナルベースドマーケティングといいます。
さらに、MOps(Marketing Operations)からRevOps(Revenue Operations)への移行が進み、マーケターはより上流工程を担うようになってきたことで、今まで以上にテクノロジーに精通することが重要になってきています。