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事例&データで深掘り!Instagramマーケティングの現在地(AD)

「動画プラットフォーム」として進化を遂げたInstagram リールの特徴と効果的な活用方法とは

 SNSやWebサイト上に表示される動画広告に対し、不満を抱えているユーザーは多い。そんな中、Instagramにおいては6割以上の人が「広告を楽しんでいる・気にしない」と回答(出典:2020年 IpsosによるFacebook委託調査)。ストーリーズやリールを通じて動画を楽しんでいるという。今回はMeta日本法人 Facebook Japan株式会社の営業部長・宇津井文子氏に、動画を巡る視聴態度の変遷とInstagramが企業に提供する価値について取材。今や「動画プラットフォーム」としての側面もあわせ持つInstagramの特徴が見えてきた。

動画視聴時間の増加にともない広告市場も成長

──宇津井さんの現在の業務内容や経歴を教えてください。

 私は広告営業部隊の統括をしています。同部隊のミッションは「InstagramやFacebook広告を通してクライアント様のビジネス課題の解決やビジネス拡大のサポートをすること」です。私は事業会社出身で、消費材メーカーではブランドマーケティングを、テック系のスタートアップ企業では新規の顧客獲得を目指すマーケティングを経験してきました。

Facebook Japan株式会社 営業部長 宇津井文子氏

──様々なお立場から広告ビジネスに長く従事していらっしゃるのですね。そんな宇津井さんが今、注目している広告手法について教えてください。

 今、クライアントからの問い合わせが多いのは動画広告ですね。ご存じの通り、動画広告市場は近年伸びてきています。そして、当社では動画プラットフォームごとの視聴時間に関する調査を実施しました。その結果、Instagramは2位にランクインしています。以前は「インスタ映え」という言葉がある通り「Instagram=静止画をシェアするSNS」というイメージが強かったと思いますが、今は動画プラットフォームとしても利用者の皆さんに認識されつつあります

Facebookは各サービス・プラットフォームの動画視聴時間を調査。その結果を示したグラフ
【クリック/タップで拡大】

広告は「見てもらう」のではなく「楽しんでもらう」

──次に動画広告の潮流について伺います。「コンテンツは見たいけれど、広告は避けたい」というのが一般的な視聴者心理かと思いますが、どのようにお考えでしょうか。

 当社の調査では、動画プラットフォーム全般で「コンテンツ量に対して広告が多すぎる」「妙なタイミングで広告が表示される」など、6割以上の人が広告体験に対して不満を抱いていることがわかっています。

 動画広告を「見ない」「スキップするもの」という認識は今に始まったことではありません。テレビCMをイメージしてもらうとわかりやすいと思います。見ていた番組の途中でテレビCMが流れると、席を立ちますよね。その傾向は今も昔も変わりません。新しい動画媒体が出てきただけで、動画と動画の間に挟まる広告を「早く飛ばしたい」という視聴者感情は継続しているのです。

 なぜなら視聴者が「見たい」と思っているものと、提供される広告の内容が合っていないからです。動画コンテンツを見に来ているのに、見たくもない広告が途中で入り込んでくると、広告は邪魔者扱いされてしまうわけです。媒体によってはユーザーに視聴を強制させるものもあります。その結果、仮に認知やリーチは増えても、購買などのアクションにはつながりにくいはずです。

 つまり、広告を“楽しんでもらうこと”が何より重要なのです。当社が行った調査によると、InstagramとFacebookに限っては広告を「楽しんでいる・気にしない」と回答した方が6割以上を占めていました

利用者の行動データを基に表示アルゴリズムを構築

──なぜInstagramとFacebookにおいては多くの人が広告を楽しめているのでしょうか。

 当社ではプラットフォームを運営する過程で、利用者の興味関心に合わせてアルゴリズムを作ることにこだわってきたからです。Instagram 責任者であるAdam Mosseriは、常々このように語っています。

We want to make the most of your time, and we believe that using technology to personalize your experience is the best way to do that.
(プラットフォームで費やす時間の価値を最大化するには、テクノロジーを使って利用者ごとに体験を最適化することが大事だと考えている。)
Instagram 責任者のAdam Mosseri氏

 具体的には、利用者のプラットフォーム上の行動データをなるべく多くAIに読み込ませて、個々の興味が湧くようなコンテンツを表示するように工夫しています。基となる行動データを当社では「シグナル」と呼んでおり、たとえば「利用者が投稿したものが動画か静止画か」から、投稿したのが動画であればその「長さ」「投稿内容」「投稿した時間」「投稿にかかった時間/タイムリーさ」「パソコンからの投稿なのかスマートフォンからの投稿なのか」まで複数のシグナルを見ています。さらには、その投稿を見た人からのコメント・ライク・シェア、そして「プロフィールに飛んだか」などの要素を総合的に加味して、表示する内容を決めています。

 なお、後程詳しく説明するリールでは、利用者の「動画の視聴時間」から「どんな音楽をチェックしたか」「投稿者とのインタラクション」まで、利用者が楽しいと感じていたかを予測できる情報を活用してアルゴリズムを構築しています。

 こうした数百種類もの様々なシグナルを分析してInstagramのアルゴリズムを構築してきた結果、外部調査でも「楽しむ」「つながり」の両方を兼ね備えたSNSとしてのポジションを確立し、興味・関心を軸に利用者同士や企業と利用者をつなぐメディアになれています。

【クリック/タップで拡大】

Instagramの利用時間の2割を占めるリール

──InstagramのそうしたSNSの特徴が、前述の「InstagramとFacebookに限っては広告を『楽しんでいる・気にしない』と回答した方が6割を占める」という結果につながっているのでしょうか。

 はい。さらに、Instagramを活用している企業・ブランドへのイメージも「楽しい」「有益な情報提供している」「人気がある」などポジティブなものが大半を占め、8割以上の利用者が企業アカウントをフォローしています(前述のFacebook調査より)。また、興味深いのは8割以上の利用者がInstagram上で商品・サービスを見つけ、その半分近くの方が購入まで至っている点です。購買にまでつなげられている点は、Instagramのビジネス活用における特徴の1つでしょう。

──次にInstagramの枠について質問します。今や動画プラットフォームとしての側面が強いInstagramには、様々な動画の広告枠があると伺いました。

 Instagramでは主に「ストーリーズ」「フィード」「リール」の3種類の動画広告枠を用意しており、特にリールは利用者からエンターテインメントとして楽しんで見てもらっています。そして、リールは利用者の中で最近特に人気を集めており、今やInstagramの利用時間の20%をリールが占めています

 リールの特徴としては「音楽・サウンドが付いている」「短尺である」「スワイプアップして、さくさくコンテンツを消費できる」などが挙げられます。リールを開発して以降、サウンドオンで動画を視聴する人が80%を超え、この数字は今なお伸びています。

BMWとセイコーのリール広告活用事例

──広告主がリールを活用して訴求する際に意識すべきポイントを教えてください。

 完全視聴はどの媒体も難しいと思うので、ちゃんと見てもらうためにお勧めしていることがあります。まずはモバイルに最適化していること。縦型フルスクリーンで画面を占有すれば見てもらいやすくなります。また、利用者のリール視聴態度の特徴として「8割の人がサウンドオンで見ていること」「短尺の動画をどんどん消費する傾向にある」の2点が挙げられます。そのため、語りかけや癖のある音を使ってアテンションを集めるような「音の工夫」が重要です。利用者に動画を見てもらえる時間は年々短くなってきているので、最初の数秒で商品やブランドを訴求することも重要です。

──リールを活用し、成果を上げているクライアントの事例を教えてください。

 BMW様は、自動車のリアルなエンジン音を利用した広告コンテンツをリール上で配信されました。広告出稿の目的は、ブランドリフトとキャンペーンの認知向上です。さらに、KPIとしてWebサイトへの遷移数と会員登録数を据えていらっしゃいましたが、キャンペーン認知度は約3倍、メッセージ想起率は約2倍、Webへの遷移単価は約10%減といずれも目標値を達成されたとのことです。

 またセイコー様は、時計音をサウンドとして使った動画広告を出稿されていらっしゃいます。クリエイティブは横型の素材用に作成されたものを活用。横型動画だったものをモバイルに最適な縦型広告に加工して、効果を高める工夫をされています。

セイコーの縦型モバイル対応動画。元々は横型用に作られたクリエイティブを加工し、作成されたものだ

 セイコー様からは「元々時計に興味を持っている層のみならず、年末年始に向けてギフトを探しているような比較的ライトな層にも訴求ができた」とおっしゃっていただきました。このように、アルゴリズムの技術が優れているので、広告主様側で想定するターゲット像とは異なるものの、興味を持つ可能性のある潜在層を発見できるのもInstagramの強みだと思います。

セイコーの元々制作されていた横型動画

ユーザーは欲しい情報を待っている

――最後に、Instagramのビジネス活用を検討している企業に対し、メッセージをお願いします。

 当社ではInstagramを、ブランドや商品、サービスをしっかりと見てもらえて「好き」「欲しい」と思ってもらえるような媒体・プラットフォームになるようアルゴリズムから構築してきました。

 転じて、Z世代の利用者は、SNS上で高度にパーソナライズされた今の状態を「当たり前のもの」として認識する傾向が強いため「検索して自分の欲しい情報を取りに行く」という能動的な行動はどんどん減りつつあります。むしろ、プラットフォーム側から情報が来るのを待っているのではないでしょうか。利用者の行動の変化を感じますし、最適化の精度が非常に重要性を増していることがわかります。

 その点、Instagramでは「広告を気にしない・楽しんでいる」という状態で見てもらえることが多いプラットフォームであり、利用者数も相当数増えています。さらに、前述の通り、利用者の8割以上がInstagram上で商品・サービスを見つけ、その半数近くが購入まで至っています。広告主様にとって、商品・サービスの認知の向上のみならず購入までつなげられる唯一無二のプラットフォームではないでしょうか。

 利用者と広告主様双方にとって価値のある関係を作ることができる点がInstagram広告の特徴であり、そんなInstagramの動画広告については、今後も商品開発に注力していく予定ですので、ぜひご活用ください。

InstagramのリールのHow Toガイドのダウンロードはこちら

好きと欲しいをつくる「Instagram」のリールのHow Toガイドのダウンロードはこちらから可能です。

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この記事の著者

落合 真彩(オチアイ マアヤ)

教育系企業を経て、2016年よりフリーランスのライターに。Webメディアから紙書籍まで媒体問わず、マーケティング、広報、テクノロジー、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2023/01/20 10:30 https://markezine.jp/article/detail/40782