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TikTok広告マーケティング最新事例&動向(AD)

セブンプレミアム、TikTokでROAS1,000%!フルファネルで金のマルゲリータの購買促進に貢献

 近年、若年層を含む幅広い世代にアプローチする新たな手段として、企業から注目を集めているTikTok。その中でセブン&アイ・ホールディングス(以下、セブン&アイHD)は、プライベートブランド「セブンプレミアム」で展開する「金のマルゲリータ」のリニューアルに合わせTikTok広告を活用。ROASが1,000%を超え、商品売上にも一定の貢献を見せるなど、大きな成功を収めたという。本記事では、活用の秘訣や工夫したポイントについて、同社と同社のTikTok広告支援を行ったmovel、並びにTikTok for Business Japanのキーパーソンらに聞いた。

若年層へのアプローチが喫緊の課題に

――セブン&アイHDでは、以前よりTikTokをコミュニケーションに活用していると聞いています。まず、TikTokの活用目的とこれまで配信してきたコンテンツについて教えてください。

飯田:セブン&アイHDがTikTokを活用しているのは、若年層の皆様に弊社の各ブランドをより身近な存在と感じていただくためです。

 お客様の毎日を支えている企業として、お客様との日々のコミュニケーションは欠かせません。TikTokに関しても、セブンプレミアムの公式アカウントでは企業としての情報発信ではなく、中の人として人間らしさを感じるコンテンツやTikTokの流行を捉えたコンテンツを制作するように心がけています。

セブン&アイ・ホールディングス グループ商品戦略本部 セブンプレミアム開発戦略部 販売促進プロモーション 飯田 彩花氏
セブン&アイ・ホールディングス グループ商品戦略本部 セブンプレミアム開発戦略部 販売促進プロモーション 飯田 彩花氏

――セブン&アイHDの各企業・ブランドにとって、若年層へのアプローチが大きな課題となっているということでしょうか。

大竹:セブン&アイHDはセブン-イレブンやイトーヨーカドーをはじめ、様々な事業会社が存在しています。長きにわたり事業を運営しているため、グループ全体のお客様の平均年齢が高いということが自社のデータからわかっています。

 中でも、プライベートブランドであるセブンプレミアムは、特に購入されている年齢層が高いデータが得られていたため、若年層のお客様の購入を促すことができるのではと感じ、TikTokをはじめとしたプラットフォームでのアプローチを強化しています。

セブン&アイ・ホールディングス 執行役員 最高商品戦略責任者(CMDO)兼 グループ商品戦略本部長 大竹 正人氏
セブン&アイ・ホールディングス 執行役員 最高商品戦略責任者(CMDO)兼 グループ商品戦略本部長 大竹 正人氏

――今回セブンプレミアムの数ある商品の中から、金のマルゲリータにフォーカスを当てたキャンペーンを行った背景を教えてください。

飯田:自宅で楽しめる本格ナポリピッツァである「金のマルゲリータ」は、2023年10月にリニューアルを行っており、1つ話題作りができるタイミングだったこと、また若年層との相性も良かったことからTikTokのコミュニケーションにも注力し、大きな販売につなげたいと考えました。

親和性の高いクリエイターとコラボし、フルファネルで施策を展開

――具体的にはどのようにTikTok広告の活用を進めていったのでしょう?

飯田:TikTok活用の支援に入っているmovel様のもと、TikTokと親和性の高いクリエイターをアサインし、認知から購入までのフルファネルでアプローチをする施策を展開しました。

内堀:クリエイターに関しては、ネクストブレイククリエイターと呼ばれるような方の起用を意識しました。ネクストブレイククリエイターとはすでに絶大な認知がある方というよりは、直近調子が良く今まさにブレイク寸前のクリエイターのことを指します。

 ネクストブレイククリエイターをアサインすることで、広告でありながら普段のオーガニック投稿に近い形で、TikTokのユーザーに受け入れられるコミュニケーションができると考えたのです。

ヴィクトリア:セブン&アイHD様とmovel様の考え方は、企業のTikTok活用を考える上でとても重要です。

 TikTokがユーザー、そして広告主から選ばれるのには2つの理由があります。

 1つは、TikTokでは、若年層がクリエイティビティを発揮し、日々自己表現をするため活用しているプラットフォームであるからです。多くの若年層が熱量高く利用しているTikTokが、今回の目的である若年層へのアプローチに最適だと考えます。

TikTok for Business Japan, Global Business Solutions, Sales Director, Head of Strategic Accounts  Victoria Yustinovich(ヴィクトリア・ユスティノヴィッチ)氏
TikTok for Business Japan, Global Business Solutions, Sales Director, Head of Strategic Accounts
Victoria Yustinovich(ヴィクトリア・ユスティノヴィッチ)氏

ヴィクトリア:もう1つはTikTokがエンターテインメントを重視したプラットフォームであるからです。TikTokの投稿はリアルで楽しいものです。だからこそプラットフォーム、ユーザー、広告主、それぞれがお互いにつながり、気持ちが伝播していく環境があります。

 こうした状況でユーザーと広告主のつながりを強め、大きな広告効果を生み出す役割を担うのがクリエイターです。クリエイターの動画を通じて、ユーザー目線を織り交ぜながらブランドストーリーを伝えていくことができますし、TikTok広告を最大限活用することにもつながります。

 これら2つの観点から、セブン&アイHD様とmovel様の取り組みはグローバル規模で見てもTikTok広告のベストプラクティスだと考えています。

認知に効く動画、購買促進に効く動画の違いとは?

――動画を制作する上で工夫したことを教えてください。

飯田:フルファネルでのアプローチを効果的に進めるため、各ファネルに対応した動画の制作を進めました。認知を目的とした動画では、商品を監修した中目黒「ピッツェリア エ トラットリア ダ イーサ」の山本シェフに商品の説明をお願いしました。撮影時にはシェフから「この調味料をかけたら美味しそうに見えるのでは?」といったアドバイスをいただくなど、その場で改善しながら撮影と編集を行いました。

 商品理解のファネルに関しては、複数名のTikTokクリエイターの方にPR投稿を制作いただき、商品についてより深く知ってもらえる動画をTikTok上で配信しました。

 そして、購買促進に関しては商品理解で配信しているクリエイターの方の投稿をリターゲティング広告で配信しています。

セブンプレミアムの公式アカウントとTikTokクリエイターらのクリエイティブ例
セブンプレミアムの公式アカウントとTikTokクリエイターらのクリエイティブ例

内堀:認知目的の動画でも、監修している山本シェフに出ていただけたのはとても良かったです。TikTok for Businessの調査でも、顔出しありの動画のほうが顔出しなしの動画より高いパフォーマンスを記録するデータを出されていたので。

movel 代表取締役副社長 内堀 拓海氏
movel 代表取締役 内堀 拓海氏

楊:TikTok for Businessから見ると、今回フルファネルに対応したクリエイティブを用意いただけたことが成果を生み出すことにつながったと考えています。

 特に新商品のリニューアルやローンチのタイミングにおいては、認知から理解、購買まで一気に進める必要があります。TikTok広告では、フルファネルに対応したソリューションを用意しておりますが、セブン&アイHD様はソリューションだけでなくクリエイティブまで考慮して施策に取り組んでいただけたので、とても良かったと思います。

TikTok for Business Japan, Global Business Solutions, Strategic Accounts, Client Solutions Manager, CPG 楊 洋氏
TikTok for Business Japan, Global Business Solutions, Strategic Accounts, Client Solutions Manager, CPG 楊 洋氏

ヴィクトリア:複数のクリエイティブを展開しながら、メインメッセージが統一されていたことが素晴らしかったです。フルファネルでアプローチする際は、ファネルごとに伝え方を変えつつ、一貫したメッセージが求められます。

 また、各ファネルで求められる動画の要素も異なります。認知を目的としたアッパーファネルにおいては、1本の美しいストーリーテリングが重要になってきます。商品理解のミドルファネルにおいては、リアルなコミュニケーションをとることが大切です。特に食品・飲料系の商材は日常で触れるものなので、ミドルファネルの重要度が増します。

 最も購買に近いローワーファネルでは、データを駆使して興味を持ったユーザーに効率よく配信することが重要です。今回の事例では、これらがすべて実現できています。

販促施策導入後でのROASが1,000%超に

――TikTok広告の活用によって得られた成果を教えてください。

落合:自社が持つ7iDデータを分析すると、プロモーション期間に若年層を中心に売上が伸長したことが確認できました。また販促施策導入後のROASは1,000%以上という費用対効果も出ています。

 TikTokの施策として見ても、再生回数は1,500万回以上という非常に多く再生数が獲得できました。

 今回のTikTok for Business様、movel様と連携したプロモーションは、マーケットインの視点で仮設を立て、セブンプレミアムのお客様のニーズに応えるだけでなく、クリエイターと一緒に盛り上がれるようなデジタルプラットフォームの特性にあったコンテンツを制作できた事が成功の要因だと実感しています。その熱が、フォロワー以外のユーザーへ伝播し、セブン&アイHDの各社が持つ店舗の売上を伸長させる成果を生み出せたと思います。

 TikTokを活用したマーケティングを社内外に発信できたことは、私たちのチームとしても大きな自信に繋がりました。

セブン&アイ・ホールディングス グループ商品戦略本部 セブンプレミアム開発戦略部 販売促進プロモーション 落合 隆行氏
セブン&アイ・ホールディングス グループ商品戦略本部 セブンプレミアム開発戦略部 販売促進プロモーション 落合 隆行氏

内堀:ROAS1,000%超えでの着地は驚異的な結果でした。フルファネルでの施策の実施、相性の良いクリエイターの起用、そしてリターゲティング広告、どれか1つではなく、すべてがぴったりとハマったことでこの効果が生まれたと考えています。

長谷川:TikTokは若年層に強いプラットフォームだと感じており、これまでもセブンプレミアムの商品を発信してきました。

 しかし発信してきたのは低価格帯の商品で、今回の「金のマルゲリータ」のような高価格帯の商品を取り上げることは、私たちにとって大きな挑戦でした。結果として非常に大きな収穫が得られ、満足しています。

ヴィクトリア:今回の施策のポイントは多くありますが、最も大きかったのはTikTokのリアルを重視する文化にフィットした動画を制作できたことだと感じています。

 先ほどお伝えしたように、食品・飲料業界の動画ではリアルな日常生活をイメージさせることが重要です。セブン&アイHD様の動画では、それがしっかりと表現されていました。

クロスメディア戦略におけるTikTokの売上貢献度を検証していきたい

――今回の取り組みについて得られた学び、気づきについて教えてください。

大竹:今回、TikTok広告が高いパフォーマンスを発揮したのはとても嬉しかったです。一方で、広告は売上を上げるために行うものなので、実際の商品がどれくらい動いたのかをしっかりと観測する必要があります。

 期間中に行った施策が1つなら話はシンプルですが、今回は複数のプラットフォームでも施策を展開していました。TikTokが売上に貢献していたのは確かですが、どの程度の売上にインパクトを残したかまで今後検証していく必要があります。

金のマルゲリータの商品画像
金のマルゲリータ※2024年9月時点でのパッケージ

ヴィクトリア:TikTok for Businessでは、TikTok広告がコミュニケーション全体でどのくらいインパクトがあったか分析するサービスを、用意しています。

 社内にマーケティングサイエンスの専門チームがあり、様々な調査会社の協力のもと、クロスメディアの調査やMMM(マーケティングミックスモデリング)などを行っていくのです。今後、そのようなご支援もできればと思っています。

――ヴィクトリアさんは、グローバルでもTikTokに関する様々なキャンペーンを見ていると思いますが、セブン&アイHDの事例はどのように映っていますか。

ヴィクトリア:セブン&アイHD様は、今回のキャンペーンはもちろん、先進的なTikTok活用を早期から取り組んでくださっています。小売業界、食品・飲料業界の中でも先を行く企業様だと感じています。

 これからもコラボレーションをして、企業のTikTok活用を一緒に盛り上げていきたいと考えています。

TikTokでさらなる潜在層へのアプローチを

――最後に今後の展望について教えてください。

セブン&アイ・ホールディングス グループ商品戦略本部 セブンプレミアム開発戦略部 オフィサー 長谷川 啓二氏
セブン&アイ・ホールディングス グループ商品戦略本部 セブンプレミアム開発戦略部 オフィサー 長谷川 啓二氏

長谷川:セブンプレミアム公式TikTokと、セブン&アイHDの各社が持つ店舗とさらに連携し、若年層を含む幅広い世代へのコミュニケーションをより強めていきたいと考えています。

 また、セブン&アイHDは「食を中心としたグローバルリテールグループ」への変革を進めているところです。TikTokをきっかけに、セブンプレミアムのまだ知られていない魅力、楽しさを伝え、当社の変革を感じていただきたいと思っています。

内堀:今回のセブン&アイHD様との取り組みは、TikTokが若年層の購買に寄与することを実感できた事例でした。TikTokは潜在層にリーチするためのプラットフォームとして捉えられることが多いですが、フルファネルで活用すれば購買に寄与する可能性があることをぜひ知っていただきたいです。

 一方で、若年層の興味関心や購買における行動は、日々変化しています。アプローチ方法やコミュニケーション方法は、常に模索していくことが必要です。広告主様やTikTok for Business様と連携をして、“売れるTikTok”の施策展開をご一緒していきたいと考えています。

ヴィクトリア:TikTokとセブン&アイHD様の持つ商材・サービスの相性はとても良いと今回の事例で感じました。両者ともに人々にエンターテインメントを提供しており、様々なブランドや商品とのコラボレーションを行っています。日本では、毎月3,300万人以上がTikTokとTikTok Liteに訪れており、より幅広い世代へコミュニケーションできるようになりますので、今後も両社のビジネス成長につながるようなお取り組みができると嬉しいです。

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この記事の著者

タカハシ コウキ(タカハシ コウキ)

1997年生まれ。2020年に駒沢大学経済学部を卒業。在学中よりインターンなどで記事制作を経験。卒業後、フリーライターとして、インタビューやレポート記事を執筆している。またカメラマンとしても活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:ByteDance株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2024/10/03 10:00 https://markezine.jp/article/detail/46738