第一印象をつかみ深堀りしたくなる仕掛けを 強みを活かした今後の展開とは
――具体的なクリエイティブの制作で意識していることは何かありますか?
まず、パッと見たときにお客様が「わー!素敵!」と声が漏らすくらい、第一印象で掴むものを作ることを意識しています。次に、そこから詳しくブランドを知ってもらったときに「こんなところにも工夫があるのか」と探ってみたくなる仕掛けづくりを意識しています。
ウェブサイトトップのビジュアルは全体的にスプレーで少しぼかしたような表現にしていたり、お酒を飲み進めていくとわかるような仕掛けを施していたり。こういった“ブランドの深度”は、好きになってくださった方には気づいてもらえるものだと実感しています。
「お酒」というジャンルは、とくにパッケージ買いをしやすい商品のひとつだと思う一方、そのクリエイティブには偏りがあるのが現状です。もちろん「どういう味かひとめで想像できる」ことにも意味がありますが、koyoiでは、そういったものとは圧倒的な差をつくることを目標にクリエイティブをつくりました。
――最後に、今後のブランド展開や展望についてお聞かせください。
koyoiについては、より多くのお客さまに手に取っていただきたいため、いっそう販促活動に力を入れていきたいと思っています。また2023年は、koyoiとは別のブランドとして、カクテルではない別のラインもリリースする予定です。
そして、同じ思想を持っている企業ともパートナーシップを組んでいきたいと思っています。先日3月には、アサヒビールと電通デジタルの合弁会社「スマドリ」とのコラボを発表。心と体にやさしいアルコール文化をつくるという共通の思いのもと、それぞれの強みを活かしたオープンイノベーションのスタイルで、思想を広げていきたいと考えています。
そもそも、お酒の市場は、歴史がある反面、販売手法が現代的ではない傾向があります。お客さまが製品を購入するのは、やはり店頭の棚がメイン。大手の商品ならば、CMで知って、コンビニで買うケースが一般的ですが、中小企業では現実的ではない。そうなると、お客様と商品が出会うチャネルは非常に限られます。
20代や30代がお酒離れしていると言われることもありますが、こうした「接点」の影響も大きいのではないでしょうか。いまや商品を認知するチャネルは、テレビCM以外にも膨大にありますし、若い世代にとってはテレビよりもSNSの重要度が増している。さらにそのSNSも、深堀りしていくとても細分化しています。こうした状況下でありながら、お酒業界ではいまだに昔ながらのマーケティングプロモーションがいまだにいちばん強いというのが現状だと感じています。
大手のメーカーさんと比べたら、koyoiの売上規模は本当に微々たるもの。ブランドとしてもまだまだです。しかし、私たちが届けたいお客さまに認知してもらうためのチャネルはデジタルがメインですし、お客さまの声をN1のインサイトとして拾えている。そういった強みを活かしながら、今後も取り組みを続けていきたいと思っています。
――石根さん、ありがとうございました!