キャッシュレスデータを活用した分析ができる「Custella」とは?
三井住友カードは、クレジットカード会社として消費者や事業者にキャッシュレス決済サービスを提供してきた。2020年からは、「キャッシュレスデータ(定量的な消費データ)」を活用したデータ分析支援サービス「Custella(カステラ)」シリーズを展開している。
同サービスでは、世の中の最新消費トレンドをマクロデータ配信する「Custella Trend」と、消費者の属性や購買行動がわかる小売り事業者向けBIツール「Custella Insight」の2つを無償で提供。さらに、企業の課題に合わせて分析をカスタマイズで設計し、レポーティングで打ち手まで提案する「Custella Analytics」、分析で見つけたターゲットに直接メールやアプリでプロモーションを打てる「Custella Promotion」を加えた4つをラインアップしている。なお、すべてのデータは個人が特定されない統計データとして処理して提供されている。
そして2022年8月に、このCustellaシリーズに「Custella Research」が加わった。このサービスについて細谷氏は、「三井住友カード会員1200万人にアンケートを実施し、消費行動と意識データを掛け合わせた、深い顧客理解とプロモーションの連動が可能になるサービスです」と説明した。
キャッシュレスデータからは多くの情報が得られるものの、購買者の意識や理由といったインサイトの部分までは見えないという課題があった。そこで、リサーチ業界の第一人者であるマクロミルと提携し、共同でサービスを開発するに至った。「アンケートモニターではなく、あまりアンケート慣れをしていない通常会員にアンケートを実施しているため、よりピュアな意見が得られるところが特徴です」と細谷氏は語る。
キャッシュレスデータから見える消費
クレジットカードの利用シーンは、かつて旅行や家電量販店など、非日常なものや単価が高いものが多くを占めていた。しかし最近では、ポイント付与を目当てにした利用など、コンビニやファストフード店で使われる機会も増えている。
実際に、三井住友カードの月間取引件数も直近2年で2倍と、大きく伸長している。細谷氏によると「20代の会員も非常に増えており、キャッシュレスは若年層まで広がっている」という。これにともない、カード会社の取引データは今後も加速度的に増えていくと考えられる。
キャッシュレスデータは、「カード会員の属性のデータ」と「加盟店の売り上げデータ」の2つから構成される。クレジットカードのデータは、住所や勤務地・年収・家族構成などの幅広い属性データを含み、なおかつ正確なデータであることが特徴だ。また売り上げデータでは、購入した店舗・時間・金額がわかる。
また、クレジットカードは大学の入学時や就職の際に口座を開設し、そのまま長年保持している人が多い。だからライフイベントを捉えるのが得意で、引っ越しや子育ての状況も購買データから見えてくるのだ。