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電気通信事業法改正が間近に!施行を前に確認しておきたい、5つのポリシー

改正電気通信事業法がいよいよ施行!対応や関連法律など、サイト担当者の疑問を解説【前編】

 2023年6月16日、改正電気通信事業法が施行されます。本連載では、改正個人情報保護法に関する実務やプライバシーポリシーのカンファレンス企画などの経験が豊富な、デジタルマイスの菊地氏が解説。施行にあたり、サイト担当者が押さえておきたいポイントや近年の動向をQ&A形式・前後編でわかりやすく紹介します。前編では、担当者が今確認しておきたいポイントや心構えをまとめました。

関係各所と連携する際に、大切にすべき心構えとは

──これまでの連載で菊地さんは、改正電気通信事業法への対応は企業のサイトの実務担当者だけでなく、社内の各部署と連携・協力の重要性を強調していましたね。各部署とやり取りする際、担当者はどういった心構えが大切でしょうか?

菊地:個人情報保護に関連する法律は、それぞれの監督官庁が定めた法律ありきで作られています。よって企業は、リアルのビジネスから独立したデジタルの法律とは考えずに、旧来積み上げられた歴史を踏まえて法を遵守することが求められます。

 だからこそサイトの実務担当者は、個人情報保護法や電気通信事業法について、各部署の方々にとって、これまで遵守してきた業界ごとの法律がベースにあることを共有した上で、情報共有を行う意識を持つことが大切です。

──また担当者は、法律事務所とどのようにコミュニケーションを取っていけばよいでしょうか?

菊地:企業と法律事務所の関係は、これまでですと「法律関係は専門分野の法務部門に任せておけばいい」という意識が定着していたと思います。しかし今後は、すべてのビジネスパーソンも、法務に関して積極的に関与していく時代に入ったといえるのではないでしょうか。

 「法律は難しい」と敬遠するよりも、「営業の武器であり、他社との差別化要因になる」のだと理解しておくとよいでしょう。

デジタルマイス 代表取締役社長 菊地伸行氏
デジタルマイス 代表取締役社長 菊地伸行氏

菊地:昨今はデジタルに精通されている弁護士さんや法律事務所が増えており、企業との距離は以前と比べ近い存在になったと実感しています。さらに電子署名ツールの広がりが追い風となり、法律や契約書がすべてのビジネスパーソンにより身近になってきました。

 よってポリシーに紐付く各法律に関しては、知見のある各部署の実務担当者が法務部門のメンバーと一緒になって、法律事務所に説明・相談することが良いと考えています。関連する法律が多岐に渡る場合も多いため、法律ごとに別々に相談するのではなく、自社内でしっかり整理をして要領良く法律事務所に問い合わせたいものです。

菊地:法律事務所の方々は、企業から追加で複数の質問をされるよりも最初からポイントをおさえて、まとめて説明・質問いただきたいと考えています。また企業側はポリシーの雛形やテンプレートを提示してほしいと思っていても、法律事務所から見れば、業態・業界ごとの自主規制なども鑑みる必要があります。一概に雛形を提供するのは得策でなく、各社ごとにカスタイマイズし、ポリシーを丁寧に作成することが大切だといえます。

 加えてポリシーの雛形やテンプレート、他社の事例探しだけに注力するのも得策ではありません。各企業が向き合うユーザーにとって相応しいポリシーの作成を、法律事務所の方々と真摯に対応してほしいと思います。

電気通信事業法だけではない!注意すべき法律とは

──個人情報保護法や電気通信事業法以外に、今すぐ注意・対応すべき法律はありますか?

菊地:各ポリシーの記載に関係のある法律として、2023年6月1日に施行された改正消費者契約法(サルベージ条項無効の新設)が挙げられます。サルベージ条項とは、「関連法令に反しない限り」「法律上許される限り」といった責任の範囲が不明確な文言により、企業側が消費者に対し免責を主張する方法として取られています。改正によりこういった記載が無効化されることとなりました。そのためBtoC企業のサイトやアプリサービスのポリシーのレビューが必要であり、電気通信事業法改正とあわせてこの点を法律事務所が事前に説明していると良いですね。

 この他、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」「食品衛生法」「景品表示法(景表法)」「特定商取引に関する法律(特定商取引法)」、決済関係がともなう場合「金融商品取引法(金商法)」、そして「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(特定電子メール法)」などが挙げられます。これらの各種法律は、いずれも各ポリシーへの対応を進めるうえで無視できないものです。各法律の改正に沿って適宜確認を進めつつ、アップデートしていく必要があります。

──特定電子メール法は、何に気を付ける法律なのでしょうか?

菊地:特定電子メール法は広告・宣伝を含めた迷惑メールなどを規制する法律です。よくある事例として、企業が意識をせずに、顧客リストをもとにメールマガジンの配信を行ってしまうケースもあるようです。しかしメールマガジンを運用しているすべての事業者は、メール送信の際には特定電子メール法送信者の表示義務、ユーザーの同意記録の保存、同意取得の設定が必要です。

 2017年の個人情報保護法改正後、個人情報を取り扱うすべての事業者が個人情報保護法の対象となりました。メールを送信する際は、ユーザーが不要と感じた際、すぐに配信を中止できる体制にする必要があります。具体的にはメール内に購読解除の説明があるか、購読解除のためにリンク先が設定されているかを確認しましょう。各ポリシー関連の対応をする際は、こういった点にもレビューが必要です。

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この記事の著者

菊地 伸行(キクチ ノブユキ)

株式会社デジタルマイス 代表取締役社長。日本経済新聞社入社後、アメリカ西海岸に駐在。帰国後、日経電子版、デジタル、グローバル、メディアビジネスの業務を担当。主な企画にNIKKEI Protech (不動産)ConferenceシリーズやNIKKEI Privacy Conferenceなど。2022年同社を退社。現在は株式会社デジタルマイス代表取締役社長として、広報・宣伝のデジタルでの情報発信の支援を行う一方、コラム執筆や...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/06/16 08:30 https://markezine.jp/article/detail/42510

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