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Criteoが調査で明かす、実店舗・Eコマースに起こる5つのトレンド 対応策も解説

 本記事では、Criteoでセールスプロモーション&マーケティングマネージャーを務める中村氏にインタビュー。Criteoが独自に調査した「2021 ホリデーコマースレポート」をもとに、小売・Eコマースで起こっている5つのトレンド、そして求められる広告主の対応策について聞いた。

コロナ前と比べ、小売のオンライン売上は22%増加

――Criteoが発表した、ホリデーコマースレポートの結果について教えてください。

 今回のホリデーコマースレポートでは、大きく5つのトレンドが見えてきました。それぞれについて、解説していきたいと思います。

1.Eコマースの勢いは来年も世界中で継続

2.「いつでも利用できるコマース」が購入時期を早める

3.あらゆるチャネルで季節限定商品との出会いが起こる

4.実店舗が年末シーズンの支出や人々の興奮を掻き立てる

5.今年のホリデーシーズンは動画配信がさらに影響力を増す

CRITEO株式会社 Chief Industry Strategist 中村 祐介氏
CRITEO株式会社 Chief Industry Strategist 中村 祐介氏

1.Eコマースの勢いは来年も世界中で継続

 1つ目のトレンドは、Eコマースの勢いが今後も止まらないということです。2022年以降もEコマースの利用が加速していくことが予想されます。国連貿易開発会議(UNCTAD)の統計では、小売販売におけるオンライン売上の割合は年々増加しており、2020年は全体の19%まで増えております。

 2020年の年末商戦では、多くの実店舗が新型コロナ対策を徹底した上で営業を再開しましたが、多くの消費者はオンラインショッピングを利用しました。Criteoのグローバルデータでも、小売業者のオンライン売上は2020年12月初旬に前年比22%増を記録しています。

 2022年は、多少オフラインに回帰する動きもあるかもしれません。しかし、中長期的な目線で見ると、Eコマースの成長は引き続き続いていくものと考えております。

購入の早期化、複数チャネルの出会いが加速

2.「いつでも利用できるコマース」が購入時期を早める

 2つ目は、購入の早期化です。スマートフォンやスマートスピーカーなど、様々なデバイスからEコマースを利用できるようになり、コロナ禍でおうち時間が増加しました。これにより、消費者が購買に至るまでのスピードが上がっています。

 さらに、オンラインショッピングの方法の多様化も、購買スピードに大きな影響を与えています。2020年、年末商戦の前に実施したCriteoのアンケート調査では「クリック&コレクト(ネットで注文して店頭で受け取る方法)やアプリでの購入など、オンラインショッピングの新しい方法を発見し、今後もそれらを利用していきたい」と53%の方が回答しました。

 店頭になかった商品をオンラインで購入するといったケースも出てきていますので、消費者は自分たちが欲しい商品をあらゆる方法で探し、購入できる体制を整えていることがわかります。

3.あらゆるチャネルで季節限定商品との出会いが起こる

 3つ目は、年末商戦やブラックフライデーなど、ホリデーシーズンは新しい商品との出会いが起こるというトレンドです。Criteoが行った調査でも、「最近購入した商品を最初に見つけた場所はどこですか?」という質問に対し、1位は検索エンジン(39%)、2位は実店舗(33%)、3位はブランドのウェブサイト、アプリ(32%)と、オンオフ問わず様々な場所で新しい商品と出会っていることがわかっています。

 そのため、企業はオンラインだけでなく、店舗などのオフラインのタッチポイントを用意しておくことが必要になります。

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ホリデーシーズンに、実店舗がもたらす影響とは?

4.実店舗が年末シーズンの支出や人々の興奮を掻き立てる

 4つ目のトレンドは、新型コロナウイルスによる影響が収まっていくにつれて、実店舗にユーザーが戻っていくトレンドです。Criteoのデータからも、実店舗に関する示唆がいくつも出ています。

・実店舗が営業していれば、消費者は支出する

・最大の価値をもたらす顧客は、実店舗でもオンラインでも購入するオムニチャネルの買い物客

・消費者の半数近くがクリック&コレクトを利用する理由について「配送の遅れを回避できるため」と回答

 特にクリック&コレクトは「店頭滞在時間を減らしたい」というニーズに応える形で非常に増えています。また、「クリスマスプレゼントが配送だと間に合わないけど、クリック&コレクトなら間に合うから使う」「自分が行って受け取る安心感がある」といった傾向も見られています。

 さらに、Criteoの調査では、オンラインとオフラインの両方を使って購入する人のほうが、購入頻度が高いこともわかっています。そのため、実店舗とEコマースを上手く連動させて提供していくことが、小売の売上最大化につながるのです。

5.今年のホリデーシーズンは動画配信がさらに影響力を増す

 5つ目は、動画配信に関するトレンドです。Criteoは動画の視聴者の行動傾向や広告の好みに加え、年末商戦に動画が果たす役割について調査すべく、全世界の9,000人を対象にアンケートを実施しました。すると、「動画ストリーミングサービスは新しい商品・サービスの発見に役立っている」と45%が回答し、「動画ストリーミングサービスが購入の意思決定に以前よりも影響するようになった」と33%が答える結果となりました。

 消費者は動画の視聴中に広告を快く受け入れており、広告で目にした商品を検索・購入するなどのアクションを起こしていることがわかりました。またCriteoの調査では、認知から購入、ロイヤリティ(推奨)まで、ショッピングジャーニーの全行動の後押しに動画広告が貢献していることもわかっています。

セール期間はユーザーとの関係構築を強固にするチャンス

――ここまで5つのトレンドを解説していただきましたが、これらのトレンドを踏まえ、広告主はどのような対応を行うべきなのでしょうか。

 ホリデーシーズンが、ターゲットとするオーディエンスとの関係構築を行う上で、非常に重要な期間であると認識することが重要です。

 特にオンラインでは、これからきちんと新規・既存のお客様に対し正しくオプトインを取得する形で、データを提供してもらう必要が出てきます。データを提供してくれているユーザーに対し、特別なオファーを送ることで、ユーザーも「この企業にならデータを提供してもいいな」という関係を作る。これが、休眠復帰やロイヤリティ構築につながってきます。

 さらに今年は店頭にもユーザーが戻っていくので、オムニチャネルでの購買を促す上でも、ファーストパーティーデータを蓄積していくことは非常に重要です。今後のデータに関する規制・法改正に備える意味でも、データに関する同意をホリデーシーズンで取っていけるかどうかは大事だと思います。

――単に売上を上げる、新規ユーザーを取り込むだけでなく、ユーザーとの関係構築、データ提供の許可取りのチャンスでもあるわけですね。

 はい。加えて、弊社のようにコマースのデータを持っている企業を活用いただくのも1つの手です。どうしても自社で保有するデータだけで行えるマーケティングには限界があるので、グローバルでデータを持つCriteoなどと連携することで、キャンペーンの最適化につながると思います。

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Criteoはコンテクスチュアル広告とリテールメディアで対応

――では、これらのトレンドや対応すべきポイントに対し、Criteoはどのようなソリューションを提供していくのでしょうか。

 大きく2つのソリューションが考えられます。1つはコンテクスチュアル広告です。Webサイトの閲覧者ではなく、Webページのコンテンツを分析し関連性の高い広告を配信する方法になりますが、今後のデータ規制に対する対応策としてメインになってくると思います。

 そして、もう1つはリテールメディアの提供です。こちらは小売事業者とCriteoがパートナーになり、各社のEC内に広告枠を設置し、そこにCriteoで広告が配信できるサービスです。海外ではウォルマートが広告会社を買収するなど、消費者との広告接点作り、広告でのマネタイズに対する動きが起きており、リテールメディアは注目されています。

 Criteoは商品をレコメンドする技術を持っているので、ユーザーの体験を損なうことなく、最適な商品の広告を配信することができます。

 日本ではまだこれからですが、今後対応が進んでくると思われます。

消費者とどういった関係性を構築したいか考える

――最後に、Eコマース活用に悩む企業に向けて、一言アドバイスをお願いいたします。

 ホリデーシーズンにおける売上を最大化するために、目的とターゲットとなるオーディエンスをきちんと定めることが重要です。「ホリデーシーズンだから、とりあえずセールをやろう」だけでは、競合に打ち勝つのは難しいはずです。きちんとターゲットと目的を決め、どのようなアプローチをするのか考える必要があります。

 そして、先ほど申し上げましたが、ホリデーシーズンはターゲットとする消費者と関係構築できるタイミングです。新規・既存のお客様とどういった関係を築きたいのかを考えることが求められると思います。

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この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2021/12/17 11:00 https://markezine.jp/article/detail/37872