2019年4月に刊行した『たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング』(翔泳社)は、総印刷数5万部を突破した。1人の顧客を深く知り、マーケティングに活かせるアイデアを導き出して実践するための理論とプロセスを解説した本書、生成AI時代の今こそ、改めて手に取ってほしい1冊だ。
本書では第1章で西口流の「アイデア」と「N1」の概要と意義を解説。それを踏まえ、第2章から第4章では「顧客ピラミッド」「9セグマップ(9segs)」という2つのフレームワークの解説とケーススタディに当てられており、具体的な理論を学ぶことができる。
最後の第5章では、モノからコト、情報の領域へと活動の幅を広げた西口氏の体験をベースに、デジタル技術が一層進歩していく中でアナログビジネスにおいていかに顧客分析が重要になるかが語られている。ChatGPTをはじめ、生成AIの進化によってマーケティングの仕事が大きく変容する今、再読することで新たな発見に出会えるはずだ。
目次
序章 顧客起点マーケティングの全体像
第1章 マーケティングの「アイデア」とN1の意味
・漠然と顧客全体を捉えた一般的な調査では、人の心を動かす「アイデア」はつかめない。実在する「一人の顧客=N1」の行動と心理を分析し、強い「アイデア」を生み出す。
第2章 【基礎編】顧客ピラミッドで基本的なマーケティング戦略を構築する
・ターゲット全体に「認知/購買経験/購買頻度」を調査し、5つに分類する「顧客ピラミッド」を作成。具体的な顧客数を把握し、狙うセグメントを定めて施策を展開し上位移行を促す。
第3章 【応用編】9セグマップ分析で販売促進とブランディングを両立する
・顧客ピラミッド(5セグマップ)にブランド選好の軸を加え、9セグマップを作成。図の左から右方向への顧客数の推移を販売促進、下から上への同推移をブランディングの効果として把握する。
第4章 【ケーススタディ】スマートニュースのN1分析とアイデア創出
・スマートニュースがどのような分析と施策をもってアプリランキング100位圏外からNo.1になったか、競合ブランドと比較しながら時間軸の推移を解説する。
第5章 デジタル時代の顧客分析の重要性
・Amazonにはじまり、UberやAirbnbなど、デジタル時代には予期せぬ方向から競合が出現する。自社の顧客層を徐々に奪われ一気にビジネスが崩れる事態を、顧客分析によって防ぐ。