経営コンサルティングファームのボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)は、アジア、ヨーロッパ、北米における様々な業界の最高マーケティング責任者(以下、CMO) 200人を対象に生成AIに関する調査を実施。その結果に基づくレポート「How CMOs Are Shaping Their GenAI Future」(以下、レポート)を発表した。
78%のCMOが生成AIの自社への影響を楽観視
まずCMOを対象に「将来生成AIが自社に与える影響」について質問。「楽観的である(Optimism)」と回答したCMOは78%に上り、「(生成AIの効用を)確信している(Comfidence)」が75%、「関心がある(Curiosity)」が65%だった。
2023年と比較すると、生成AIに対して肯定的なCMOが増えている一方で、生成AIに対して「拒絶感がある(Rejection)」と回答するCMOが6ポイント増加していた。
ソーシャルメディアのコンテンツ制作とソーシャルリスニングに活用
生成AIの活用領域について質問したところ、CMOの半数が生成AIを「コンテンツ作成」に活用していると回答。特に、ソーシャルメディア広告のコピーや画像のドラフトを作成する際に使用されていることがわかった。他にも、迅速に規模を拡大できてすぐに成果をもたらす活用領域として「ソーシャルリスニング」が挙げられた。
活用が進む一方で、生成AIが作るコンテンツの質について、70%以上のCMOが創造性やブランドボイス(ブランド独自のコミュニケーションスタイル)への懸念を感じていることがわかった。またブランド独自のコミュニケーションを実現できる手法を導入するにあたって、CMOの約半数が生成AIに特化したスキルを持つ人材を採用している。
「パーソナライゼーション」は成長が期待される活用領域
2023年の調査では、「パーソナライゼーション」に対して67%のCMOが取り組みを始めていると回答し、最も広く導入されていたユースケースだった。しかし2024年の調査では、パーソナライゼーションの「取り組みの規模を拡大させている」と答えたCMOの割合が低かった。
そのためパーソナライゼーションは、グラフ右下の「迅速には大規模展開しづらいが、成果をもたらす活用領域」にあたり、直ちに成果を得にくい分野と同社は分析。
現状、生成AIはパーソナライゼーションに必要なコンテンツのバリエーションを増やすことには役立つが、各顧客に対して取るべきアクションを導けない。そのため企業は、従来型の予測AIを組み合わせることで、ターゲットに対し、どのコンテンツが適切か、どの順序で、どのチャネルで提供すべきかを把握する必要があると、同社は指摘している。
本調査の結果について、レポートの共著者であり、BCGのパーソナライゼーション領域のグローバルリーダーを務めるシアトル・オフィスのマネージング・ディレクター&シニア・パートナー、マーク・エイブラハムは次のようにコメントしている。
ほとんどのCMOが生成AIを既に活用し、一定の成果をあげていますが、最も成長が期待される活用領域はパーソナライゼーション、インサイト創出、予測分析でしょう。これらの領域は難易度が高く時間を要しますが、生成AIのインパクトを自動化から顧客体験の革新に転換できた企業は、生成AIから多くの利益を生み出すことができます。
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