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MarkeZine Day 2022 Autumn

Z世代から選ばれるブランドになるには?消費者ではなく、パートナーとしてZ世代を捉える4つのキーワード


 マーケティングに携わる者であれば、今「Z世代」とも呼ばれる若者のインサイトを知ることは必須だ。9月7日から8日にかけて開催された「MarkeZine Day 2022 Autumn」に登壇した電通のブランディングディレクター・用丸雅也氏は、「Z世代から選ばれるブランドになるためには、消費者ではなく、『パートナー』としてZ世代を捉えることが重要」と説く。本稿では、Z世代のインサイトを紐解く4つのキーワードと、それらをどう企業のアプローチに活かしていけるのかが解説された用丸氏による講演をレポートする。

なぜ今、Z世代を知る必要があるのか?

 電通のブランディングディレクターであり、「電通若者研究部」で若者のインサイトの研究をしている用丸氏は、冒頭、「なぜ、若者(Z世代)を知る必要があるのか」と問いを投げかける。

 今、あらゆる企業が「ミッション」「ビジョン」「バリュー」のみならず、「パーパス」を掲げ始めている。自社の利益(=財務諸表)を追求するだけではなく、持続的な地球環境や労働環境、社会環境を作るスタンス(=非財務諸表)が問われているからだ。

 用丸氏は、「個社単独で達成できるものはパーパスにはなり得ません。『早く行くなら一人で行け、遠くへ行くならみんなで行け』ということわざがありますが、まさにその通りで、パーパスはみんなで達成するものなのです」と語る。

 つまり、企業価値を高めるためには、アカデミア、企業、学生、NPO、生活者など、あらゆるステークホルダーが力を合わせて達成する「この指止まれ」なパーパスの言語化と、パーパスを体現するアクション開発を両輪で回していくことが重要ということだ。

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株式会社電通
第2クリエーティブプランニング局 / Future Creative Center / 電通若者研究部 ブランディングディレクター
用丸 雅也氏

2017年、東京大学法学部を卒業後、電通に入社。企業のビジョンや事業領域の再規定と、それに伴うアクションや採用をはじめとする社内外コミュニケーション開発まで、広告領域に捉われないブランディング支援が得意。「若者から諦めるをなくす」という想いを形にすべく、電通若者研究部としても活動。受賞歴にD&AD ブランディング部門Yellow Pencil、ADFEST PR部門/ BRAND EXPERIENCE部門ゴールド、PR AWARDS ASIAゴールドなど多数。趣味はサウナとスナック巡り。

 「これからは、どの企業も生活者を『消費者』として捉えるのではなく、『パートナー』として向き合っていくことが重要になります。そして、なぜ若者を知る必要があるのかと問いを投げかけましたが、その答えは、若者を見ればそんなパートナーである“未来の生活者”の姿が見えてくるからです」(用丸氏)

当日の投影資料より(以下、同)
当日の投影資料より(以下、同)

「周りの目」が当たり前の環境で育ったZ世代

 Z世代と呼ばれるのは、1990年代後半〜2010年に生まれた人たちだ。同世代は、これまでの世代とは異なる価値観を持つと言われている。例として、用丸氏はZ世代研究の中で得た、実際のZ世代の声をいくつか取り上げる。

・学校の友達よりネットの友達のほうが本当の友達

・チームのキャプテンは、背中を見せるキャラよりも、いじられキャラだとうまくいく

・1番組30分もあるテレビ番組は長い

・配属先保証、かつ副業OKじゃない企業には行きたくない

 さらに用丸氏は、Z世代をミレニアル世代と比較する。

 「ミレニアル世代は、多感な時期にSNSが発達し、世の中と急激につながった世代です。急激に周りの目に晒されたことで、自分の本音と実際の行動の間に『周りにどう見られるか』というフィルターが強く生まれたのです。ミレニアル世代の特徴として、すぐ検索をしたり、『KY(=空気読めない)』という概念を持っていて周りとうまくやっていくことを重視するということがあります」(用丸氏)

 一方Z世代は、物心ついたときからSNSが当たり前に存在しており、「周りの目」があるのは当たり前で、世の中とずっと繋がってきた世代である。だからこそ、これまでの世代とは異なる価値観を持っていると言われているのだ。

一般化された正解よりも「自分だけの正解」を大事にする

 では、Z世代はどのような特徴を持っているのか。用丸氏は、Z世代を捉える4つのキーワードを取り上げた

 1つ目は「正解より納得解」。Z世代は不況生まれで、テロや戦争、未曾有の災害と隣り合わせに育っているため、自分の常識が急に通じなくなるという経験をしている。これまでの当たり前が通用しない時代に育ったZ世代は、前提を疑い、本質を問いかける力が育まれた。絶対に大丈夫なものはないという漠然とした不安を持っているため、自分らしい能力やスキルを獲得したいという意欲を高め、一般化された正解よりも自分だけの正解、つまり納得解を大事にしている。親子関係も、かつてのタテの関係から、「相談・並行」のヨコの関係に変化している。

 「『かっこいい』と感じる視点も『表面』から『内面』にシフトしています。たとえば最近、大学生に『誰のことをかっこいいと思うか』を聞いたところ、King Gnuの常田大希さん、モデルの水原希子さん、お笑い芸人『EXIT』の兼近大樹さんの3人を挙げる方が多い。3人に共通するのは『スタンスを持っている』ところ。正解がないからこそ、スタンスを持って生きることや信念を持って行動する姿がかっこいいと支持を集めています」(用丸氏)

 また、健康に対する考え方も変わってきている。健康は積極的に行うもの、つまり「Be」ではなく「Do」するものとなった。「正解がない時代だからこそ、唯一確かなものは自分への投資。だからこそ『趣味は健康』と語る方も増えています。サウナやマインドフルネスなど、健康は個性としてまとうものになってきて、体の健康よりも心の健康のほうが優先順位が上がっている傾向がある」と用丸氏は解説する。

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お金ではなく時間、モノの品質ではなく自分の個性を大切にする

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

 就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務やWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業。編集プロダクション業務においては、IT・HR関連の事例取材に加え、英語での海外スタートアップ取材などを手がける。独自開発のAI文字起こし・翻訳ツールなど...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/09/28 10:34 https://markezine.jp/article/detail/39084

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