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「事業をどう伸ばすか」から会話してテレビCMを実施。Chatworkとノバセルが見出した戦い方とは?

 コロナ禍で普及が進んでいる、クラウド型のビジネスチャット。複数の企業がさらなる拡大を目指す中、新規顧客の獲得効率を大幅に上げるためにテレビCMを実施したのが、国内利用者数No.1*の中小企業向けビジネスチャットを提供するChatworkだ。本記事では、パートナーであるラクスルの広告のプラットフォーム事業「ノバセル」との取り組みの詳細を聞いた。

市場創造と自社プロダクトの認知向上、両方を目指す

MarkeZine編集部(以下、MZ):まずはお二人のキャリアと、現在のミッションをお話しください。

大森:Chatworkの大森です。私はアパレル、飲食、IT、人材など様々な業界で営業やマーケターとして経験を積んできました。Chatworkでは中期経営計画の遂行とともに、マーケティングで勝てる会社にするための体制強化を行っています。

立花:ラクスルの立花です。自身で社長も経験し、“事業を伸ばすこと”に対して様々なかたちでかかわってきました。Chatworkさんとも、セールスやマーケティングなど特定領域のHowの話だけでなく、「とにかく事業を伸ばすために何をすればいいのか」を一緒に考えさせていただいています。

(左)Chatwork株式会社 CMO兼ビジネス本部 マーケティングユニット ユニット長 大森 勇輝氏(右)ラクスル株式会社 ノバセル事業部 ビジネスプランニング部 部長 立花一雲氏
(左)Chatwork株式会社 CMO兼ビジネス本部 マーケティングユニット ユニット長 大森 勇輝氏
(右)ラクスル株式会社 ノバセル事業部 ビジネスプランニング部 部長 立花 一雲氏

MZ:ありがとうございます。早速ですが、Chatworkさんのビジネスについてうかがいます。現在のターゲット顧客や、マーケティングにおいて注力している課題を教えてください。

大森:我々のターゲットは中小企業、中でも「これからIT活用を進めていきたい」というフェーズのお客様です。ビジネスチャット「Chatwork」の提供を開始し10年ほど経ちますが、売上の約6割が自然増です。フリープランを用意しているため、お客様のほうから製品を見つけて使い始めていただくことが多く、その後一定の割合で有料プランへと移行し、クチコミで広げてくださるのです。

 まだまだ多くのお客様にご利用いただける余地があるのですが、認知が少なく“知る人ぞ知る”ツールになっている側面があります。ビジネスチャット自体の認知度も高くなく、我々の調査では、競合他社も含め、ビジネスチャットの普及率は2割未満という結果でした。つまり市場創造と自社プロダクトの認知向上、この両方が課題と言えます。

テレビCM実施の理由は?

MZ:そのような中、今回テレビCMに着目された理由を教えてください。

大森:新規顧客の獲得スピードを加速させることが狙いでした。ビジネスチャットはコロナ禍で市場が活況になり、競合他社も活発に動いています。ここでテレビCMによって「Chatwork」というサービス名を浸透させ、純粋想起を取っていくことで、デジタル広告のCPAを下げつつセールスの成約率を高めていこうと考えました。

 またこれまでの取り組みから、デジタル広告ではリーチできない層が一定程度存在することも見えていたため、網羅性の観点からもテレビCMが有効と考えました。

MZ:続いて立花さん、テレビCMの活用ニーズについて概況を教えていただけますか。

立花:特にBtoBのSaaS企業から、お問い合わせの数が増えています。SaaSは新規ユーザーを増やしてチャーンを防ぎ、中長期的に使ってもらうことで、利益を上げていくビジネスモデルです。大森さんがおっしゃったようにレバレッジをかけるなら、テレビCMはリーチコストが安く効率が良いと言えます。

大森:また今回は、今後のテレビCM実施に向けての学習材料を蓄積することや、ブランド力を高めて採用に良い影響を与えることなども見据えていました。

「事業をどう伸ばすか」から会話できるパートナーを求めていた

MZ:パートナーを選ぶ際に重視したこと、ノバセルさんに決定された決め手について教えてください。

大森:競合の動きも踏まえ、早く成果を出したかったので、失敗する回数は減らしたいと思っていました。そのためテレビCMの成功要因について他社の取り組みなども研究し、以下の3要素を満たすパートナーさんとご一緒しようと考えました。

(1)事業そのものや顧客の気持ちを理解して、戦略を一緒に考えてもらえる
(2)その戦略に基づいたクリエイティブを作ることができる
(3)PDCAを早く回せる

 ノバセルさんが他の代理店さんと大きく違ったのは、コミュニケーション戦略やテレビCMに行き着く前に、「事業をどう伸ばすか」について論理的に会話させてもらえたことです。

 またノバセルさんは、母体であるラクスルさんが自分たちの身銭を切ってテレビCMを放映し、勝ち切ったノウハウをお持ちです。それを共有したり再現してもらうことで、成功の確度が上がるのではないかという期待も大きかったですね。

立花:我々としては「ビジネスパートナー」であることは当然の姿勢です。ビジネスに貢献しようとすると、Chatworkさんの利益創出構造やユーザー獲得方法から考えていくことが欠かせません。自分たちでChatworkを使いこんで解像度を高め、競合他社のツールも使い、その違いを1人のユーザーとして理解しようと努めました。それがあって初めて、テレビCMの話に進むことができます。

 またノバセルには、BtoB/BtoCの事業会社でマーケティングを経験してきたメンバーが多数いますし、我々自身のサービスに多額の投資をしてテレビCMを運用し、事業を成長させています。大森さんもおっしゃるように、痛みは一緒です。

大森:もうひとつ、社内調整をするマーケター目線で言うと、やはりテレビCMはコストが大きいので、経営陣の理解を得ることが非常に重要です。経営陣に上申する際、どうやって説明し、納得してもらうかのハードルが高いのです。その点、ノバセルさんからいただいた資料をベースにして論理立てて説明したことで、社内からの理解も得やすかった。当社でもスムーズに事が進みました。

ノバセルが提案したのは、便益を言い切ること

MZ:続いて、テレビCMの企画・制作についてうかがいます。今回のクリエイティブが生まれた背景は?

ノバセルテレビCM制作事例 _Chatwork_ヒーロー・中小企業社長篇 15s

立花:N1インタビューなどの各種調査から、製品が市場に浸透をしていない段階で細かい優位性を語っても差が目立たず勝ちきれない、ということが見えてきました。一方、Chatworkさんはビジネスチャット国内利用者数No.1*という強みがある。その立ち位置を活かし、「ビジネスチャットならChatwork」と言い切って便益を伝えることが有効と結論づけました。

 これをクリエイティブに落とし込む際、出てきたアイデアが“サービスの擬人化”です。戦隊ヒーローのようなキャラクターを登場させて社名を連呼し、浸透を狙いました。

大森:実は当社でも、機能で差別化していくのは難しいという認識はありました。その中で、立ち位置を活かした“言い切り”を提案していただいたことは大きかったですね。

 またChatworkという会社はとても真面目な社風で、プロダクトもシンプルがゆえにどちらかと言うと硬派で地味なイメージをユーザーに与えてしまっている印象があります。テレビCMも同じタッチで制作してしまったら、他社のテレビCMの中に埋もれてしまうのではないかという懸念があったのですが、それに対して、今回のクリエイティブはパンチが効いていますよね。最初に経営陣にクリエイティブを見せた時、「これは外資系の競合他社はやらない戦い方だ」「国産ベンチャーの我々だからこそできるという反応で、すぐに採用が決まりました。まずは目を引くところから始めて、そこから徐々にプロダクトの優位性やビジネスチャットの利点を伝えていく戦略を描いています。

わかりやすい訴求が奏功し、各エリアで認知率が上昇

MZ:現在もテレビCMの運用を継続されていると思いますが、ここまでのお取り組みを振り返って、いかがでしょうか?

大森:1回目、2回目の放映を通じて、各エリアで認知率が5~6ポイント上がったという結果が出ました。わかりやすくインパクトのあるクリエイティブなので、想定した通りの良い結果が出ました。また、セールスメンバーが書く日報の中で、売りやすくなったという声も出てきています。

立花:最終的にクロージングを担当されるセールスの方々が売りやすいことも、我々は意識しています。テレビCMはあくまでパーツの1つですので、組織全体の戦い方と足並みをそろえることは重要です。

 現在取り組んでいるのは、ホリゾンタル×バーティカルという事業戦略の考え方をテレビCMにどう取り入れるか、ということです。Chatworkさんのお客様を理解することが欠かせないので、セールスの方々にもお話を聞かせていただいています。

大森:中小企業の経営者にはどんな課題やニーズがあるのかというホリゾンタルな理解と、製造業や不動産業といったバーティカルな理解の、両方が必要なんですよね。今まさに、それらの解像度をさらに上げていこうとしています。このことはテレビCMだけでなく、当社のマーケティング全体においても重要になります。

次なる課題は「地域放映量×クリエイティブ」の最適化

MZ:テレビCMの企画から分析まで一連のアクションをされた中で、改めて感想をお聞かせください。

大森:「認知率はしっかり上げられる」とわかったのは良かったです。一方、態度変容を起こして直接的にユーザーを増やすのは、想定以上に難しかったですね。この点については、15秒間のクリエイティブで何ができるのかをより研究していきたいと考えています。

 興味深かったのは地域による反応の違いで、想定以上に大きく差が出ました。それも単純に首都圏か地方か、という話ではないので少し驚いています。たとえば東京だと、圧倒的に大手企業が多いというように、企業規模や業種にも地域ごとの特性があるため、それが違いにつながっているのかもしれません。いずれにしても、エリアを広げて仮説検証させてもらえたことや、実施後、比較的短時間でこのような分析結果を見られるスピード感には、非常に助けられています。

立花:まだ完全な相関関係は見えておらず、より詳しく分析していく必要があると考えています。その中で今後していくべきことは、地域放映量とクリエイティブの組み合わせを最適化することですね。さらには「取れるべきリードが取れているか」までを検証したいです。そこまで追いかけることで、テレビCMがChatworkさんのビジネスに貢献していることを証明できると思っています。

* Nielsen NetView 及びNielsen Mobile NetView 2021年4月度調べ月次利用者(MAU:Monthly Active User)調査。調査対象47サービスはChatwork株式会社にて選定。

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この記事の著者

那波 りよ(ナナミ リヨ)

フリーライター。塾講師・実務翻訳家・広告代理店勤務を経てフリーランスに。 取材・インタビュー記事を中心に関西で活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/01/31 11:30 https://markezine.jp/article/detail/38027