CAPIを導入するならCAPIゲートウェイが手軽
セッションの中盤では、Meta社が提供するコンバージョンAPI(以下、CAPI)のベネフィットについて解説した。
CAPIを導入することで、広告パフォーマンスの向上、効果測定の機能の向上が見込める。この2点についてボーウェン氏は「弊社のグローバルデータでは、CAPIの実装後には平均13%の広告パフォーマンス向上が見られ、平均で19%計測精度が上がっている」と話した。加えて、プライバシーを尊重するための革新的な機能もあるという。
CAPIを活用するために、連携する方法は3つある。1つ目は、Meta社が開発したCAPIゲートウェイでの連携だ。Metaと直接イベントを共有できるクラウドサーバーとMetaピクセルとを接続することで連携することができる。
2つ目は、広告主が自らプログラミングを開発・カスタマイズを行い、直接連携する方法。そして3つ目は、Shopify、Googleタグマネージャー、Salesforceなど、50を超えるMetaのビジネスパートナーからサポートを受け、パートナーのソリューションを活用した連携方法だ。
方法としては前述の3つがあるものの、「弊社としては1つ目のCAPIゲートウェイでの連携をお勧めします」とボーウェン氏は追加した。
そのメリットはまず、圧倒的なスピードがある。実装自体はおよそ1時間以内で完結。しかも月々の基本料金はサーバーコストのみなため、コストが安く済む。また技術的な専門知識が不要だ。さらに同ツールはMeta社が開発しているので、アップデートがあった際には自動で反映。メンテナンスコストが削減できる。
CAPIの導入障壁を打破する一手とは
CAPIゲートウェイでの導入は、2種類の導入方法がある。1つは単一アカウントで、顧客単一で実装し、同一のビジネスIDに属するMetaピクセルの1つまたは複数のインスタンスに対応する。
もう1つは、複数アカウントで、こちらは代理店向けのもの。代理店が1つのアカウントを実装すると、その代理店が担当するクライアントの全てにCAPIゲートウェイが導入できる仕組みだ。
サイバーエージェントでは、CAPIを導入する方法として、代理店専用の新機能「コンバージョンAPI ゲートウェイ マルチプル アカウント(以下、CAPIマルチプルアカウント)を導入している。その理由に関して杉山氏は、次のように話した。
「CAPIの導入時には、エンジニアリソースなどの導入障壁があると想定していました。弊社の担当するクライアント様にもそのような企業様が多くいらっしゃったからです。そこで今回、このCAPIマルチプルアカウントを用意し、クライアント様が簡単に導入できるような仕組みにしました」(杉山氏)
同社はCAPIがリリースした2020年末から、「データソリューションG」と呼ばれる専門組織を結成。かなり早いタイミングから取り組んでいる。サイバーエージェントグループ全体としてCAPIの導入支援をMetaと協業で推進してきた。実際にサイバーエースでも20件程度のCAPIの導入実績がすでにある。
杉山氏は、サイバーエージェントのパートナー企業であるファストノットの事例を紹介した。同社はレギンスや着圧スリムタイツブランドのBELMISEを運営する会社だ。
広告実施手順としてまず、元々のマスターピクセルを、Pixel Forkingにかけてコピーを2つ作成。片方は何もしていない状態で一般的なシグナルデータを送る。もう1 つは、今回導入するCAPI ゲートウェイのデータを加えた状態にして、A/B テスト を実施した。
結果、CPAは約30%超と大きく改善した。また、購入数も1.4倍増加。CPMに関しても、導入前より安くなり、機械学習がかなりワークしたと杉山氏は分析。特筆すべき点として、各年齢セグメント全てでCPMが改善していたことを挙げた。