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キラキラしない、キャリアのリアル

「自分らしいキャリア」を諦めないために 花王 鈴木さんとIndex Exchange 香川さんに聞く

 自分らしく働き続けたい――。そう願う女性が増えた一方、育児や家庭との両立に悩む声は絶えない。企業側の理解や制度の拡充も十分に行き渡ったとはいえないのが現状だ。価値観がさらに多様化する今、キャリアをどのように考えていけばいいのか。花王 コーポレート戦略部門 デジタル事業創造部 部長の鈴木愛子氏と、Index Exchange 日本担当 マネージングダイレクターの香川晴代氏、日系企業と外資系企業という対照的な環境でキャリアを築いてきた2人の対談からヒントを探る。

女性が活躍できる場は限られていた

――鈴木さんは花王で長年キャリアを築いてきました。入社したきっかけとは。

鈴木:実は最初から日用品やマーケティングの仕事がやりたかったわけではありません。最初は獣医になりたかったのですが、理数系が苦手で文系に進み、国文学科に進学しました。その後、編集者になりたいと思っていました。しかし、私の世代は男女雇用機会均等法が施行されて3年目にあたり、まだ企業が本当に女性を採用するかわからない状況。とにかく女性を採用してくれる会社を探しました。

 私は女子大だったのですが、そんな状況だったので、共学に通う友人から「この企業の求人票が大学に来ているか見てほしい」とよく頼まれていました。女子大に求人を出していれば、本気で女性を採用しようとしている企業だとわかりますから。そうやって求人票を確認した企業の一つが花王でした。広告制作の部署の募集です。「編集とは少し違うけど、おもしろいかも」と思い、友人に誘われて受けてみることにしました。

花王 コーポレート戦略部門 デジタル事業創造部 部長 鈴木愛子氏
花王 コーポレート戦略部門 デジタル事業創造部 部長 鈴木愛子氏
コピーライターとしてキャリアをスタート。商品やブランドのコンセプトワーク、ネーミング、コミュニケーション戦略立案からコンテンツの企画・制作までを担当。クリエイティブディレクターを務めた後、事業部に異動しブランドマネジャーを経験。再びコミュニケーション分野でスキンケア・ヘアケアを俯瞰的視点からマネジメントする。2017年からデジタル分野の経験を積み、2021年1月より現職。

香川:それが今につながっているのですね。鈴木さんは日系企業で、私は外資系でそれぞれ長く働いてきました。国内の会社でも鈴木さんのようなキャリアを実現できると知り、「そんな選択肢もあったんだ」と今になって思っています。

――国内の企業だと女性が活躍するのは難しかったのでしょうか。

香川:私はデジタル広告の業界に入る前、日本の金融機関で働いていました。当時はシドニーに駐在していましたが、同僚は男性ばかり。女性は完全にサポート役でした。日本の金融業界で役職者になって働いていくことは難しいと感じていました。当時はデジタルの黎明期だったので、新しい産業であれば性別関係なく働けると思い、帰国のタイミングで転職しました。

キャリアのターニングポイントは偶発的?

――鈴木さんは花王に入社後、広告制作の部署が長かったのですね。

鈴木:広告制作に25年ほど携わりました。コピーライターとして採用され、商品コンセプトやネーミング、パッケージや広告のコピーなどを担当しました。その後、2012年に事業部に異動になりました。ずっと広告の担当だったので、事業の担当と言われても「難しい」と思いましたね。当時はExcelもできなかったですから。広告の仕事で事業部と関わることは多かったのですが、実際にその中で働いてみると見える景色が違いました。とても大きな経験になりました。

 そして2年後に広告に戻りました。マス広告に加えてデジタル広告の部署も兼務したり、スキンケア広告とヘアケア広告を両方マネジメントしていたのでとても忙しかったです。年間50本以上も大型キャンペーンを作っていました。このハードさで60歳まで働くのは厳しいと思っていたころ、2017年にデジタルマーケティングの専任になりました。

Index Exchange 日本担当 マネージングダイレクターの香川晴代氏
Index Exchange 日本担当 マネージングダイレクター 香川晴代氏
2002年よりオーバーチュア(現・ヤフージャパン)、アマゾン・ジャパンにて、日本での広告事業立ち上げに関わり、広告営業、事業開発部門の管理職を歴任。フェイスブック・ジャパンにて執行役員、動画アドテクノロジーのアンルーリーにてカントリーマネジャーとして勤務の後、2019年12月より現職。

――香川さんは、転職などで仕事のチャンスを得て、キャリアを築いてきました。ターニングポイントとなった出来事はありますか。

香川:出産したことですね。当時在籍していた会社では、同僚はほとんど男性でした。でも、「あなたが生まなければ、日本は子どもがどんどん減っていく」と妊娠・出産を後押ししてくれた女性の上司がいました。その人の存在があったので、出産後も勇気をもって職場復帰できました。しかし、100人いる社員の中で、出産したケースは私が初めて。前例もなく、限られた時間でどうやって成果を出していけばいいのか、難しさを痛感しました。

 その経験から、経営幹部に女性がいて、多様なワークスタイルを大事にする価値観やカルチャーがある外資系企業に自然と目が向きました。今まで通り、思い切り仕事をするために、そういった企業に勤めるという選択になったのです。

 サーチに大手プラットフォーム、続いて動画広告という、デジタル広告の主要な売上構成を担う企業で爆発的な事業成長に関わるを経験をさせてもらいました。その次に何をするかを考えた時、世界中でCTV広告が急拡大し、またプライバシー保護を巡ってデジタル広告が転換期を迎えた局面を鑑みて、日本のデジタル広告業界を進化させるような場所で働きたいと思いました。また、社会に価値あるコンテンツを提供するメディア企業を支援したいとも考えていました。CTV広告とポストクッキーの技術開発にいち早く取り組んでいるIndex Exchangeに、3年前にジョインしたのはそのためです。

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この記事の著者

加納 由希絵(カノウ ユキエ)

フリーランスのライター、校正者。地方紙の経済記者、ビジネス系ニュースサイトの記者・編集者を経て独立。主な領域はビジネス系。特に関心があるのは地域ビジネス、まちづくりなど。著書に『奇跡は段ボールの中に ~岐阜・柳ケ瀬で生まれたゆるキャラ「やなな」の物語~』(中部経済新聞社×ZENSHIN)がある。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/05/09 09:00 https://markezine.jp/article/detail/42038

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