リクルートは、3月26日、全国約1万人の生活者を対象に「よのなか調査(生活者編)」を実施した。
同調査は、社会構造の変化を明らかにすることを目的としたもの。2022年より実施しおり、同社の事業とは直接関係しない領域も含めたより広い“よのなか”における生活者と事業者の“行動・考え方”を調べる。
今回の発表では生成AIの普及状況や利用頻度、情報の真偽や信頼性の確認、事業者への個人情報提供など、生活者のテクノロジーに関する関心や意識の変化についてまとめた。
生成AIの普及状況は、都市圏と地方で大差は見られず
まず、三大都市圏と地方の生成AIの普及状況を確認した。その結果、ChatGPTやMicrosoft Bing AI(現Microsoft Copilot)などのテキスト型生成AIサービスの利用頻度は三大都市圏とそれ以外の地方で大きな違いは見られなかった。「日常的に利用している」「月1回以上は利用している」「過去1回以上は利用したことがある」の合計値は、三大都市圏が21.4%、それ以外の地方で18.3%となっており、短期間で全国的に普及しつつある状況であることがわかる。
10代のうち5割弱が生成AIの利用経験があると回答
次に、テキスト型生成AIサービスの利用経験者の割合を調べた。特に若い年代ほど割合が高く、特に10代後半では既に5割に近づいている。なお、10代後半のうち2割以上が「日常的に利用している」または「月1回以上は利用している」と回答している。
おすすめ機能の参照意向はすべてのカテゴリーで上昇
次に、おすすめ(レコメンド)機能の参照意向について調べた。その結果、2022年と比較して、すべてのカテゴリーで上昇傾向が見られた。なお、病院・クリニックや旅行先、飲食店などでは相対的に高い傾向にあった。
特に10代で情報の真偽と信頼性を確認する意識が低下
続いて、情報の真偽と信頼性を確認する意識について調査した。その結果、「複数の情報を比較して、真偽を確かめること」「情報の発信元が信頼できる人・メディアなのかを確認すること」といった意識は、10代後半では高いが、20代になると大きく低下。その後年代が上がるにつれて徐々に上昇していく傾向が見られた。
また、全体的に意識すべきと回答した人の割合は、2022年調査と比較して低下傾向にある。特に元々意識が高かった10代後半に関しては2つの項目で大きく低下している。
事業者に個人情報を提供しても良いという人の割合は全体的に減少
最後に、おすすめ(レコメンド)機能を「参考にしたい」「やや参考にしたい」という人を対象に、より参考になるおすすめ情報を得るために個人情報を事業者側に提供しても良いか質問した。その結果、提供しても良いと回答した人の割合は全体的にやや減少傾向が見られた。
同調査結果に対して、同社調査室の室長を務める岩下直司氏は次のようにコメントした。
「全体の状況を見ると現在は新たなテクノロジーの利便性への期待感と警戒心が入り交じった過渡期という印象を受けます。AIをはじめとする先端的なテクノロジーを活用する企業は今後も生活者の意識と行動の動向を見極めて適切なサービス提供を行う慎重な姿勢が求められると思います」
【調査概要】
方法:インターネット調査
委託先:マクロミル(マクロミル保有の調査モニターを対象に実査)
対象:全国の15~69歳の生活者10,352人(2022年調査)、全国の15~69歳の生活者10,358人(2023年調査)
※2週連続で調査を実施し、両方に回答した人を対象としている
※性年代×エリアの構成比が2020年国勢調査の人口構成比通りになるようにアンケートを回収
※2023年調査では、上記の通り回収した人に対して3週目の追加調査を実施(回収数:9,834人)
期間:2022年9月(2022年調査)、2023年9月(2023年調査)
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