利用促進につながるクリエイティブとは?
──博報堂の東さんにうかがいますが、今回のクリエイティブを制作する際に、どのような点を意識したのでしょうか。
東:今回のキャンペーンでは、認知の先にある顧客行動をどのようにして生み出すか意識していました。具体的には、オーダー数やユーザー数の増加を目指し「ソーリョー節」篇、「それ地球にいるうちに言ってよ」篇の2パターンを制作しました。

そして、顧客行動を生み出すために意識したことは、大きく2つあります。1つは、出前館のブランドポジショニングを確立するということ。競合サービスが「都会的/単身」のイメージが強い中で、出前館は全層的、つまり「お茶の間/ファミリー」のイメージを醸成して、競合よりも、より広い層にサービスを浸透させていくことを狙いました。
現状の設計で言うと、「お茶の間/ファミリー感」を印象付けるために、ディナー帯に流れそうなテレビ番組の印象を組み込んでいます。たとえば、「それ地球にいるうちに言ってよ」篇では、お金のかかったコント的な見え方を意識していました。
もう1つはアクティベーションです。今回「送料無料」「ピザ半額祭」など強力な訴求があり、それをどう到達力のある表現に落とし込むか、というところを考えました。たとえば、HIKAKINさんとはじめしゃちょーさんが「え? マジで?」と突っ込みを入れることで内容を際立たせています。
そして、最後には「出前館しようぜ!」の一言で、デリバリーする=出前館という習慣化を促すことを狙っています。

高木:「それ地球にいるうちに言ってよ」篇は、宇宙を舞台にお得なキャンペーンがあることをはじめしゃちょーさんがHIKAKINさんに伝え、「それ地球にいるうちに言ってよ」と突っ込む構成になっています。
こちらのクリエイティブは訴求する内容を変更できるようにしました。当時は送料無料だけでなく、ピザ半額祭などのキャンペーンも展開していたので、CMの一部分を差し替えることで効率的に転用できるようにしました。

オフライン広告×インフルエンサーの動画でリーチを拡大
──では、制作したクリエイティブをどのような媒体で展開したのか教えてください。
高木:一都三県でテレビCMをはじめ、様々なオフラインプロモーションを展開しました。テレビCMは対象エリアを中心に放映し、交通広告は新宿、渋谷、池袋、川崎、横浜などの主要駅の広告並びにJRや東急線の電車内広告など、過去最大級の規模で出稿していました。その他にも、アドトラックを一部エリアで実施したかたちです。
また、それらの広告を見た後の受け皿として、主要駅ではHIKAKINさんとはじめしゃちょーさんが入ったデザインのクーポン付きチラシをサンプリングしました。

三代:オンラインに関しては、HIKAKINさんとはじめしゃちょーさんが今回のキャンペーンに関する動画を投稿してくれた効果も大きく、YouTubeで自らが出ている交通広告をいじる企画などは反響が高かったです。
また集中してオフライン出稿したことで、交通広告を撮影してSNSに投稿する方が多く、SNS上の投稿量が以前よりも大幅に増加しました。