電通PRコンサルティングの研究組織である企業広報戦略研究所は、「第8回 魅力度ブランディング調査」を実施した。
同調査は、生活者が企業のどのような活動や事実に魅力を感じ、その魅力がどのように伝わっているか解析することを目的にしたもの。コーポレートブランドを構成する魅力を「人的魅力」「財務的魅力」「商品的魅力」の3つに分類し、それぞれで重視すべき12項目(計36項目)を定めた「魅力度ブランディングモデル」を活用している。
人的魅力は、リーダーシップや職場風土、ソーシャルイシュー対応力など企業を構成する個人や事業活動を通じた法人としての魅力と定義。財務的魅力は、成長戦略や安定性・(中・長期的な)収益性、リスク&ガバナンス対応など、優れた財務パフォーマンスとそれらを支える仕組み・取り組みに関する魅力を指す。商品的魅力は、コストパフォーマンス、安全性・アフターサービス力・クレーム対応、独創性・革新性など、商品・サービスを通じて伝わる魅力としている。
以下、調査結果の一部内容を紹介する。
企業に解決を期待するソーシャルイシューは「賃上げ」
まず、ソーシャルイシューの「優先して解決・進展すべき/してほしい項目」を質問。すると、1位は「賃上げ(34.4%)」となり、2位以降は「物価高騰による食料品の値上げ(28.1%)」「物価高騰による、食料品以外の値上げ(27.1%)」「所得の格差(25.4%)」と、経済的な課題が上位を占めた。
一方、生活者が各企業に解決を期待するソーシャルイシューについて尋ねると、「賃上げ(16.8%)」がトップに。2位は「日本の科学技術力低下(14.6%)」、3位には「労働環境の改善(14.5%)」、4位には「長時間労働・過労死(14.4%)」がランクインした。
ソーシャルイシューへの対応、企業魅力度と正の相関
次に、生活者が思う各企業が取り組んでいるソーシャルイシューと、その企業の魅力度(魅力総量)の相関を分析した。結果、正の相関性があることが明らかになった。
魅力総量とは、調査内で提示した企業について回答者が36の魅力項目の中から該当すると思うものを選択した、1万人の総反応個数だ。魅力度と最も強い相関性が見られたソーシャルイシューは、「賃上げ(相関係数0.86)」であり、次いで「産休・育休制度(相関係数0.83)」「労働環境の改善(相関係数0.80)」が非常に強い相関を示した。
企業の魅力を感じるソーシャルメディア、1位は「YouTube」に
続いて、企業の魅力をどのようなところで見聞きしたか調べると、カテゴリー別では商品・サービスの購入や社員・店員を通した「リアル(49.5%)」が最も多い結果に。2位以降は「メディアの番組・記事(29.1%)」「メディアの広告(23.1%)」「オウンドメディア(22.1%)」「ソーシャルメディア(18.9%)」が続いた。
2022年度と比較すると各カテゴリーの順位は変わらないが、「ソーシャルメディア」のみ割合がやや増加した。
また、企業の魅力を感じる情報源として「ソーシャルメディア」を選択した人に、どのソーシャルメディアで魅力を感じるかを質問した。すると1位は「YouTube(46.9%)」、2位は「X(旧Twitter)(39.2%)」、3位は「Instagram(31.3%)」という結果に。
普段よく利用しているメディアについての質問には「YouTube(55.4%)」と答える人が最も多く、2位は「X(旧Twitter、43.7%)」、3位は「LINE(38.7%)」だった。
さらに、年代別に企業の魅力を最も感じるソーシャルメディアと普段よく利用しているソーシャルメディアを確認。30代~50代では、企業の魅力を感じる情報源の上位3つはいずれも、「YouTube」「X(旧Twitter)」「Instagram」の順番になった。
一方、20代は1位が「X(旧Twitter)」となり、ソーシャルメディアで企業の魅力を感じた人のうち57.7%が当てはまった。
企業の魅力、「ビジョンを掲げ、業界をけん引している」が8年連続1位
各業界の魅力に感じた要素を質問すると、トップ5は5年連続で同じ項目が入った。2023年も1位は「ビジョンを掲げ、業界をけん引している(48.8%)」で、8年連続で首位を維持した。
【調査概要】
調査対象:全国の20~69歳の男女10,000人(20業界200社のいずれかに魅力を感じている人、各業界500人)
調査方法:インターネット調査
調査期間:2023年7月14日(金)~7月24日(月)
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