マーケティングの“長年の課題”に取り組む
──Amplitudeが提供するサービスについて、今後どのような切り口での訴求を考えていますか?
マーケティングツールのユーザー層はマーケターです。それ以外の人たちがデータを見たい時は、わざわざリクエストしてダッシュボードにアクセスしなければなりません。

一方のプロダクトアナリティクスは、最初からセルフサービスでデータにアクセスすることを想定して開発されています。これにより、プロダクト担当者のみならず様々な部門の人たちがデータを活用して顧客理解に努めようとするでしょう。そして、ABテストなどを自身で試して業務改善につなげていくのです。このように「データを活用して顧客体験を向上させよう」というマインドを醸成することができる点は、Amplitudeの大きな差別化ポイントになります。
また、Amplitudeの強みである機械学習やデータサイエンスを駆使して、重点的に行うべき施策を提案してくれる機能の実装を望む声が、ユーザーから多く挙がっています。たとえば、特定の広告を配信する期間と、あえて配信しない期間を設けて広告効果を比較。これにより、広告の最適化につなげていくイメージです。
マーケティング業界には「インクリメンタリティ(※)」という長年の課題があります。広告の投資対効果を測定することは簡単でありませんが、我々はこの問題の解決に挑みたいと思っています。
※CVR全体において広告がCVにどの程度貢献したかを示す割合
プロダクトとマーケティングの取り組みを融合させる
──マーケティング業界におけるCMOとCPOの役割の変化について、Grecoさんのお考えを教えてください。
これまではCMOのパワーの方が大きかった印象ですが、今後はCPOが強くなってくると予想しています。将来的には「Chief Customer Officer」のような形で、顧客を見出し、獲得し、維持する役割に統合されるかもしれません。
統合にともない、より一層「プロダクトアナリティクスとマーケティングツール、どちらを利用するべきか」という議論は意味をなさなくなるでしょう。以前はセールスとマーケティングが重要といわれていましたが、今やプロダクトは溢れ、無料や低コストで利用可能なものが増えてきています。さらに、顧客は様々な情報に触れています。今こそプロダクトの質が問われる時代といえるのではないでしょうか。
最近は、プロダクト主導で成長する「プロダクトレッドグロース(PLG)」が、競争優位性を獲得するための重要な戦略になりつつあります。PLGを実践するためには、プロダクトチームとマーケティングチームが垣根を取り払い、協力することが不可欠です。CPOは、自社製品を購入してくれた顧客が製品のどこに魅力を感じ、一方で購入に至らなかった顧客はどこで“つまずいている”のかを知っています。CPOのそうした知見を利用して製品を改善させていくことで、競争優位性が得られるわけです。
──最後に、日本市場に向けたメッセージをお願いします。
「日本市場は遅れている」という見方もありますが、プロダクトアナリティクスがまだ普及していないのであれば、最初からプロダクトとマーケティングの取り組みを合わせて展開することで、一気に海外市場との成熟度の差を縮めることができるはずです。Amplitudeはそれを可能にする製品と技術を持っています。多くの日本企業では、アプリとWebサイト上での体験が完全に統合されていない状態といえますが、Amplitudeを導入することで改善が見込めるでしょう。