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アソビュー録:顧客起点マーケティングの実践例

【第3回】顧客起点マーケティングをいかに事業土台に組み込むか。PDCAの方法と組織変革

 2019年刊行の西口一希氏の書籍『たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング』で解説されている「N1インタビュー」や「9segs」のアプローチは、今やマーケティングに従事する多くの人が知るものとなった。一方で、その実践例はあまり世に出回っておらず、“マーケティングの正攻法”というイメージが独り歩きしてしまっているように見える。本連載では、アソビュー株式会社の専務執行役員CSMOである宮本武尊氏が、顧客起点マーケティング実践のプロセスを公開。事業成長という数値的な成果はもちろん、ひとりのマーケターとして自身に起きた変化を振り返りながら紹介してもらう。

顧客起点マーケティングで、意思決定の土台から変わっていった

 第3回は、アソビュー社が顧客起点マーケティングのフレームを活用し、どのようにPDCAを回してきたかお話しします。

 顧客起点が装着される前、私の事業運営における意思決定の土台は、いわゆるデータドリブンでした。Howである施策を一定の回数試行し、得られたデータからどう舵を切るかを判断していました。たとえば、コンテンツSEOであれば100本記事をリリースし、その動向から集客や販売の見込めるコンテンツを定義する。新しい広告チャネルなら、まず100万円を投資し、どの変数が最も改善しやすく、目標のCPAに到達するかを判断するといった具合です。

 ですので、プロダクト改善においても、今ある機能を中心にA/Bテストを繰り返していました。「数字に貢献しているもの=正しい判断」という価値観・考え方が染みついていたように思います。もちろん、「データドリブン=有効ではない」と言いたいわけではありません。「なぜ対象の施策では数字が出なかったのか?」という問いを立てる習慣を持てていなかったのが、過去の自分の反省点です。

 では、顧客起点マーケティングのフレーム導入後、どのようにして施策を振り返ってきたのか? その方法は、ずばり「顧客に直接聞く」。つまり、N1インタビューです。

KPIではなく、顧客の声/心理状態に向き合う

 Webサービスの強みである多様なデータを収集し、それを分析するというプロセスを止めたわけではありません。新しい機能、キャンペーン、メルマガ、何でも良いのですが何かしら施策を実施した際、以前の私たちは顧客の行動の結果(KPI)しか見ていませんでした。そうではなく、実際のその施策を体験した顧客にどんな心理的変化が起き、その結果どのような行動を取ったのか、その顧客の心理状態に向き合うようにしていったのです。

 具体的には、対象となる施策を体験した人を計測できる状態で施策を行い、私たちが期待する行動をした人・していない人のそれぞれにN1インタビューの打診を行います。そこで、休日の過ごし方に関する全体の話を伺いつつ、各論で対象の施策をいつ認知したか、なぜ行動を起こしたか(起こさなかったか)、アソビュー!の印象は変化したか否かなどを聞いています。

 これにより、施策の評価に深さが生まれました。「この施策は顧客の心理に影響を与えられているが、まだ伝わり切っていないため、コミュニケーションアイデアの再考が必要である」だったり。「この施策は成果は出ているが、顧客心理上マイナスの効果を生むので今すぐ停止する」だったり。今までにない、顧客に寄り添った意思決定ができるようになりました。

 このN1インタビューは現在も週1回から隔週程度で続けています最終的な成果に繋がっていない苦しい時期にも、「顧客には伝わっている。あとはこれを愚直に継続できるかだ」と、顧客の声が事業を運営していく上での心の支えになっていました。

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この記事の著者

宮本武尊(ミヤモト タケル)

2012年株式会社リアルワールド入社。2013年株式会社ビズリーチに入社。オンラインマーケティング、営業企画に従事。2014年アソビュー株式会社に参画。「アソビュー!」の事業管掌の執行役員を経て、2019年取締役執行役員COO。2022年10月より専務執行役員CSMO(現任)。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/05/15 09:30 https://markezine.jp/article/detail/42036

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