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MarkeZine Day 2021 Autumn

ブランドトラッキングとパーパスは常識へ。マスにもD2Cにも欠かせない「これから」のブランディング戦略

ブランドの新陳代謝が活発な現在、取り組むべき2つのこと

 旧来型・D2C型の戦略を知った上で、マーケティングの戦い方が変化している現在、どのように他のブランドと差別化すれば良いのだろうか?

 消費財カテゴリーについて「本当に参入障壁が低くなっています」と木村氏は語る。デジタル上での売買ができる今、新たなブランドが次々と生まれ、短期で爆発的な売上を獲得するブランドも登場し、大手による独占は崩壊したといえる。また消費者は選択肢が増えブランドに対する目利きが増しているため、継続して利用してもらうこと自体が難しく、ブランドの新陳代謝が活発だ。

 「大手でもスタートアップでも消費者に真摯に向き合うブランドがシェアをじわじわ拡大している傾向にあります」(木村氏)

 サービスやブランドの在り方が大きく問われるこれからの時代、差別化のために取り組むべき事柄として、木村氏は「ブランドイメージのトラッキング」と「自社ブランドに取り込むパーパスの策定」の2つを挙げる。

定点観測でブランド戦略を明確化

 トラッキングというと、CPAなどのデジタル広告の効果指標を連想するかもしれない。確かに、それも一つの指標だ。しかし、「デジタルだけを見ていると売上は頭打ちになり、結局ブランディングをよくしようと考えるタイミングが来るようになります」と木村氏は語る。

 だが、いざブランド戦略を進めようにも自社のブランドイメージを身内の評価だけで定め、客観視できていないケースも珍しくない。それでは結局、見当違いの施策しか打てない。

 「ブランドイメージとは、プロダクトやサービスの品質を超えた価値やイメージです。それを可視化し、数字化することが非常に重要だと思います」(木村氏)

 木村氏は企業やブランドによってトラッキング対象が異なると前置きした上で、わかりやすいブランドイメージのトラッキング指標として認知率や購入意向率を挙げる。また、ニッチな領域であればカテゴリー自体の認知率を把握することも欠かせない。また、トラッキングは単発ではなく定点観測を続けることが重要だと木村氏は強く伝える。

 「できれば少なくとも四半期に1回ぐらいのペースで観測していくことで、様々な傾向が見えてくると思います」(木村氏)

 自社や競合の状況、消費者のインサイトをトラッキングし、ブランドイメージの理解を深めるとともに、マーケティング施策やロイヤリティについてもCPAやLTVに加え、認知や好感度を加えた多角的かつ継続的な評価を行うことで、どこに投資すべきかが明確に見えてくるという。

 「ブランドイメージがぼんやりしているとリスクを分散させながら投資をする傾向が強く、またデジタルマーケティングの運用の部分での数字をトラックするので短期での売上確保が起点になります。定点観測することで、一つひとつの戦略が明確になり一点突破が可能になります。多角的な評価ができるため視野も中長期的になります」(木村氏)

これからの時代に避けられない、Purpose Led Marketingとは

 2つ目のパーパスについて「これからのマーケターにとって、パーパスという軸は絶対に避けられない課題」と木村氏はいう。

 日本語では社会における存在意義などと訳され、Purpose Led Marketing・パーパスコミュニケーションといった使われ方をする。木村氏はこれらを「共感によって選択してもらうことを意図した、一つのマーケティングの方法論」と見解を示す。

 技術による製品の差別化が困難な現在、ブランドが提供するものは何か(what)ではなく、ブランドの理念やストーリー(why)に価値を見出すユーザーがZ世代を中心に増えている。また、日々大量の情報を消費する生活者にとっては、よほど関与度の高いブランド出ない限り、生活者の脳内シェアを維持することは難しい。

 「消費財が想起されるのは買い替えのタイミングくらいだと思います。その段階でいかに早く思い出されるブランドになるかです。記憶に残る確度を上げるために生活者・人間として感情を喚起したり、より興味があるものに価値を変換していく戦略がPurpose Led Marketingです」(木村氏)

 木村氏はユニリーバグローバルのCEO Alan Jope氏の言葉も借り、あくまでもパーパスは利益追求の手段であると説く。

 CSRと混同されがちだが、この考えに基づくとCSRは売上や利益追求とは別軸の活動であるため根本的に異なることがわかる。また発生した社会課題を解決しつつ利益を追求するCSVとも、活動の要因が社会課題という外部に対するものなのか、自社の存在意義という内部に起因するものなのかという点で異なる。

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この記事の著者

タカハシ コウキ(タカハシ コウキ)

1997年生まれ。2020年に駒沢大学経済学部を卒業。在学中よりインターンなどで記事制作を経験。卒業後、フリーライターとして、インタビューやレポート記事を執筆している。またカメラマンとしても活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/10/28 07:00 https://markezine.jp/article/detail/37428

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