クレカの「お得さ」は前提に「利便性」を求める人が増加
メルペイでCPOを務める成澤氏は、まず今回の調査について大きく二つの目的を持って実施したと述べた。
一つ目が、オンラインでの購買体系拡大について背景にあるニーズ変化の理由を調査すること、二つ目が利用人数変化の背景にある各世代別の行動特性と価値観について調査することだ。
まず、成澤氏は変化するオンラインの購買体験について説明をした。
総務省が公表しているネットショッピングを利用している世帯の割合によると、2021年に初めて5割を超えており、2022年も同様に5割以上。さらに、キャッシュレス決済の利用状況に関しても数年で特に拡大しており、2022年に初めて100兆円規模に拡大したという。
そういったオンラインでの購買体験が広がるにあわせて、各社が提供するクレジットカードの特徴にも変化が見えられるようになったと成澤氏は述べる。
「これまでのお得や還元という最大の特徴は、クレジットカードの当たり前の機能になっています。今はお得に加えて、スマホアプリで完結するアプリファーストのカードや、ナンバーレスのカードなどによって、利用時の利便性についても重要視される傾向になってきています」(成澤氏)
次に成澤氏は、同社が2019年に提供開始した後払いサービス「メルペイスマート払い」、そして昨年11月に提供開始した「メルカード」の利用状況と特徴について説明を行った。
コード決済等の利用を含めたメルペイの利用者数は1,400万人を超えており、先述した社会背景などが要因として大きいという。また、メルカードを利用者に理由を尋ねたアンケートによると、還元が得られるという点だけでなく、メルカリアプリで利用明細を確認ができるといった点や、売上金が精算に利用できるといった点、利用の管理のしやすさが回答数の上位に入っているという。
実際にメルカード利用者のうち約3割が売上金を使って支払いを済ませている。さらに、利用者全体の6割がメルペイの運営側が設定した利用限度額ではなく、利用者自身で利用上限金額を設定もしているという。
Z世代の6割以上が想定外を嫌う キーワードは「サプライズアレルギー」
次に世代・トレンド評論家の牛窪恵氏が登壇し、「Z世代の行動特性や価値観とクレジットカード利用に関する調査」の結果について語った。
今回の調査から見えたZ世代の特徴として、効率的でないことにストレスを感じ、想定外のことをできるだけ避けたいといった考えの人がそれぞれ6割以上いることがわかったという。このような「サプライズアレルギー」を感じる人が多いと牛窪氏は述べる。
「Z世代の人たちはデジタルを使いこなすことで、想定外がなるべく起こらないようにし、起こった際にも驚かないように備えておきたいといった傾向が見えられます」
実際に想定外を失敗として嫌う人の数をバブル世代と比較した。
すると、バブル世代は、予想外のことを失敗と捉える割合が21.3%であるのに対して、Z世代は30%、つまり約1.5倍の人が失敗と捉えやすいことがわかった。
さらに、牛窪氏によると臨時収入に50万円もらった際の行動について聞いたところ、Z世代は77.3%が貯金すると回答したという。同様の回答をした割合はミレニアル世代で73.3%、氷河期世代で72%、バブル世代で68%となっており、年齢が高いほど臨時収入を貯金しないと回答した人が増えていることがわかる。