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【特集】拡大中の注目市場「フェムテック」の現在地

企業は生活者の課題に向き合えていますか?「フェムテックブーム」の問題点

センシティブな内容も話し合える信頼関係が大切

――フェムテックに参入する企業が増えた分、撤退する企業も多いのが現状です。事業を継続するために大切なことは何でしょうか。

 ひとつ言えることは、社内でどれだけ課題感の共有ができているかが重要だということです。お話しした通り、向き合う課題は多岐にわたります。女性同士でも「そんな問題があったのか」と気づくことがしばしばあるでしょう。

 そして、それらを話し合う中で、課題によっては、文化形成や環境整備を含めて短期的ではなく長期的なプランが必要だと気づくこともあると思います。

 特に、性の悩みはパーソナルかつセンシティブな面を含むため、当事者ニーズを汲み取り、歩み寄ることが大切だと思います。

――貴社は企業の支援も行っていますが、どのように対応しているのですか?

 私たちが企業様からの依頼で当事者の方のインサイト分析を行う際は、コミュニティを活用し、悩みを抱える方々にお集まりいただいてヒアリングを行います。座談会形式で行うことも多いですね。参加される方の中には、単に悩みを共有したいだけではなく、自身の経験を語ることで同じ悩みを持つ方々の課題解決につながるかもしれないという期待感を持って話してくださる方も多くいらっしゃいます。

 このような座談会は女性同士のほうがいいと考えがちですが、実はそうではないこともあります。他の方の話を聞くことで、自分では当たり前と思っていたことが、実はそうではなかったと気づくこともあります。まったく違う立場の方から「なぜその不快感を我慢しているのですか?」と聞かれて、「確かに」と新たな視点を知ることが意外とあるのです。

 先ほどフェムケアやフェムテックは取り扱う領域が幅広いため、カテゴリーではなく課題からニーズを捉えることが重要とお伝えしましたが、こうして対面でコミュニケーションをとっていくことで、本人も気づかないニーズを顕在化させていくことができると考えています。

 そして企業側にとって大切なのは、座談会やインタビューの目的を参加者に丁寧に説明することです。また、センシティブな内容も含まれるため、運営側もある程度自己開示をする必要があります。見知らぬ人に突然、性の悩みを質問されて答えるのは勇気がいるものです。信頼関係の構築が必要でしょう。

社内の課題に目を向けると、ヒントが見えてくる

――これから参入を考える企業は、ビジネスの視点からフェムテックをどのように捉えればよいでしょうか?

 フェムテックに無理に取り組む必要はないことを前提として、お伝えします。

 最初からフェムテックに取り組むとなるとハードルが高く感じられるかもしれませんが、たとえば会社で働いているメンバーに長く心地よく働いてもうためにはどうすればよいか?と考えると、その延長線上にヒントがあるかもしれません。

 顧客や生活者も同じ悩みを抱えているかもしれないと考えると、より身近な問題として捉えやすくなるでしょう。研修の開催などを通じて知識を身につけるだけで見えてくることが変わってくると思います。

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経済合理性や働く女性支援の追求だけでは足りない

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この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/09/13 09:30 https://markezine.jp/article/detail/46308

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