「属性×決済行動×意識」データの掛け合わせで顧客像がクリアに
次に、マクロミルからデータコンサルティング事業を分割して創設されたエイトハンドレッドの渋谷氏が、例として女性20~30代のペルソナを挙げてCustella Researchで使用するデータの特徴を解説した。項目として「デモグラ」「サイコグラフィック」「ビヘイビアル」の切り口があり、それらが充実するほどにペルソナの解像度は上がる。
たとえば20~30代の女性なら、独身で社交的、おしゃれ感度は高め、趣味はエステとカフェ巡りといったパターンが多くなる。「そこに決済行動を入れますと、ビヘイビアル(行動・態度)もわかるようになります。特にキャッシュレスデータは、どの加盟店での購入かまでがしっかり把握できますので、高級ブランドとファストファッションの使い分けや、食品の金額帯、プチ贅沢は何かなどもわかります」と渋谷氏は解説。その結果、訴求メッセージも具体化していくことができ、「私向けの商品」というメッセージを作りやすくなるという。
事例1:ターゲットと訴求ポイントを精緻化し、新商品の販売拡大を目指す
続いて渋谷氏は、「新商品として健康増進型商品の発売を計画する保険会社」を事例として紹介した。まずは顧客理解のために、新商品のターゲット層になり得る三井住友カードの会員にアンケートを実施し、新商品の加入意向やニーズを調査。その結果を用いて、「属性×決済行動×意識」の掛け算でターゲットを理解していったという。
「属性で見ると中高年よりも若者の反応が高く、決済行動ではエステや旅行に指数が高いアクティブに活動する層が反応しているなどがわかりました。それらから行動を類推すると、おそらく、人からどう見られるかに関心が高い方々がターゲット層だと考えられます」と渋谷氏は説明した。
加えて、家中消費が増加する中でも、スポーツ・レジャー・健康食品などの健康管理支出が増えていることもわかった。「その行動を支える背景は、意識です。アンケートから、将来の健康に不安が強くあること、巣ごもり生活で野菜不足・肌の健康・体重増加・不眠などが気になり、ランニングやジム通いなどで運動しているという回答を得ています。ただし、効果はあまりでておらず、健康診断の結果が良くないので不安がある。その結果、今回の新商品に対して加入意向が上がっているのですね」と渋谷氏は続けた。
また新商品の評価を尋ねると、「健康状態が良いと保険料が下がるのがうれしい」「健康アドバイスや運動方法の実践、他の人が実践する良い方法を知りたい」といったターゲット層のニーズも把握できた。「長年、アンケートを中心に分析してきましたが、Custella Researchで行動と意識は想像以上に連動していることがわかりました。そこが大きなメリットです」と渋谷氏は強調した。
次にアンケートを元に、コアターゲット、サブターゲットをピックアップする。属性×決済動×意識データの掛け算の強みは、決済行動で時系列と購入店舗までわかるため、生活や悩みを具体化できる点だという。
最後にアクションとしてのプロモーション施策を実施。加入意向のある人々をデータとして、見込み客の特徴を特定し、AIモデルを作成する。4つほどにセグメントしてニーズに合った訴求が可能と予測されるクリエイティブを制作し、ABテストを行う。「『誰に×何を』が明確にわかることで、最適化が一気通貫で行えて、購買や申し込みといった最終的なゴールへの効果も上がっていきます」と渋谷氏は解説した。