マーケティング担当が求められていること
コロナ禍をきっかけにデジタル化が急速に進んだことで、マーケティング担当者の役割や業務にどのような変化が出ているのでしょうか? 2021年の調査結果によると、「デジタルの知識やスキルがより求められるようになった」が44.1%と最も高く、「担当業務が増えた」「会社からの期待値が上がった」「他部署の連携が増えた」「組織の形態や人員規模が変わった」という回答がそれぞれ20%台でほぼ横並びでした。
マーケターへの期待の高まるとともに、求められる知識も増えている様子がうかがえます。2020年の調査と比較すると「組織の形態や人員規模が変わった」が9.7pt増加しており、各社がマーケティングをとりまく環境に合わせて体制を整えているようです。
また、「期待値が上がった」が4pt増、「担当業務が増えた」が3.5pt増、「ノルマが増えた」が3pt増とプレッシャーや負担が増える一方で、「待遇や役職が改善された」の増加は0.5ptにとどまり、厳しい現実がうかがえる結果となりました。
なお、マーケティング担当者の売上への関与については、「売上は、マーケティング担当社の直接的な評価にかかわるKPIとなっている」が24.9%と全体の約4分の1を占めています。また、この結果は2020年の調査に比べ2.3pt増加しており、マーケターの評価と売上との関係が強くなっているようです。
進むデジタル化と立ちはだかる障壁
効率的で効果的なマーケティング活動の実現のためには、社内のDXやマーケティングのデジタル化も重要です。マーケティング活動のデジタル化のために行っている取り組みについては、2020年と2021年の調査を比べると、いずれの取り組みについても実施している割合が増えていることがわかりました。
特に「DXを推進する組織の設立」は5.9pt、「CMOやCDOなどの担当役員の設置」3.5pt増加し、組織的なデジタル化の機運が高まっています。
反対に、マーケティングのデジタル化を阻む課題はどのようなものがあるでしょうか? 2020年、2021年共に課題のトップは「デジタル化に向けた社内のナレッジが蓄積されていない」でした。
2021年の調査では「投資対効果の可視化が難しい/できない」「マーケティングのデジタル化を推進する人材がいない」「マーケティングのデジタル化の全体像を描くことができない」と続きます。特に投資対効果の可視化については8pt、全体像を描けないは4.7ptの増加が見られました。確実なビジネスへの貢献と、部分最適で終わらないデジタル化の実現が求められていると言えるかもしれません。
おまけ:ナレッジの考え方
企業のナレッジとはなんでしょうか? 「コロナ禍で成長した企業の共通点」をテーマに、電通デジタル テクノロジートランスフォーメーション部門 CRMソリューション事業部 事業部長の永井康晴氏に取材をした際の言葉をご紹介したいと思います。
永井氏は「変化への適応を」成長企業の共通点にあげ、「変革に向き合うこと、変化に対応することとは、要するにナレッジがどれだけ蓄積したかです。数字的な結果、たとえば売上の成長だけがゴールではありません。失敗のナレッジの蓄積こそ、変革にどれほど取り組めたかの証しであり成長の足跡です。他社に尋ねても教えてもらえませんし、自社が取り組んだからこそ残していける重要な資産、競争優位性の源泉となるはずです。」と語りました。
もちろん、ビジネスは結果を出すことが一番です。しかし、「何故失敗したのか?」という分析を含めた取り組みも社内の資産になると考えると、少し選択肢の幅が広がるかもしれません。
参考:永井氏インタビュー「社会の変化を追い風にするには?電通デジタルに聞くコロナ禍でも成長する企業の特徴とキーワード」
なお、今年もマーケティング動向調査を実施中です。マーケティングをかたちづくる、MarkeZine読者の皆さんのお声を伺えましたら幸いです。
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