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ヒットの裏にマーケあり

食パン業界の革命児が見出した「業界の誰もが気づいていなかった真実」

食パンは炊き込みごはん。だからプロデュースがおもしろい

高橋:実は先日、岸本さんがプロデュースされたお店の食パンを私もいただいたんです。とてもしっとり、みずみずしくて噛んでて嬉しくなる食感でした。また、生地の細かい繊維までしっかり香りと味が楽しめて、一言で言うとめちゃくちゃ美味しかったです! 食パンで勝負するだけあるなと感じました。

岸本:ありがとうございます。その言葉が一番嬉しいです! 食パンって生活に必要とされているものなので、ターゲットは大衆になるんです。私の求めるゴールは「1,2歳から100歳までみんなが食べられるパン」なんですね。そこから逆算して、食べやすさや口どけの良さ、風合い、甘さなどを設定し、プロデュースしています。

高橋:確かに日本人の主食は米かパンで、特に食パンは年齢に関係なく食べるものだからターゲットは広くなりますね。作る過程は機械化されているわけですから、成功には材料や配合がかなり重要ですよね?

岸本:機械の進化の中で老若男女に愛される食パンを作るには、粉の風合いや配合はとても大切です。もちろん、粉も機械と同様に進化しているので、製粉会社で新たに美味しいものができると聞いたら速攻で会いに行ってます。

 食パンって日本独自の文化で、はちみつや牛乳、卵と、いろいろなものが入っているんです。塩と粉だけで作るバゲットが炊いた白飯なら、食パンは炊き込みごはんという感じですかね。だからこそ、配合や風合いをいかにプロデュースしてゴールに導けるかというところがおもしろいんですよ。

出店する土地ごとに変化を付ける

高橋:なるほど。一般的にターゲットが広い商品は戦略も不明瞭になりがちですが、機械や粉の進化に敏感に反応していくことで、品質の面で良いポジショニングが取れているんですね。他にも取り入れていらっしゃることはありますか?

岸本:出店する土地ごとに、そこの水の特性に合わせた配合にしたり、地元の食材を使ったりと微妙に変えていることです。

 食パンは日常のものだから、店舗も1つの町に1つという感覚でプロデュースの依頼を受けているのですが、味の違いに気づいてうちがプロデュースしたパン屋さんを回っている方も結構いらっしゃいますね。                                            

高橋:今、高級食パンがものすごくブームになっていて、手土産などに選ぶ方も増えていますよね。岸本さんは火付け役として業界内外での認知が広がっていると思うんですが、ブームの前兆を読み取っていたんですか? それとも、ご自身がプロデュースすることでブームを起こせると思って領域を選ばれたのでしょうか?

岸本:製粉会社の方と情報交換をする機会も多いのですが、あるとき、ケーキ屋さんの売り上げが落ちているというお話をお聞きしたんです。当時はリーマンショックの後だったので、その影響もあったようですが、同時にコンビニエンスストアが本格的なケーキを売り出し始めて、顧客が流れているということでした。

 それを聞いてなるほどとは思ったのですが、いくらコンビニエンスストアが美味しいケーキを販売しても、ケーキ屋のギフト需要は絶対になくならないだろうというのは思いました。それで高級食パンの専門店ならいけるのではないか、と思ったわけです。ここまでブームになるとは思っていませんでしたけど(笑)。

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ブームの裏にあるマーケットインとプロダクトアウトのバランス

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この記事の著者

高橋 飛翔(タカハシ ヒショウ)

 1985年生まれ。東京大学法学部卒。大学在学中にナイルを創業。

 ナイルにて、累計1,500社以上の法人支援実績を持つデジタルマーケティング支援事業や自社メディア事業を発足し「ナイルのマーケティング相談室」「ナイルのコンテンツ相談室」などを運営。2018年より新規事業として月10,000円台でマイカーが持てる「おトクにマイカー 定額カルモくん」をローンチ。自動車産業における新たな事業モデルの構築に取り組んでいる。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/02/14 09:00 https://markezine.jp/article/detail/38280

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