冒頭を複数パターン用意するだけで、効果は大きく変わる
――ショート動画プラットフォームで広告を運用している方から「クリエイティブの摩耗が早く、複数用意したいが大変」「各プラットフォームでどこまで作り分けるべきか」といった課題・疑問を聞いたことがあります。実際、ショート動画はどの程度作り分けるのがベストなのでしょうか。
上町:ショート動画クリエイティブの作り分けは行わなくても良いと思います。複数プラットフォームでリーチを広げたい場合は、ショート動画のトレンドの起点であるTikTokドリブンにクリエイティブを制作し、それを他のプラットフォームに配信していきましょう。
媒体横断で配信する際、出演するクリエイターを媒体横断でフォロワー数の多い方や認知度の高い方にしておくことも重要です。
また、作り分ける場合はワンメディアの提唱する「1:3:1の法則」を活用いただくのもおすすめです。この法則は、動画の構成を「冒頭の疑問や共感:1」「本題:3」「CTAを促す:1」の割合で組むものです。
クリエイティブを作り分ける際も、それぞれのパーツとなる動画を複数パターン作り、それを組み合わせることで実際の本数よりバリエーションを増やせます。冒頭だけでも複数パターン用意すると、効果が変わってくると思います。
――その他に、ショート動画を作る際に気を付けるべきことはありますか?
久保:各ブランドが持つトンマナを守りながら、その企業ならではのショート動画を発信することですね。UGC風やクリエイター風なラフなコンテンツのほうが視聴されやすいものの、ブランドがそれに迎合してもそぐわないケースがあります。
弊社が支援したトヨタ自動車様の事例では、製品のヴィジュアルを活かしつつ没入感あるリッチな演出を組み込んだ動画を制作し、継続的に発信してきました。結果として一つの動画がオーガニックのみで530万回再生されるなど、車好きだけではなく幅広いユーザーにリーチできました。
このような企業が持つトンマナに合わせた動画作りは、ワンメディアが得意としている部分であり、動画制作においても重要なポイントだと思います。
予算で異なる、ショート動画のメディアプランニング
――ショート動画を配信できるプラットフォームが複数ある中で悩みの1つとなるのが、メディアプランニングだと思います。どのようにショート動画の広告費を割り振っていけばよいのでしょうか。
佐々木:広告配信の仕組みはどのプラットフォームであっても大きく変わらないので、各プラットフォームで一定金額を配信すれば、クリエイティブと相性が良いプラットフォームを模索できると良いと思います。
ただし、1つのプラットフォームで30万~50万円の媒体費だとあまり効果検証にならないので、そこまで予算が大きくない場合はTikTokに絞って配信したほうが、アッパーファネルからミドルファネルまで効く可能性があります。
また、ブランディング目的の場合はリーチよりもフリークエンシーを意識したほうが良いです。数多くのショート動画が流れてくる中で1回接触しただけでは、態度変容につながりません。
ワンメディアでも、複数のクリエイティブを駆使してフリークエンシーを高めていきつつ、配信費用のアロケーションを進めるようにしています。