TikTok、YouTubeショート、Instagramリール、何が違う?
――ショート動画にはTikTok、YouTubeショート、Instagramリールと配信できるプラットフォームが大きく3つ存在します。ワンメディアではそれぞれの違いや共通点をどのように捉えていますか?
佐々木:まず、定量面での違いを見ていくと、ユーザー数ではYouTubeが一番多く、次いでInstagram、TikTokが続いています。しかし、10〜20代の若年層へのリーチを目的とするなら、実はYouTubeショートやInstagramリールとユーザー数はそこまで変わらないのです。リーチの「量」の観点だとどのプラットフォームでも同じだと考えています。
佐々木:また、共通点として、今後ショート動画は若年層を含めた生活者の情報収集源として重要なものになっていくと考えています。すでにGoogleのモバイル検索では、検索結果にショート動画タブが登場しており、検索ワードに関連したYouTubeショート、TikTok、Instagramリールの動画にアクセス可能できます。このような変化を踏まえても、若年層リーチを広げるためにショート動画を活用することはとても重要です。
久保:定量的なデータの大きな差はないのですが、各プラットフォームの特性を考えたとき、若年層リーチならTikTokが一番強いと考えています。
TikTokが若年層リーチに強いのには、2つの理由があります。1つはおすすめ型のプラットフォームで、潜在顧客へのアプローチに強いからです。TikTokは「おすすめ」フィードでの視聴が中心となっており、ユーザーも発見や新しさを求める視聴態度になっています。そのため、まだ知らない企業やブランドのサービスに関する動画も、受け入れられやすい特徴があります。
もう1つの理由は、コメント欄で発話されやすいからです。TikTokでは、動画に関してコメントする習慣が他のプラットフォームより定着しており、コメントをしなくてもコメント欄を見ることが動画視聴とセットになっています。他のプラットフォームにもコメント機能はついていますが、TikTokでは動画を観ながらコメントが可能なUI仕様の影響もあり、他のユーザーと会話するような流れで気軽にコメントができるので掲示板化しやすく、コメントからも情報収集する動きが生まれているのです。
そのため、YouTubeやInstagramはどちらかといえばオウンドメディア活用の一環としてフォロワーに届けるために活用し、若年層の中でも潜在層にリーチしたい場合はまずTikTokからトライすることをおすすめしています。
ショート動画は「気になる冒頭」「1動画1メッセージ」で作る
――続いて、実際にショート動画を企画・制作する際のポイントを教えてください。
上町:どのプラットフォームであっても共通していることは2つあります。1つは「冒頭が勝負」ということです。ショート動画では6秒視聴率が重要な指標となっており、冒頭で離脱されない引きが求められます。
ワンメディアでは冒頭で持ってくると効果的なパターンをいくつか用意しています。たとえば、共感を生むパターンであれば「○○なことで困っていること、ありませんか?」と投げかけて、共感を持った方がそのまま続きを視聴するよう促します。
この他にも、期待感を醸成する、驚きを与える、疑問形で投げかけるなど、訴求したい商品・サービスに合わせて効果的な冒頭を検証するようにしています。
そして、もう1つは1動画1メッセージで伝えるということです。基本的には冒頭で作った疑問や驚き、期待感に対する答えを手短に伝える、一問一答方式で動画を作るのがわかりやすいと考えています。
佐々木:上町の話した6秒視聴率はショート動画を作る上で大切にしています。私が担当したアース製薬様の虫ケア商品「ゴキッシュ スッ、スゴい!」のショート動画では、TikTok上で人気のある #ビフォーアフター 動画のフォーマットを取り入れ、ゴキッシュを手に入れる前・後でどれだけ生活に違いがあるのかを訴求しました。また、動画にはTikTokでも人気のあるクリエイター「佐藤ミケーラ倭子」さんを起用しました。
佐々木:この動画では、冒頭にゴキブリと対峙したときの絶叫リアクションを入れたことで見た方に驚きを与え、ショート動画の成功指標の1つである6秒視聴率も50%以上となりました。つまり、スワイプ可能なショート動画でも約半数以上が能動的に視聴しようとしたことを意味します。