通い続けた経験が温浴施設のコンサル力に
高橋 飛翔(以下、高橋):「サウナ王」という一度聞いたら忘れられない、中々パンチのある愛称で活動されていますが、どういった経緯でその愛称になったのですか?
太田 広さん(以下、太田):「サウナ王」は会社員時代につけられた愛称なんです。学生時代からサウナが大好きで、就職してからも仕事の合間を縫ってはしょっちゅういろいろなサウナを巡っていたので、周りから「サウナ王」と呼ばれるようになったんです。
その後、温浴施設のコンサルタントとしてメディアに出たときに「会社でサウナ王と呼ばれている」と言ったら、それが全国区で流れて定着したので今はあえて使っています。だからもう20年以上「サウナ王」を名乗っていることになりますね。
太田 広(おおた・ひろし)
株式会社楽楽ホールディングス 代表取締役。「サウナ王」の愛称で知られる温浴事業・温浴施設経営コンサルタント。400施設以上(施設診断・経営相談等含む)の業績を改善してきた繁盛店の仕掛人で、これまでの成功率は97%を誇る。学生時代からサウナが好きで、年間のサウナ入浴数は320日以上。
高橋:20年以上前だと、今ほどサウナが趣味という方もほとんどいなかったんじゃないですか? そのようなサウナや温浴施設が注目されていなかった時代に、温浴施設のコンサルティングをどうやって確立したのでしょうか?
太田:確かに、温泉巡りが好きという方はいましたが、サウナ巡りが趣味というのは私くらいだったでしょうね。
私は元々コンサル会社に勤めていたのですが、当時、私の部署では温浴施設の案件が増えていて、上司から私も温浴施設のコンサルをするように言われたんですね。それで、学生時代からのサウナ巡りの経験を基にいろいろな提案をしたら、担当していた施設が繁盛したんです。
それを機に「うちもお願いしたい」と案件が増えて、次々に成果を出していったら、いつしか温浴施設のコンサルが私のメインの業務になっていました。おかげで部署の成績が上がったことで役職も上がって、自分のチームも持たせていただき、本格的に温浴コンサルタントとして仕事をするようになった感じです。
仮説検証の繰り返しで必勝の型を作る
高橋:学生時代から通い続けているからこそ、利用者目線で提案できる。それは太田さんならではの強みですね。メディアで「繁盛店の仕掛人」とも言われるほど、手掛ける施設が次々にヒットしていますが、どのように成功率を上げているのでしょうか?
太田:最初の繁盛店は偶然です。たまたま初打席でホームランを打っちゃった、みたいな感じで。でも、依頼が増えるとともにノウハウが蓄積されていくので、それを基に仮説を立て、次のクライアントで実験的にやってみる。そして、その結果を検証してまた次の仮説を立てる、ということを繰り返していきました。
初めのうちはそこまで成果が上がらないケースもありましたが、回数を重ねるごとに精度が上がって、今では97%外さないレベルまでブラッシュアップできています。
高橋:トライアンドエラーの中で太田さんなりの必勝の型が作られて、そこにはめ込むことでほぼ100%成功させることができているんですね。
私たちの手掛けるデジタルマーケティングのコンサルにも通じるところがあって、インターネット上の販促活動に正解はないものの、これをやれば絶対に成果が出るという型はいくつかあるように思います。あとはどう組み合わせてアイデアを作るか、どうはめ込んでいくかがわかれば、成功率も上がっていくのかなと。
太田:業界ごとの違いはあっても、考え方は同じかもしれませんね。蓄積された成功のノウハウが多いほど、型も増えて組み合わせることも可能になるので、より外さなくなっていくという。
高橋:そうですね。失敗はもちろんですが、何が成功につながったのかもしっかり検証してPDCAを回していくことはすごく大切だと思います。
マーケあり!ポイント
・太田さんがほぼ100%のコンサルティング成功率を誇るのは、仮説と実証実験を繰り返すことによって必勝の型を作っているからです。たまたまホームランを打てたときに「よかった」で終わらず、ホームランを打てた理由を分析し、型化しておくことで、どんな温浴施設にも効果がある施策や、特定の状況で効果のある施策などが整理されています。その結果、施策のハズレが減り、効果の出る施策をピンポイントに課題に当てることができています。