博報堂買物研究所は、2月1日、「値上げ・物価高騰に関する生活者調査」の結果を発表した。
同調査は、同研究所設立20周年プロジェクトの第一弾として実施したもの。値上げと物価高騰にともなう生活者の変化を「意識(アンケート)」と「行動(購買データ)」の両面から調査を実施した。
すべての「食品・飲料」カテゴリーで8割以上の人が値上げを実感
まず、生活者の値上げ実感について調査を行うと、「食品・飲料」カテゴリーでは6つの商品項目において8割以上、「トイレタリー」カテゴリーと「健康食品/栄養補助・機能性表示食品/トクホ」ではそれぞれ6割以上の生活者が「値上げを実感」と回答した。
また、特に値上げ実感が大きかった「食品・飲料」カテゴリーの購入では、「節約を意識する」生活者はすべての商品項目で8割超となった。
「節約を意識する」人の主な行動としては、「特売・セールで購入」するが35.5%、「できるだけ安い商品を買う」が29.5%となり、「商品の買い控え」は12.6%にとどまった。
節約意識が高い人が「食品・飲料」では年間支出が多くなる結果に
次に、特に値上げの実感が大きかった「食品・飲料」カテゴリーに注目すると、値上げ前である2020年と2023年を比較した時、節約意識の有無による購入金額の増加率には顕著な差は見られなかった。しかし、節約意識が高い人は、低い人よりも「清涼飲料水/ミネラルウォーター」「冷凍調理品」「メニュー専用調味料/料理の素」の購入金額が低いという結果が出た。
一方で、「食品・飲料」カテゴリーのその他の商品項目では、節約意識が低い人よりも購入金額が高く、「食品・飲料」カテゴリーにおける年間支出自体は大きい傾向にあったことがわかった。
さらに、「お菓子・スイーツ」「アルコール飲料」といった嗜好性が高い商品項目に注目してみると、節約意識が高い人の方がいずれの商品項目においても、年間購入金額が上昇していることが見て取れた。
特に「お菓子・スイーツ」では節約意識が高い人の方が、低い人よりも、年間購入金額が約1,600円高くなっていた。理由としては、「家族構成などにより購入頻度や購入量の調整が難しく購入金額が高くなってしまう人ほど、節約意識が高くなる」といったものや、「安価な商品で我慢をしている分、買う頻度や個数は抑えられず、買い過ぎてしまう」といった生活者のジレンマが考えられるという。
【調査概要】
(アンケート)
対象:15~69歳 男女かつマクロミルQPR協力者
地域:日本全国(沖縄除く)
手法:インターネットリサーチ
時期:2023年9月~10月
有効回答数:23,878ss
委託先:H.M.マーケティングリサーチ
回収・集計方法:マクロミル社QPR協力者全数にアンケートを配信、回答協力者に対して、総務省統計局「令和2年国勢調査」掲載の人口構成に合わせて、性×年代でウェイトバック補正を実施
(購買データ)
データソース:マクロミル社QPR(消費者購買履歴データ)
分析対象者:博報堂買物研究所「値上げ・物価高騰に関する生活者調査」
対象商品項目:JICFS食品
集計期間:2023年1月1日~12月31日
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