社内外との連携でサービス改善専門の「グロースチーム」を発足
――KPIの整備についてはどのように進めたのでしょうか?
高野:課題をビービットさんのコンサルタントに相談したところ、「ステークホルダーごとにKPIを設定し、部門やチームごとにブレイクダウンした明確なKPIツリーを作るのはもちろん、au PAYに携わる全メンバーの共通目標となる『NSM(North Star Metric:ノーススターメトリック)』を定義した方が良い」とアドバイスをいただきました。
ここで明確になったそれぞれのKPIを達成するために必要だったのがグロースチームです。
――グロースチームとは具体的にどのような組織なのでしょうか?
川口:海外の先進的なIT企業などで採用されている組織の形で、マーケティングと開発の両面でサービスのグロースさせることを目的とした専任チームです。社内での発足に先立って参考書籍などから事例を学んだところ、一般的には社長直轄で大きな権限を持ち、様々なプロダクトに介入するものです。
なお我々の場合、社内文化や調達可能な人材の範囲から、最初からそこまでの組織は作れませんでした。そこでKDDIにマッチしたau PAYのグロースチーム作りについてビービットさんにご相談し、本場のグロースチームと近しいことをできるようにするために、どのようなパーツが必要なのか、フレームを用意していただきました。
高野:実際に発足したチームでは、多くは兼務ではありますが、デザイナー、エンジニア、データサイエンティストなど、計7名で構成しました。au PAY企画部から3名を送り込み、チームをけん引する役割を担ってもらっています。そこに、ビービットさんのコンサルタント3名が支援してくださっています。
ユーザー行動を可視化して課題の原因を究明
――グロースチームではKPI達成のためにどのような取り組みを行いましたか?
高野:ツリーで分解されたKPIに対してそれぞれの数字を改善していきました。たとえばチャージについては、初めて使う方、既に使っている方、アプリは開いているがチャージはしていない方など、お客様の分類をしてペルソナを作り、簡易的なカスタマージャーニーマップを作ることで見える化。それぞれの分類に基づいた施策を検討していきました。
――グロース活動においてはユーザー行動の分析が根本にあるようですね。新たに導入したUSERGRAMはどのように活用されたのでしょうか?
高野:まず、チャージ率が低かった理由がUSERGRAMによって明確になりました。USERGRAMでお客様のジャーニーを見ていくと、多くのお客様はアプリ内の様々な機能を行き来していることが見えてきました。つまり、お客様はチャージをしたかった。ところが、その方法がわからず結果として諦めるユーザーが続出していたのです。
川口:他の分析ツールでも、どのページにどの程度の時間滞在していたかは、把握できていました。ところが、同一ユーザーが様々な機能を行き来しているなどの事実は、USERGRAMのように、お客様のジャーニーが時系列でビジュアル化されていなければわかりません。
この「直感的に動きが見える・わかる」という部分がUSERGRAMの最大の特徴であると感じています。データ分析ツールに精通していないメンバーであっても、理解しやすく使いやすい。