「顧客起点マーケティング」が上手くいかないのはなぜか
MarkeZine編集部(以下、MZ):『たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング』の中で解説されているフレームワークの一つ「9sesg」を筆頭に、顧客起点マーケティング=マーケティングの正攻法として独り歩きしている部分も見受けられるように思います。宮本さん、西口さんは、どう思われていますか?
宮本:西口さんの顧客起点マーケティングの本は、何度も繰り返し読んできました。9segsはフレームワークとしては非常にシンプルですし、本に書かれてある内容もわかりやすいですが、実は深いんですよね。
僕も、「顧客起点マーケティングの9segsってどうやっているの?」という相談を度々受けるのですが、顧客をしっかり見ていないまま、フレームワークだけをビジネスに入れ込もうとしてしまっているケースが多い。そうすると、結局、N1ではなく“平均値でフレームワークを使うだけ”になってしまいます。9segsを用いた調査設計を作る前に、N1インタビューを行って、顧客の解像度を高める。ここの強度ができて初めてスタートラインに立てるのだと、自分たちの経験を振り返っても思います。このことは本にも書かれてあるのですが、その“深さ”が伝わりづらいのかもしれませんね。
西口:「顧客起点マーケティングをやったけど改善しません」といった話を時々受けますが、上手くいかない原因は、ほとんどの場合次の2つにあります。一つは経営幹部が自ら課題解決に動いていないケース、もう一つは実際の顧客の話を徹底して聞いていないケース。つまり、問題は「経営幹部が自らお客様を知ろうとしていない」という一点に集約されます。
お客様を知るためのN1インタビューについて部下を通じて行おうとしたり、部下に任せたりしようとすると、顧客起点マーケティングは進みません。逆に、経営陣がN1インタビューを率先して行っているところでビジネスが成長していない企業を、僕は見たことがありませんね。
アソビュー!の顧客起点マーケティング事例の詳細は、アソビュー 専務執行役員 CSMO 宮本武尊氏による全3回の寄稿「アソビュー録:顧客起点マーケティングの実践例」で公開しています