ニコニコ動画は4日、都内で一般ユーザーを多数集めたイベント「ニコニコ大会議2008」を開催した。5日よりニコニコ動画(SP1)もバージョンアップし、「ニコニコ動画(夏)」(にこにこどうが サマー)としてサービスを開始する。ニコニコ動画(夏)では、特にコミュニティ機能が充実しており、ユーザーが作品を作りやすい環境を提供していく。
iモード生みの親、夏野氏ドワンゴに
ニコニコ大会議では、元NTTドコモ・夏野氏のドワンゴ顧問就任が発表された。夏野氏は「日本において、世界へ出られるコンテンツはニコニコ動画だけだと思う」と就任の動機を述べ、まずはニコニコ動画の黒字化を目指していくと強調。ひろゆき氏と夏野氏の最強タッグが誕生した。
メンバー登録数は790万人
恒例のニコニコ動画に関する数字も発表された。メンバー数は増加しているものの、プレミアム会員の増加が鈍化している状況も明らかになっている。下記が数字の推移だ。
ニコニコ動画(SP1)2008/3/5
会員数 560万人
モバイル会員数 114万人
有料会員数 18万9000人
単月広告収入 3200万円
ニコニコ動画(夏)2008/07/04
会員数 790万人
モバイル会員数 191万人
有料会員数 20万4000人
単月広告収入 4000万円
ニコニコ動画(夏)新機能
ニコニ・コモンズ
ニコニコ動画(夏)の新機能として、ニコニ・コモンズが発表された。これは、動画素材の使用規約を定めたものであると同時に、素材置き場も提供するものとなる。
ニコニ・コモンズ用の素材置き場となる専用サイトでは、自由に画像・音楽・動画をアップロードすることができるようになり、この素材を利用して動画を作成すると、動画説明欄に「コモンズ素材」というアイコンが表示されるようになる。どの素材がどんな動画で使われているかも一覧することができ、素材を通じた動画間のつながりが可視化されるようになる。
公開範囲は「ニコニコ動画内」「インターネット全体」を選ぶことが可能。素材公開後に公開ルールを変えることもできるライセンス形態となっており、プロであってもアマチュアであっても投稿できる。ニコニコ動画側は専用サイトを通じて素材と動画の関係性のみを管理し、権利者がニコニ・コモンズを使用したビジネスを行うことは制限しない。
ニコニ・コモンズは8月中旬より開始される。APIも提供され、これによりSMILEVIDEO以外の外部サイトでも展開することができる。外部対応サイト第1弾として、イラスト特化型SNS「pixiv」との連携が発表された。
ニコニコミュニティ
ニコニコ動画内の動画は全ユーザーに公開されていたが、「ニコニコミュニティ」という新機能が提供され、管理者が許可したユーザーだけに動画を公開できるようになる。
7月5日からのリリースでは、プレミアム会員のみコミュニティを開設・管理することが可能で、参加者ごとに動画の投稿・視聴・コメント権限を設定することができる。管理者は友人や家族などをコミュニティに招待ができるほか、コミュニティに訪れた人の申請を許可することで参加者を増やすことができる。また、コミュニティ内のプレミアム会員数に応じてコミュニティが「レベルアップ」し、登録参加者制限数が増えるなどの特典が与えられる仕組みになっている。
夏ニコス(サマーニコス)
動画中にさまざまな機能を付加できるニコニコスクリプト(ニコス)もバージョンアップ。新たに@ボタン(すでに提供済み)、@BGM、@ポーズがリリースされる。
@BGMでは、動画中に別の動画を引用でき、他の動画のBGMを、簡単に自分の動画で流せるようになる。@ポーズは指定箇所で動画を一時停止できる機能で、文章を読ませるタイプの動画での活用が期待できる。
ニコ割アンケート
ニコニコ動画を閲覧しているユーザーが一斉参加する「ニコ割ゲーム」の新たな展開として「ニコ割アンケート」が実施される。
ニコ割ゲーム同様、動画視聴中のユーザーに対し一斉にアンケートが行われ、数分以内に結果を発表。どの項目が一番支持されたか、男女比、年齢比率なども含め、多角的に公開される。
将来的にはアンケートの結果をニコニコ動画外部にも公表する予定とのことで、ニコニコ動画を知らない人に対しての知名度向上に役立てていく。
ニコニコムービーメーカー、ついに動画作成が可能に
動画を手軽に作成できるニコニコムービーメーカーもバージョンアップし、新たに「@BGM動画の製作」「ユーザーニコ割の製作」「swf形式のファイル投稿可能」「国際ニコニコ映画祭への投稿可能」「テキストを自動読み上げするニコニコスピーチ機能の追加」などが盛り込まれる。
さらに9月には有償版も発売される。有償版ではH.264+AACの動画作成が可能になるほか、動画のキャプチャー機能、編集可能なトラック数の大幅増加、エフェクトの追加など、無償版にはない機能を備えた製品となる。
海外展開も
これまで展開されていた「台湾版」に加え、「ドイツ語対応版」「スペイン語対応版」を新たに展開する。機能的に物足りなかった台湾版とは違い、各言語に応じたトップページなども用意し、海外のユーザー獲得を目指していく。
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