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イベントレポート

アメックス副社長が語る未来のマーケターの理想形 データの活用範囲が広がるほど、責務も可能性も拡大する


 2022年10月18(火)〜19日(水)に開催されたイベント「CMO Japan Summit 2022」。本稿では、ブランドマーケティングやデータ分析などにおける幅広い知識と経験を持つアメリカン・エキスプレス・インターナショナルの友松氏のセッションを紹介する。友松氏は、海外と比べ日本では浸透しきっていない「CMO」という存在について、担うべき業務範囲や心構えなど、自身の考えを語った。

CMOのミッションは「成果の最大化」

 マーカスエバンズ・イベント・ジャパン・リミテッドが開催した「CMO Japan Summit 2022」。今回で15回目を迎える本イベントは、様々な業界のCMOが集い、交流し、知見を共有し合うことで日本のマーケティング活動の発展に寄与する。

CMO Japan Summit 2022の様子

 10月19日(水)に行われた講演の一つ「未来に繋がる真のCMOとは:日本のマーケティングを根本見直し」では、アメリカン・エキスプレス・インターナショナルの副社長・友松氏が登壇した。友松氏は電通Y&Rでキャリアをスタートさせた後、米国でマーケティングのMBAを取得。Johnson&Johnsonや日本コカ・コーラ、ゼネラル・エレクトリック、ヤフージャパンなどでマーケティング職を経験し、2016年、アメリカン・エキスプレス・インターナショナルに入社し今に至る。

アメリカン・エキスプレス・インターナショナル 副社長 友松重之氏

 友松氏が考えるCMOに課せられたミッション。それは「成果の最大化」とそこに向けた組織作りだ。そのミッションは今も昔も変わらないという。しかし「業務範囲は広がった」と友松氏。かつては商品・サービスの「販売」段階でいかにマーケティング施策を凝らし、売上に貢献できるかに注力すれば良かったが、今は違う。データの存在が、マーケターのコミットすべき領域を拡大させたというのだ。

 「データを活用することで販売の『準備段階』と『販売後』もCMOを含めたマーケティング組織が関わるべき範疇となった」と友松氏は語る。

マーケティング視点で“正しい”データ分析とは

 データと一口に言っても、自社データから第三者機関が提供するデータまで様々だ。まず、自社データをCMOが分析する際に留意すべきことを友松氏は解説した。

「コンピューターの計算能力が昔と比べ大きく向上しているため、今ではカメラの映像なども分析対象になり得ます。しかしデータは『なんでも溜め込めば良い』というものではありません。分析する前にどのデータが有効なのか、しっかり吟味する必要はあるでしょう」(友松氏)

 また、データ分析においてはCMO以外にも様々な専門職が存在する。たとえばデータサイエンティストは、データを分析した上で「統計的に正しい解」を導き出すプロだ。しかし、分析結果を最終的にビジネスに活かすことを考えると、その解が必ずしも売上に貢献するとは限らない。それゆえ、CMOにはデータサイエンティストの考える解に対しても疑ってかかる姿勢が求められるという。

「なぜなら、消費者の行動や商流を正確に捉えるにはデータ分析の“順番”を意識することが重要だからです。たとえば『調査対象者のうちのまずは●●層から抽出し、その次に』といった形です。消費者のリアルな実態を意識せず、全数から一気にデータを分析した場合、仮に統計的な正解が出たとしてもマーケティング施策に活かすことは難しいでしょう。データ分析をする際にはCMOをはじめとするマーケティング担当チームがしっかりとマーケティングに活かす視点をエデュケートする必要があります」(友松氏)

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

 就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務やWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業。編集プロダクション業務においては、IT・HR関連の事例取材に加え、英語での海外スタートアップ取材などを手がける。独自開発のAI文字起こし・翻訳ツールなど...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/11/29 17:55 https://markezine.jp/article/detail/40620

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