口コミはコスト不要で広告より効果も高い
高橋:各階層の方が楽しめる工夫と、ステップアップしていく過程により、他に行く必要性を感じさせず、長期的な顧客数の維持、またそこからの新規顧客の獲得も実現しているんですね。しかも、一般的に新規顧客は広告などで獲得してきてナーチャリングするなどコストがかかりますが、愛好家の方が思わずSNSなどで発信したくなる仕掛けがあることで、そのあたりのコスト削減効果もあるかと思います。

高橋 飛翔(たかはし・ひしょう)
1985年生まれ。東京大学法学部卒。大学在学中にナイルを創業。ナイルにて、累計1,500以上の法人支援実績を持つデジタルマーケティング支援事業や自社メディア事業を発足。2018年より新規事業として月1万円台でマイカーが持てる「おトクにマイカー 定額カルモくん」をローンチ。自動車産業における新たな事業モデルの構築に取り組んでいる。
太田:おっしゃる通りです。口コミはコストがかからないのに広告よりも広まりやすく、効果も大きいんです。十数年前にそれに気づいてからは、必ず「日本初」や「日本一」といった発信ができる要素を盛り込んでいます。
ただ、サウナ愛好家の方に刺さる内容でなければ見向きもされないので、愛好家の方たちが求めているものであることが重要です。さらに、そこからステップアップした先で必ず求めるであろうものも用意しておくというのは意識しています。
高橋:オンリーワンやナンバーワンがあるというのは、コンテンツとしてすごく重要な要素だと思います。そのパワーワードを埋め込むことで広告費をかけずにPRを仕掛けるというのは、必勝パターンの一つと言えるでしょうね。
同時に、未来に対する提案もされているというのは、話題性だけでなく持続性も意識されている、かなり難しい緻密な設計をされているんだと思います。
マーケあり!ポイント
・市場が成長途中のサウナ業界なので、顧客ターゲットを絞らずに初心者から上級者まで幅広い層をターゲットにしています。市場が成長途中の業界で初心者をターゲットから除外してしまうと、長期的に売上、利益を立てることが難しくなってしまいます。
・初心者から上級者まで、飽きずに施設を使ってもらうポイントは「ステップアップ」と「オリジナル」の2つ。初心者が上級者になるまで順番にステップアップできるようにするためと、「この入り方が自分には一番合っている」とお客様がオリジナルの入り方を見つけホームサウナとして楽しんでもらうために、サウナや水風呂の種類を整備しています。
・また、広告よりも認知を広げられるSNS戦略のための施策として、サウナ愛好家に刺さるポイントにおいて「日本一」または「日本初」と言える仕組みを用意しています。