調査とミートアップの両輪で進める「共想いカンパニー」
共想いカンパニーは、コアファンを見つけ出し、その条件を絞る「調査」と実際のアクティビティである「ミートアップ」の両輪で成り立つ。
調査から見ていこう。ミートアップは社員メンバーを含めて計10名程度で考えていたため「コアファンが実在するのか」も含めて調査する必要があった。そこで、まず行ったのが定量調査だ。2021年5月、2万5,853人を対象にクラシエファンの数の把握を試みた。その結果、ファンは全体の14%、約3,600人いた(※)。
※ファンであるか否かを問う質問で、「熱狂的なファンである」「ファンである」「ややファンである」と回答した人の合計割合
なお、同業4社との比較では、クラシエのファン数は5社平均よりもやや少なく「熱狂的なファン」と自認する人の割合も1.2%と、平均値よりやや低かった。
「他社と比較するとまだまだ増やしていく余地はありますが、クラシエには確かにファンがいる。その事実が知れて、大変心強く感じられました」(北原氏)
また、クラシエのコアファンには評価の理由も合わせて聞いた。その結果「新しい製品やサービス」や「日常生活に新しい風をもたらしてくれる」といった“新規性”が評価ポイントだったという。「このような想定外の評価を受けたことは、非常に励みになった」と北原氏は述懐する。
さらに、ファンの「デモグラ属性」や「共創意向」など、ゆくゆくのミートアップ実現の参考になりそうな各種データも集めていった。
各商品・ブランドが独自の役割でファンと接点を持っていた
次が定性調査だ。先の定量調査で見つかったコアファンの中から、若年層をメインにグループインタビューを行った。ちなみに、なぜ、若年層をインタビュー対象のメインに据えたのか。なぜなら、クラシエの商品ファンのボリュームゾーンは、女性でかつ20代後半からシニアだというが、定量調査の結果からクラシエ企業に対しては「若い男性や子育て中の男性など、デモグラ的には少数派のコアファンも一定数いる」ことが判明したからだ。それも新たな発見だったため、インタビューではあえて彼らに的を絞り、これまでのクラシエとの接点などを聞いていった。
インタビューの末、クラシエファンになるきっかけやクラシエの各ブランド・商品との接点が聞けた。その一例が以下だ。
シーン1:思春期を迎え、他人の目が気になり始めた。そこで、姉が使っている『いち髪』や『ナイーブ』を手に取った。その結果、学校の友達からは髪質や香りを褒められた。姉が使っていたクラシエの製品は非常に品質が良い、と実感した
シーン2:一人暮らしを始めた。コストを抑えて安い商品を購入してみたものの、その品質には満足できず、家で使っていたものの良さを改めて感じた。そして、それがクラシエの製品だと気づいた
シーン3:子どもが生まれた。我が子には極力、刺激の強くないものを選びたい。そこでクラシエの商品を手に取る。また、自分の体調が良くない時に、クラシエの漢方薬と出会い、その価値を実感した。
「こうしたエピソードをファンの方々から直接聞くことで、我々としても、当社の各ブランド・商品が、ファンの方々の生活を豊かにするために、独自の機能を果たしていたことを実感しました」(北原氏)
さらに、調査では「企業のコミュニティ活動に対し、どのような関与の仕方を希望するか」と尋ね、その回答結果をまとめたところ、コアファンの中でもその積極性に違いが見られたという。つまり「アンケートに回答すれば良い」「企業が発信するコンテンツを読めれば良い」と回答したファンもいる一方で「積極的に関わりたい」と答えた人もいたとのこと。
そこで、次のステップであるミートアップでは、「積極的に関わりたい」と答えた人の抽出条件を整理した上で、ミートアップのメンバーを選ぶことにした。